蒸しニラと蒸しもやしの辛味噌和え
美味しいニラが食べたい!ニラらしいニラ。こんなことを言うのは、昭和時代で、スーパーの定義が今と全く違う頃、食されたニラを知っているからです。「昔のスーパー」とは、お客さんが一箇所で買い物しやすいよう、商店街の肉屋や魚屋、八百屋などが共同で始めた市場のようでした。野菜に関しては、季節感を味わえるそのもので、季節外れの野菜や果物はなく、日本の四季折々に自然に育つ物が中心でした。旬のものがはっきりしていて、今のように、一年中何でも食べられる時代ではありませんした。ことの本に寄ると、機械化され、工業的に栽培される野菜は、品質管理のために、均一に育つ必要があり、それなりの栄養を与えているそうです。昔ながらの循環農法とは全く違い、これが「産業革命」というものらしい。その経過の中で、野菜に限らず、肉や魚もですが、成分や特性が変化してきているそうです。
ニラの強い匂いを知らない、産業革命以後の世代にどう伝えたものか、考え込む次第です。昔と今の野菜の成分を比べることはできないですが、「旨味」や「匂い」として感じているニラの成分はアリシンで、ネギ属植物としてにんにく、タマネギ、ネギなどが同じグループです。料理方法によって、随分とその効能は違うのですが、刻むと細胞が壊れ、そこからアリシンが出てきて匂いを放つため、料理にその香りが活かされます。今日の和え物は、ニラの細胞を壊さないように短く切らず、ペクチン質を破壊しない80℃までの温度を保ちながらゆっくり蒸します。ニラの表層部の細胞にあるペクチン質を壊さなければ、ニラの強い匂いもかなり残ると思われます。予想通り、強い匂いがかなり残っていて甘く、久しぶりにニラらしい美味しさでした。昔は、こんなニラを食べていたということをこちらで紹介したいと思います。
蒸しもやしに次いで、ニラヴァージョンです。
ビタミンA、B、Cと豊富な野菜ですから、水に溶け出さないよう、たっぷり水を張ったボールでさっと洗い、水気を切ります。鍋に水を300cc用意し、 金属製の蒸し器を使用されている場合は蒸し笊に布巾をかけて置き、鍋のサイズに合うようにニラを切ります。太い茎を交互に並べ、細い先端部分は、太い茎と合わせるように、互い違いに置いて均一に熱が通るようにします。
ここで蓋をし、初めて点火します。中弱くらいの火加減で300ccの水が80℃になるのに約8分かかりました。これくらいゆっくり加熱していき、ペクチン質を破壊しないためにも80℃までが加熱の限度とします。デジタル温度計で80℃を確認後、火を更に小さく絞って、80℃をキープします。私は、大きなフライパンを使用しましたが、鍋底に全体が白っぽく、小さな泡でうまるくらいが80℃でした。この状態になってからタイマーを10分セットし、10分後のニラの様子がこちらです。
10分経過してこの程度なので、目標の「全体がしんなり」するまで、一体、どれくらいかかるかと不安になるような状態ですが、火が通り始めると後半は全般の半分以下の時間でできてしまいます。野菜の茹で過ぎの経験はどなたもあるかと思いますが、この見極めがポイントだと思います。案の定、3分後がこちらです。
葉の先端部分はしっかり色も変わっています。茎部分の白い部分はどうか、小松菜などの茹で上がりの目安にするのと同様に、親指の先で茎を潰してみます。触れてみると、しっかり熱を感じ、潰すと、芯の部分に張りがあるくらいになっていたら十分です。取り出して、予熱で火が通ります。時間が足りないようなら、火を消して蓋をして1分ほど予熱で蒸すと良いでしょう。
画像のように広げて粗熱が取れるのを待ちます。そして、絞ったりしません。ニラの水分はそのまま栄養と旨味ですし、絞ると同時に繊維を潰してしまい、せっかくの柔らかい食感が失われてしまいます。これは他の茹で野菜にも言えることです。
人肌ほどに冷めたら、すでに蒸して保存してあるもやしを適量つかみ取り、市販の「辛味噌」で和えてみました。少し甘く、ピリ辛で、ご飯に乗せて頂くと良いらしいのですが、甲府のお土産に娘からもらったものです。類似したキムチ味の辛味噌なども、市販であるようです。こればっかりは私は手作りしません。市販品の方が絶対に美味しいと思っている派です。
今回のニラは、二束を使用しています。一束分ほどをもやしと和え物にしました。残りは、お浸しでも良いのですが、刻んで卵焼きに混ぜてお弁当のおかずにしたり、お味噌汁の具材、野菜炒めなど、いろいろに使い回せます。いずれにしても、ニラを切るのは、料理の直前です。
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