郷土の料理

2013-03-13

豆腐ステーキと蕗の薹と豚ひき肉のあんかけ

 311が過ぎ、春がやっときたなとしみじみ感じる。
 二年前の東北の太平洋側に地震と津波が残した傷、と言っていいのだろうか、当時のいろいろな痛ましい状況を思い出していた。幸いと言うか、あの年の春の訪れが早く、家を失った人々が避難所の寒さに何とか耐え忍ぶ姿が脳裏に戻ってきた。それを思いながら、なぜ私の目にも涙?いったい私は何に触発されて感傷的になっているんだろうか?少し自分に向き合ってみた。
 被災された人達は、二年前のあの経験に涙しながらも、生きていく方向を模索しながら生き生きとしている反面をきちんと備えている。「生きるというのはただ生きるだけ」と、難病を抱えながら今自分が生きていることを日々確認しながら、明日に生きる人の言葉が、なんとも短く言い当てている。とりあえず私にはそれらを苦にすることもなければ、何でもできる自由も体もある。それなのになぜできないのか?なぜ、何かをしようとしないのか?と、自問自答を繰り返すと苦しくなって泣きたくなる。急に吹き荒れる偏西風で黄砂やPM2.5が懸念されたかと思えば、スギ花粉。日本中で春の訪れを感じるどころか、なんとも異様な空気に包まれる。
 前項で書いた「考える生き方」を拝読して(参照)、いろいろと思うことがあり、引いていく自分の姿のままにしておきたいのが本心。これに関してはいつか書けるとも思えず、書けば解決することでもなく、なんとなく悶々とはしているが。
 そういうことも相まって、それもこれも贅沢な悩みだな。と、少し気持ちを吹っ切った。

Cmanjp_20130313180759

 先週まで、温泉からの帰り道では髪の毛が凍りつくほど気温が低く、道端に寄せられた雪が日中融けて流れ出した水は夜になるとバリバリに凍っていたのに。雪をどかして見ると、頭が茶色くしもやけになった蕗の薹を見つける。なんとも嬉しい。お前は、いつもの年と同じ場所に出てくるんだね。今年もいただきますよ。と話しかけて10分もそこらを探すると、両手に乗らないほど見つかる。これ以上は食べきれない、と思うだけにして摘み終わる。

Cmanjp_20130313091637

 いつもは天ぷらがその最初の料理だが、次に、どう料理してやろうかと考え、蕗の薹の苦味と香りを出来るだけ味わえるように、香ばしく焼いた豆腐にあんかけソースとして豚ひき肉と一緒にしてみたら、なんだか幸せになった。あまりにおいしかったので、簡単だし、ここにレシピをしまっておきたくなった。

Cmanjp_20130313091717

 少し残念なのは、誰でも蕗の薹が食べられるわけじゃないこと。なのに、ここにレシピを載せてもなあと、また例のごとく後ろ向きになって書かなくなりそうになった。が、それもあえて吹っ切って前に進もうと、そうしてみようと、それがただ生きることなんだと思えた次第。
 蕗の薹に巡り合えるチャンスがあったら是非、この料理をお試しあれ。とても美味しいよ。

材料(二人分)

  • 蕗の薹・・30g
  • 木綿豆腐・・1丁
  • 豚ひき肉・・60g
  • 鰹出汁・・200cc
  • 薄口醤油・・大さじ1
  • 味醂・・大さじ1
  • 砂糖・・小さじ1
  • 塩・・ひとつまみ
  • 片栗粉・・小さじ3(同量の水で溶く)
  • 小麦粉・・少々
  • オリーブオイル・・小さじ2

作り方

  1. 豆腐は火が通りやすいように厚みを半分にし、鍋で豆腐がすっかり被るくらいの水から中火にかける。
  2. 1の豆腐がゆらゆら動いて来たら笊に上げ、まな板に並べて斜めに倒して10分ほど水気を切る。
  3. 50度のお湯を作って蕗の薹を綺麗に洗う。青々しくなり、汚れがよく落ち、香りが良くなる。(50℃洗い
  4. ひき肉は排水用のネットなどに入れて蕗の薹と同様に50℃のお湯で10秒ほど洗って水気を絞る。アクがなくなって肉の臭み、油脂が適当に抜ける。
  5. 浅い鍋に鰹出汁と4のひき肉と調味料を加えて中火でかき混ぜながら火を通し、水溶き片栗粉でとろみをつける。

    Cmanjp_20130313091538

  6. 2の豆腐の両面に塩・胡椒し(分量外)、指で摘んだ小麦粉をパラパラと振って油を引いたフライパンで香ばしく両面を焼く。
  7. 豆腐が焼き上がってから5のひき肉あんかけに刻んだ蕗の薹をサッと混ぜ、焼き上がった豆腐にたっぷりかけて出来上がり♪

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012-09-25

Kibe(キビ)の肉団子(ブラジル料理)

 

Img_1091_2

町内にこの春引っ越してきた外国人夫婦とのお付き合いは、6月頃から始まった。知り合ったきっかけは、区内の集まりだった。奥さんのセシリアはブラジル日系三世で、彼女の母上は、ブラジルで生まれた日本人。でも、ブラジル人。父上は、スペインやイタリアの血が混ざっているブラジル人のため、セシリアの顔立ちは正に外国人である。彼女の旦那様はイラン人で、名前はアサヤさん。二人は20年以上前に日本で知り合って日本で結婚し、12才(小学校6年生)の息子くんが一人いる。とまあ、家族紹介はこのくらいにして、今日は、昨日ブラジルに帰国した母上直伝のブラジル料理を記念にここで紹介したいと思う。

 

Img_1099_2

私が彼女らと知り合った時にはすでに彼女の母上は来日していて、私の母とは年も近いため、話しているとなんとなく母と話しているような気分になる方だった。日本語は家族の中で一番上手だが、いろいろと忘れていると言っていた。懐かしさもあるのだろうか、私が訪問する度にいろいろな日本の食材のことを聞かれ、昔、ご自身の母上が作ってくれた日本料理を回想しているようだった。逆に私は、ブラジル料理を教えて欲しくて、一つ峠を越えた塩尻市にあるブラジル食材店からいろいろな材料を手当たり次第に買ってきては、料理の手ほどきを受けていた。日本のおかずと時々交換したり、楽しいひと時だった。

 

その母上が昨日、帰国してしまった。私が焼く、フランスパンがお気に入りで、週に一度は焼いて届けていたが、早くから、帰国する時はお土産に持って帰ると楽しみにしてくれていた。昨日は、焼きたてのそのフランスパンと、大好きだと言うので、出来上がったばかりの杏梅の梅干しとミョウガの甘酢漬けを届け、さよならをしてきた。名残惜しい気持ちが湧いて口をついて出てきた言葉は「また、日本に来てね。」だった。この言葉がいけなかった。母上は「私はもう歳だから日本に来ないかもしれない。」と寂しそうな顔でそう言った。私が余計なことを言ったためにそう言わせたようなものだった。馬鹿馬鹿、自分。余計なことを言ったものだ。母上が涙ぐんでしまった。私も同時にもらい泣きしてしまった。親戚でも何でもないただの近所付き合いだが、食を通して楽しい時間を共に過ごすというのは何か、特別な絆ができるものだと改めて思った。また、母上にしてみたら、高齢というのもあって、二度と来日するチャンスはないかもしれないと言うのが本音だと思う。この私ですら、この年で海外に出ればそれが最後のチャンスとなるかもしれないと、そう思うのである。「これが最後」と思うと、名残惜しさというよりも、生きて会うのが最後を思い知る別れでもあった。その涙であった。

 

さて、助走はこのくらいにして、料理の話に移ることにしよう。

 

Kibe(キビ)というのは、ふすまの付いた小麦の粒を挽き割ったもののことで、どうやら、中東からの移民とともにブラジルに運んでこられた食材らしい。今日の肉団子はブラジル料理といっても、中東のケバブのようでもある。

   

Img_1086_2

ブラジル食材店でよく見かけるファーストフードコーナーでも、温かく保温した容器で売られている。他には、鶏の丸焼きやPastel(パステル)という揚げパイのようなスナック、ポンデケージョ、コシーニャというブラジルコロッケ(レシピ参照)なども一緒に並んでいる。この肉団子の特徴は、水で戻したKibeと牛肉のひき肉を練り合わせ、にんにくやピーマンなどを刻んで塩と胡椒であじつけし、よく練り合わせて俵型に整形して揚げるシンプルさである。好みで、クローブやシナモンを少し加えて香りを味わうのもいい。Kibeと牛肉の割合は、半々か1対3くらいが適量。Kibeの量が多いと、慣れないと肉団子が破裂しやすいが、多い方がKibeの風味が良くなるし、ヘルシーでもある。今日は教えてもらったとおり、半々で混ぜた。また、卵や片栗粉のようなつなぎは一切加えないので、牛肉をよく練り上げておく必要がある。材料を混ぜる前に牛肉をほぐすように練り、味付けをしてから刻んだ野菜とKibeを混ぜ合わせると上手く行くと思う。

 

Azuselectshop_brtrigopkibe

このKibeの入手先だが、ブラジル食材店はもちろん、都市部なら外国食材店で「Yoki」製が多く売っている。

 

セシリアの母上の置き土産となってしまったこの肉団子レシピ、今後も時々思い出しては作ることになりそうである。

 

材料(3人分)   
牛ひき肉・・250g   
Kibe・・50g   
水・・200cc   
赤ピーマン・・みじん切り1個分   
ピーマン・・みじん切り1個分   
塩・・小さじ1   
胡椒・・適宜   
にんにく・・みじん切り1片分   
クローブ・・少々   
シナモン・・少々   
揚げ油・・適宜

 

作り方   
1.  ボールでKibeを200ccの水で約1時間戻す。

011


2.  にんにくとピーマンをみじん切りにする。   
3.  ボールで牛ひき肉をほぐしてよく練り合わせ、塩と胡椒、クローブ、シナモンを混ぜ合わせる。   
4.  1のKibeをキッチンペーパーなどで包んで水気をよく絞り、3に混ぜ合わせる。   
5.  6等分して俵型に形を整えながら、手のひらで叩くようにしてできるだけ空気を抜く。

   

Img_1085


6.  揚げ油を160度に温度を上げ、少量ずつ順に上げて出来上がり♪

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012-01-16

「沖縄そば」手作りしてみた:ブラジルで広まった「沖縄そば」に魅せられて

 夕方6時過ぎの30分間ほど、NHKで「海外ネットワーク」という海外のトレンディーな情報を紹介する番組がある。たまたま1月14日、途中からこの番組を観ていた。女優の紺野美沙子がゲストだと紹介していて、なんだか久しぶりに彼女の姿に触れて「老けたなぁ」などと思いながら番組に釣られた。
 前段は、日本から送り出したPKOの南スーダン情報で、さすがに現地の人々が動いている姿には関心が寄った。その次に紹介されたのが、ブラジルに住む150万人(と言われる)の農地開墾時代の苦労話で、開墾の重労働で故郷を懐かしみながら沖縄からの移住者が食べた沖縄そばの話に移った。その「沖縄そば」の昔ながらの作り方がそのまま二世、三世と受け継がれ、現在、大きなレストランとして人気を呼ぶ名物店になったという話だった。調べてみると、1908年の第一回移民は780名で、沖縄出身者は325名と、半数に近かったことが分かった(参照)。
 開店当初の話が面白かった。ずるずる音をたてて食べる日本式の麺の食べ方が恥ずかしく、カーテンをかけて店の中を見られないようにしたのが功を奏し、ブラジル人の関心をかい、ブラジルに広まったそうだ。へっ、沖縄そば!沖縄ではそばのことを「すば」と発音するという話や、現地でおジイと呼ばれる初老の男性から伝授されたその父親の手打ちそばが旨いという話を思い出した(参照)。動く画像でこのそばを見たのは初めてだった。沖縄名物の豚の三枚肉の煮物の厚切りと紅生姜、青々としたきざみ葱がこんもりのっている。想像通りのそばだった。いつか本物の沖縄そばが食べてみたいものだということだけが強烈にインプットされていた。そう、その想像していた通りの沖縄そばをブラジルの大きな店で、大勢人が食べている光景が番組で紹介された。ひょえー。これ作る!すぐにそう思った。
 ここでちょっと番組の話になるが、紹介されていた沖縄そば店の初代オーナーであるおバア、のお年はお幾つくらいだろうか、90歳近いのだろうか、私の両親よりも少し上くらいだろうか。そう思って観ていた時、母から聞いた話を思い出していた。それは私が成人したころだった。ブラジル移民やその後の生活を伝える番組は昔からあり、たまたまそのような番組を当時NHKで親子で見ていた時だった。「長崎に住んでいた頃、ブラジル移民の話があって、家族でブラジルに移民しようかと本気で考えていた頃があった」と言うのである。これを聞いたとき、ああ、私はブラジルの日系人として育っていたら、もしかしたら農場の娘になっていたのかもと、わくわく胸がときめいたのだった。その後、私はイギリスへ一人で旅立ったが・・。母の話で興味深かったのは、政府の誘い方が巧妙で、楽天地のようなブラジルだという印象付けをしていたらしく、怪しいと勘ぐったそうだ。そして、その話に乗らなくてよかったと両親が安堵していたことだった。番組に登場していた移住した人々の話も、開墾作業の辛さやお腹が空いていつもひもじい思いをしていたといった苦労話ばかりであった。が、どうだろう、昨年のある番組では、養鶏で成功した大会社の社長もいたし、大牧場のオーナーの話もあった。そして、そこには苦労話もつきものであった。
 母がブラジルへ移民しなくてよかったと言っていた頃は(1977年頃)、ブラジルの日系人二世が苦労している頃であっただろうか、そのうちの一握りの日系人が成功して今に伝えられている。と、そんな時の流れを感じ、また、老いを実感し、感慨深くしんみりした。何かをすればその結果は出すことができるが、何もしなかったとしてもそれも結果であり、自分の人生なのだと思うと、何となく何も残せていないような人生だったと思った。これから自分にどれだけのチャンスがあるかわからないが、何かをやろうと思ったらその時がチャンスなんだろうか。
 さて、沖縄そば。これ食べたいと思った。今がそのチャンスなんだなということで、早速作ってみることにした。もちろん、伝統的な材料は入手できないので、以下の紹介を参考に作ることにした。その前に、雰囲気を盛り上げる意味で、その部分をちょっと読んでスタートしたいと思い、引用させてもらった。

オジー伝承・手打ち麺の作り方だが、かんすいは使わない。ガジュマルの木灰の上澄みをかんすいの代わりにする。現在では、この製法で作る沖縄そばを「木灰そば」と呼ぶことがある。麺は白い(中華麺が黄色くなるのは本来はかんすいのため。現在では着色)。歯触りがぷりっとして噛むとぷちっと切れて心地よい。麺も滋味深い。余談だが、沖縄の豆腐もにがりを使わない。海水をそのまま使うと当然にがり成分が含まれているからだ。
オジーによる麺生地の裁断だが、うどんと同じである。伸ばして畳んで包丁でざくざくと切っていくのである。職人ではないからそう細くは切れない。それが沖縄そばが太い理由である。
ちなみに私も手打ちをしたが、うどん同様(参照)、パスタマシンで作った。ガジュマルの木灰ではなくベーキングパウダーを少量使った。重曹でもよいが、ベーキングパウダーだとつるっと感が出る。塩は入れない。

そば汁は、基本は豚ダシと鰹ダシである。豚ダシにはわけがある。そばに載せる三枚肉の煮た汁をダシとして使うのである。
三枚肉とは皮付きバラ肉である。塊で買う。東坡肉やラフテーもそうだが、皮の部分がゼラチンっぽくてうまいのである。が、沖縄とても本物の三枚肉はそう手に入るものではない。沖縄の豚肉の多くはオランダとかからの輸入品が多く、皮なしの二枚肉になる。
これを塊のまま水煮にする。小一時間煮る。沸騰したときにはアクを取る。スロークッカーとかだと煮るプロセスが簡単になるし、アクをとったらシャトルシェフに入れておいても、それなりに煮える。
煮たロース塊は8ミリくらいにスライスして、醤油と砂糖で甘辛く味付けする。これが叉焼よろしく具になる。三枚肉ではなく、豚スペアリブにすると「そーきそば」になる。
他の具では、かまぼこが欠かせない。これが内地ではあまり見かけない。方言でいう「かまぶく」は内地のかまぼこみたいな、プラスチック消しゴミみたいな感じはない。おでんの具の練り物や笹かまぼこなんかに近い。おそらく、沖縄のかまぼこは内地の昔の製法なのではないか。とりあえず、内地で作るなら笹かまぼこで代用する。
具というのもなんだが、散らすネギも欠かせない。内地・関西のネギと同じで万能ネギである。きざんで載せる。他に、紅ショウガを載せることもある。

Img_0225

 まず、麺のつなぎにはベーキングパウダーを採用した。書いてある通り、つるっとした麺の食感がポイント。それに弾力だが、冒頭のNHK番組で人々が食べているのを目を凝らして見たが、口に運んでずるずる吸い込むというよりは一口運んで歯で噛み切り、その部分から下の箸でつまんだ部分は、どんぶりに戻っていた。かなりの量であった。食べ方も豪快であったが、歯で噛み切った時に切れた麺が弾き飛ばされるような弾力というか、ぶっつり切れていた。あの弾力なんだろうなぁ。ますます楽しみになってきた。が、ベーキングパウダーだけであの食感が再現できるかどうかちと心配もあった。それに、「塩を入れない」というのが常識概念から外れている。パンだって、塩が入っていないと良く膨らまないし、甘くてまずいパンになってしまう。でも、初回なのでまず、レシピに忠実にやってみることにした。

Img_0212

 それと、三枚肉の煮物。これは沖縄で「らふてー」と呼ばれている料理のことかな。だとすると、塊肉のまま下茹でして余分な脂を取り、厚切りして泡盛で煮込んで柔らかくしてから砂糖と醤油で味付けする。皮つきの豚バラがあればよろしいが、なくても豚の角煮(東坡肉:トンポーロウ)と思えば同じである。それらなかなり簡単な作り方のレシピはここにもあるぜ(参照)。うーむ、どうしよう。その時間もなければ、スライス肉に同じような味をつけてもいいんジャマイカ。これは、身が締まって固くなりやすい鴨のスライスなどに味付けする方法で、うどんや日本そばにのせて頂く料理である。
 と、ここまで書いて、行きつけの何軒かの店を回ってくることにしよう。豚の皮つき三枚肉があったらもちろん本格的にらふてーを作ってみよう。なんせこの煮汁が沖縄そばの出汁に使われるとあれば、それはやはり豚から出たコクのある出汁にしなくては意味がなくなりそうである。
 結局、豚バラブロック肉に落ち着いた。思いは沢山あるが、まずは作ってみよう。材料と作り方は画像と一緒にできるだけ実況に近い形で書いてみようと思う。

沖縄そばの具材(三人分)

  • 豚バラ煮物(沖縄らふてー)・・一人3枚
  • 笹かまぼこ・・一人1枚
  • 紅生姜・・適宜
  • きざみ葱・・一人大さじ2
  • 沖縄そば3玉(300gの強力粉で作った手打ち麺)
  • 鰹出汁・・1000cc
  • 豚出汁(らふてーで出来上がった煮汁)・・一人大さじ2
  • 塩・・一人一つまみ

豚バラの煮物(らふてー)の材料

  • 豚バラブロック肉・・790g
  • 水・・4㍑(肉の重さの約5倍)
  • 鰹出汁・・3カップ(肉100gにつきカップ1)
  • 砂糖・・大さじ4(肉200gにつき大さじ1)
  • 泡盛・・大さじ4(肉200gにつき大さじ1)
  • 醤油・・大さじ4(肉200gにつき大さじ1)
  • 経木・・1枚またはオーブンシートを代用
  • リードクッキングペーパー・・落し蓋代わり

作り方
こちらのサイト☞を参照したが、分量も煮る時間も違うので、今回作った通りにレシピを書いておくことにした。

  1. 塊で買ってきた豚バラ肉(790g)を約5倍の水(4㍑)で強火で蓋をしないで茹で始める。

Img_0205

  2. 20分程すると泡と一緒にアクが浮き始めるので、こまめに掬い取る。

  3. その後、30分ほど時々アクを掬いながら下茹でし、脂身を崩さないように取り出して茹でたお湯は捨てる。

Img_0208

  4. 肉を7~8mmの厚みに切り分ける。

Img_0209

  5. 平鍋に経木を敷いて4の肉を並べ、鰹出汁と泡盛を加えて落し蓋をし、蓋をして中火で煮始める。

  6. 煮立ってきたら砂糖を加え、肉がわずかに動く程度の火加減に落とし、蓋を少し開けて10分ほど煮る。

Img_0210

  7. 醤油の半量を加え、同様の火加減で10分煮てから残りの醤油を加え、6と同様に約1時間煮る。

Img_0218

 ※煮汁が1/3になるくらいまで煮るのが目安だが、肉がほろほろの状態までできればじっくり煮込む。途中、水分が蒸発して煮詰まるようなら、鰹出汁を少し足しながら様子を見る。

沖縄そばの材料(3人分)

  • 国産強力粉・・300g
  • ベーキングパウダー・・小さじ1
  • 水・・150cc(粉の50%)

作り方は手打ちうどんと同じ方法で打つ(レシピ☞)。が、ベーキングパウダーだと麺を茹でると膨らむので、うどんよりも薄く延ばし、麺の幅も細目にすると喉越しが良くなる。これは沖縄そばに近づいているのだと思う。まずは、一人分だけ生地を切り取って作ってみた。
  1.  分量の水にベーキングパウダーを混ぜ、ボールで小麦粉に少量ずつ加えながら菜箸で均一になるように混ぜる。

Img_0213

  2.  ひとまとめになったら丸めてスーパーのレジ袋の中央に置き、床の上で10分ほど足踏する。途中二三回袋から取り出して四つ折りにし、生地がなめらかになるまで踏む。
  3.  生地の三分の一を切り出し、打ち粉をした台で手のひらで細長く伸ばす。

Img_0214

  4.  綿棒に巻きつけて中央から外側に向けて少しずつ押しながら前方へ綿棒を送って生地を伸ばす。

Img_0215

  5.  広げて綿棒を生地のう上で転がして生地を2mm以下の厚みに整える。(幅は約15cm長さは40cmくらい)

Img_0216

  6.  生地が重なる部分に打ち粉をしながら三つ折りにし、包丁で2~3mmの幅に切り、持ち上げて台に軽く叩きつけて麺をバラす。

Img_0217

  7.  鍋にたっぷりのお湯をたぎらせ、麺を2~3分茹でてざるに取る。

Img_0219

  8.  温めておいた器に麺を落とし、鰹出汁と豚出汁、一つまみの塩を加えた出汁を通す。

Img_0220

  9.  具をのせて完成。「どう見てもうどんだよね。これ。」「これでいい野田。」

Img_0222_2

 また、茹で上がった麺をすぐに食べる場合は、同時進行で出汁に好みの分量の豚出汁を加えて塩を一つまみ加えて沸騰状態にしておくとスムーズだが、茹で麺をしばらく置く場合は、油をまぶして風に当てるなどで素早く冷まし、冷蔵庫保存すると良いようだ。その場合の美味しい作り方がこんな風にある。

Img_0230

さて、具はある、そばもある(買ったのでもいい)、汁もある、とする。
じゃ、丼に麺を入れ汁を入れ具を載せればいいのではないか。それはそうだが、そのままだと麺は冷えているし、丼も冷えている。麺は十分温まってこそ味わい深くなるものだ。
まず汁を鍋で煮立てる。軽く沸騰させる。汁を一人分丼に注ぎ、一人分麺を入れ、しばし待つ。麺と丼を暖めるのである。そして冷えた汁だけを鍋に戻す。
汁が鍋で再び煮立つのを待ち、煮立ったら、再び麺を持った丼にかける。具を載せる。うさがみそーれー。

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2010-11-26

フランス料理の魚のラグーとモロッコのタジンと関係があるのかな

 厚みのある「修道院のレシピ」をじっくり読むのがなかなか楽しい。その時間が大変充実のひと時です。そして、興味を引かれた料理は直ぐに試してみたくなる私の性格は、ここをご覧の方ならよくおわかりでしょう。自分に許された唯一の選択の自由のような部分なので、なんだか、他へ譲れない囲いがあるのだと思います。本に取り付かれるとこの始末なので、まあ、諦めてください。

Pb230007

cover
修道院のレシピ
猪本 典子

 今日の不思議は、「修道院のレシピ」P170の「Ragoût de poisson魚のラグー(煮込み料理)の作り方を読んでいて始まりました。このレシピで使用している鍋は、フランスのココットと呼ばれる鋳物の鍋ですが、最後の二行へきて「―残りの油脂とブーケ・ガルニ、水カップ半杯を加え、塩、コショウする。―ふたをして密閉し、ごく弱火で一時間ほど煮る」って、これ私の知っているタジンと似ている、と思ったのです。
 タジンというのは、モロッコを中心に、面白い形をしたのことや、その鍋で作った料理のことを呼びます(参照)。鍋は素焼きの、蓋が円錐形に尖った丸い浅めの土鍋で、無水鍋の考え方と土鍋の遠赤効果の両方を生かせる鍋として、素材の味を尊重した料理が出来上がるので大変馴染みやすく、何を料理しても美味しいのですが、どうもこれに酷似しているのです。
 ここでかなりのめり込んでネット検索が始まりましたが、「タジン ラグー」や「ココット タジン」など様々な検索ワードを使ってもフランスとモロッコの関係からこの料理の歴史を手繰り寄せることはできませんでした。とても残念ですが、ココットの原料である鋳物の歴史に遡ると、紀元前1500年頃の前千五百年 頃なのです。エジプト のパピルスに、足踏みふいごで風を送り、るつぼの中の銅を溶かして取 り出す作業が描かれているそうです。その流れで、エジプト⇒メソポタミア⇒中国大陸⇒ 朝鮮半島、⇒日本の順に伝わったとされています。この流れで、フランスが鋳物を取り入れた時代とココット鍋の関係がわかるわけはないので、その辺を調べたのですが、関連付けができるソースが見つかりません。なんだか未消化なのです。いつか、この先に、タジンとココットの料理法が似ているのはどうしてか?そこまで調べたいと思っています。

Pb230002 Pb230003

Pb230006

 さて、今日のラグーは魚です。どんな魚でも良い、という意味でこのレシピには種別の特定がありません。ラグーは食材を選ばない料理でもあるので嬉しいです。私は、あっさりとした白身の甘い身が好きなので、鯛を半身で買ってきました。
使用する鍋は、ココットと同じ効果が得られて、タジンのように焼き物で出来ている伊賀焼の土鍋です。材料を順番に放りこんで、1時間煮こめばでき上がりです。

Pb230010

 オーブンに放り込むのと同じ要領です。( )の中は、実際に私が使用した分量です。また、参考までに、昨年タジンで作った「魚のタジン」もどうぞ☞レシピ

材料

身のしまった魚(鯛頭付き半身)・・500g
油脂(オリーブオイル大さじ1+バター30g)・・50g
じゃが芋・・600g
玉葱・・大2個
塩・・小さじ1
胡椒・・適宜
ブーケ・ガルニ(タイム、ローリエ、ミント)
水・・半杯

作り方

  1. 鯛の鱗を完全に落とすために、熱湯を回しかけて直ぐに水で洗い流して鱗を取る。
  2. 1を人数分に切り分けdる。
  3. じゃが芋は皮を剥いてスライサーでスライスする。
  4. 玉葱は5mmのくし型にスライスする。
  5. 鍋にオリーブオイルを伸ばし、じゃが芋と玉葱の半量を鍋底に敷きつめて塩・胡椒をかるくする。
  6. 鯛の切り身をその上に並べて、バターの小片をところに置き、残りの玉葱とじゃが芋で覆うようにかぶせる。
  7. ブーケ・ガルニを散らして最後に水を回しかけたら蓋をし、極弱い火で一時間程煮こんででき上がり♬

続きを読む "フランス料理の魚のラグーとモロッコのタジンと関係があるのかな"

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010-11-21

諏訪周辺で作られるポピュラーなきのこ汁(市販茸で作るためのレシピ)

Pb180005

 先日作った信州味噌仕立ての「きのこ汁(平茸・椎茸・しめじ)」(☞レシピ)でも触れましたが、いつか食べた信州のきのこ汁の懐かしいさを思い出されという方の話から、都会では入手できない茸ばかりを使ったレシピでは気の毒な気がしていました。舞茸などを使えば出来るだろう、と推測的な考えを言った手前、それは自分でも作ってみないことにはチト無責任な気がしたので、早速作りました。しかも、こちらで作るポピュラーな味付けでないと再現した事になりませんし、その雰囲気にも浸れないのではないかと思ったので醤油味にしました。また、加える野菜も当地の一般的な材料である白菜だけです。
 結論から言うと、きっとこれだ!と、納得の行くきのこ汁ではないかと思います。普通は、茸と豚肉に白菜を加えて煮こむのですが、ここに山芋(大和芋)を擂って、団子のように一口大に切りながら落としました。これだけはオプションですが、理由は、適度なとろみがお汁を冷めにくくするので、真冬には大変体が温まるためです。因みに、長芋は使用禁止です。固まらずに汁に溶けてしまいますので、間違えないように購入時に要注意です。

Pb180002

 さて、肝心の味付けですが、決め手になるのが「舞茸」です。勿論栽培物で、普通にスーパーに売っているものです。このマイタケがきのこ汁のベースの味になるというのは言わずもがな、良い出汁がでます。これに、エノキダケとブナシメジを加えるだけで十分に風味が豊かなになります。また、白菜をたっぷり入れてしなしなになるまで煮こむと、白菜の甘さがお汁全体をまろやかにします。
 これなら都会で味わる茸汁として太鼓判を押します。是非お試しあれ。

材料(5~6人分)

  • 豚バラ肉・・5mm厚で100g
  • 舞茸・・1パック(200g)
  • エノキダケ・・1/2株(市販のサイズ)
  • ブナシメジ・・150g
  • 白菜・・300g
  • 昆布・・10cm
  • 水・・1500cc
  • 白醤油(普通の醤油でも可)・・大さじ2
  • 醤油・・大さじ1
  • 酒・・大さじ2
  • 塩・・小さじ1(味見して加減)
  • 大和芋・・300g
  • 七味唐辛子・・適宜

作り方

  1. 分量の水に昆布を浸して半日以上置いて、水出汁を取る。
  2. 豚肉を切って鍋に並べ、弱火でじっくり油を出す。
  3. 2の豚肉の油で白菜を炒める。
  4. 1の出汁を加えて煮込み、沸騰したら小房に分けた茸を入れ、沸騰直前で火を弱くして10分煮込む。
  5. 大和芋を擂って一口大に箸で切りながら落とし、浮いて火が通ったら味付けする。
  6. お椀に注ぎ分け、七味唐辛子を振ってでき上がり♬

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010-11-11

大根葉の佃煮:30分煮込んでできる野菜の佃煮;ポイントは酢

Pb090003

 霜が下りる季節になっても、大根の葉や白菜の葉は枯れることなく元気です。寒さを耐え凌ぐために葉や茎は、少しだけ厚みを増して丈夫になるのです。これが夏場の野菜と違うところです。そして、筋張ってきて硬くなりますが、冬場の葉物は貴重なので何か保存に耐えるものに作り変えるのが田舎の知恵です。近年のように、年中野菜が食べられるようになってもこの辺りでは、冬場の保存食への知恵は残っています。
 近所のお婆さんから教えてもらった大根葉の佃煮のレシピですが、大根の葉が出回っているうちにここで紹介しておくことにします。以前、ゴーヤの佃煮を紹介しましたが、味はよく似ています(☞レシピ)。近所同士なのでそれもありなのかと思います。

Pb090001

 ところで、今日の佃煮の分量は、大根ニ本分の葉で作っています。我が家のように家庭菜園でも作っていない限り、普通の家庭で大根ニ本分はなかなか一度に消費できないと思います。ここで、どうするか?八百屋さんには大根の葉をいらないからと言っておいてゆく客もいるものです。聞いてみると案外あるものです。スーパーも同じです。ここまでやれる方が果たして世間にどれだけいるかな?とか、思いますが、それでも作って欲しいと思うのがこの佃煮です。
 大根葉にご縁があったら是非作ってみてください。

材料

  • 大根葉・・ニ本分(茹でて硬く絞って300g)
  • 醤油・・50cc
  • 酢・・30cc
  • 砂糖・・70g
  • しらす干し・・大さじ2
  • 鰹節・・カップ1
  • 白炒り胡麻・・大さじ2

作り方

  1. たっぷりのお湯を沸かして1%の塩を加え、大根の葉が鮮やかな色になるまで塩茹でする。
  2. 1を溜まり水に取り、固く絞って3cmに切りそろえる。
  3. 鍋に調味料を合わせて中火にかけ、2の大根葉を入れて蓋をして30分煮る。
  4. 煮汁が残ってていたら蓋を取って蒸気を飛ばして煮詰める。
  5. 最後に火を止めてしらす干し、鰹節、炒り胡麻を混ぜ合わせる♬

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2010-11-03

ほうとう風土鍋煮込みうどん:風邪引きには最高の温かい鍋

Pb010003

 何年ぶりかですが、軽く風邪を引きました。喉の痛みが二日続き、直ぐに咳が出始めたかと思ったら発熱と、なんとなく速いスピードでいかにも軽く一通りの症状を体験しました。一昨夜は、それがピークだったのか、あまり食欲も無いのに何か作って食べなければと、ぐずぐずしていました。
 「ほうとう」と呼ばれるに込みうどんは、隣の山梨県から広がったと聞いています。甲府市内のうどん屋さんには必ずメニューにあるので、今でも親しまれているうどんなのだと思いました。NHK大河ドラマで武田信玄を扱った時に、その足跡を確かめに記念館へ行った時に聞いた説明では水田の少ないこの地方では小麦粉を食べる習慣があり、信玄公の陣中食として栄養のある野菜をたっぷりとって英気を養ったそうです。それと私の風邪は、土鍋一つで作る栄養満天うどんとあれば、簡単で栄養を取って明日の英気を養うという一石二鳥というわけです。

Img_0100

 作り方は簡単ですが、何種類もの野菜を使うのでひたすら野菜を切るに尽きます。昔なら、ここで小麦をこねて熟成させてから作ったのですから、かなりのおご馳走だったのではないかと想像します。中国もそうですが、小麦粉をこねて作る料理は、客をもてなす時やお祝い事のような時だと聞いています。今回は風邪引きなので、兎に角体が温まって風邪を吹き飛ばせるような栄養のあるものを簡単に食べたかったので、買い置きの乾麺のうどんを使いました。本来のほうとうは、この辺では生麺が多く、鍋で野菜と一緒に打ち粉の片栗粉も煮込むため、麺つゆにとろみがつくのです(☞レシピ)。

Pb010001

 最後に味見をした上で、八丁味噌と信州味噌を混ぜて加えます。簡単ですが、大変美味しく、怪我の功名とはこういうことかと思ったのでした。
 ほうとうに欠かせないのは「南瓜(かぼちゃ)」だと昔から言われていて、これに是非里芋のねっとりした食感も加えてください。汁に粘りが出て、これも体の暖まる嬉しい食材です。

材料(4人分)

  • 乾麺・・4玉(320g)
  • 南瓜・・200g
  • 里芋・・大4個
  • 大根・・200g
  • にんじん70g
  • 牛蒡・・150g
  • 白菜・・200g
  • 長葱・・1本
  • こんにゃく・・1/2丁
  • 出汁・・1800cc
  • 酒・・大さじ4
  • 八丁味噌・・大さじ5
  • 味醂・・大さじ4
  • 塩・・調整用に少々

作り方

  1. 根菜の大根とにんじんは食べやすいスライスに切り、牛蒡は笹がきにする。
  2. 里芋は皮付きのまま耐熱皿に乗せてラップをかけ、5分蒸して予熱で火を通してから皮を剥く。
  3. 土鍋に分量の出汁と1の野菜を一緒に蓋をして中火で加熱する。
  4. その間に、残りの具財を切る。
  5. 2が煮立ったらうどんを加え、茹で時間の2/3まで茹でたら残りの野菜を順に加える。
  6. 野菜に概ね火が通ったら、酒、味醂、味噌で味付けし、塩加減して出来上がり♬

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010-10-30

手製のぬか漬け鰊(ニシン)の三平汁

Pa280002  富山の名物で、鰯(いわし)を小糠と塩で漬ける保存方法があると以前教えてもらった時、鰊(にしん)で作ってみたいと考えていたことがやっと実を結びました。富山ではこれを「こんか鰯」と呼ぶそうです。「こんか」の言われは、「小糠(こぬか)」が変形したそうです。諏訪でも、例えば「あそこ」というのが「あっこ」というように、話し言葉になると縮まるのと同じだと思います。
 このこんか鰯と大変似ているのが、昔、石川県の小松の友人から頂いた鯖の糠漬け(へしこ)です。この味が忘れられなかったのです。後で調べて分ったのですが、青い魚をこうやって糠に漬ける方法は、北陸から東北地方の昔の人の知恵だったそうです。温度や魚の脂の乗り、発酵の度合いで微妙に味が違ってできると聞いて、挑戦意欲が湧いたのです。こういうものは毎年作ってみないと比較が出来ないので、まずは作ってみたのです。
 ところが、レシピというものはないし、ネットで調べるとあるにはあるのですが、こういうのは作る条件が一定ではないのであまり参考になりません。結局、漬物用の三五八漬け(☞レシピ)や鉈(なた)漬け(☞レシピ)を自作しているので、その経験から塩加減してみました。

Pa280001

 ところで、魚を糠に放り込んでも充分発酵しません。どのように進むかというと、糠を好む菌がついて糠の発酵を促す水分が適当にあり、発酵しやすい温度にして環境を一定にします。すると、半日くらいで発酵が始まります。
 ネットでは、麹を混ぜる方法を見ましたが、そこまですると大変なので、鉈漬けの応用に使った市販の甘酒の素と塩を糠を混ぜて糠床にして漬け込みました。ニシンの旬である春先でしたので、気温はまだ低く、発酵はゆっくり進んだと思います。二週間ほどそのまま置いてから冷凍保存しておいたのが今日の糠漬けニシンです。

Pa280008

 かなり塩辛い筈ですが、思ったほど生臭さもなく、身が締まっています。これを水洗いして鱗を下ろし、ぶつ切りにします。あらかじめ昆布で煮て火が通った野菜の煮物に加えます。15分では塩が抜けきれず、20分で調味料を加えました。調味料の分量は、味を見て加えるしかないので、あくまでも目安です。
 三平汁にした理由は、塩抜きなどしないでそのままぶつ切りにして、鰊の塩分で味付けしたいと思ったからです。なかなか良いお出汁がでて美味しかったです。これは、やはり大人の味です。

ニシンの小糠漬け材料

  • ニシン・・3尾
  • 糠・・1カップ
  • 甘酒・・1カップ
  • 塩・・1/2カップ
  • 鷹の爪(種無し)・・1個

こんかニシンの三平汁の材料

  • こんかニシン・・2尾
  • 大根・・200g(7~8cm)
  • にんじん・・250g(1本)
  • じゃが芋・・300g(2個)
  • こんにゃく・・1丁
  • 野地シメジ・・70g
  • 長葱・・適宜
  • 水・・1600cc
  • 昆布・・10cm
  • 酒・・1/2カップ
  • 醤油・・大さじ1
  • 味醂・・大さじ2

作り方糠床の作り方

  1. 材料を袋の中で揉みこむように混ぜ合わせ、水気を拭き取った鰊を埋め込むように入れ、26度くらいの薄暗い場所で4日発酵させる。
  2. 1を冷蔵庫に移して10日置き、冷凍する。

こんか鰊の三平汁

  1. 野菜を適当な大きさに切り、分量の水に昆布を浸け、昆布出汁をとる。
  2. 鰊を洗って鱗を下ろして頭を落とし、内蔵を取り出してからぶつ切りにする。
  3. 昆布をつけたまま1に切った長葱外の野菜を加えて火にかけ、じゃが芋が煮崩れないうちに鰊のぶつ切りを加える。
  4. 20分ことこと煮込んでから長葱を加え、酒、味醂を加えて味見をし、足りない分を醤油で整える♬

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010-08-16

ラタトゥイユでコシーニャを作ってみた(涙の形のブラジルコロッケ)

P8130001

 ラタトゥイユがイギリスのシェパーズパイに変身したのに続いて、今日はブラジルのコシーニャです。コシーニャ(COXINHA)は、涙の形をしていますが、COXIの意味は「腿(もも)」という意味だそうで、言われてみれば、なんとなく鶏のもも肉のようでもありますね。日本のコロッケも俵型や小判型があります。出来上がりの形の好みはさておき、料理する側にとっては、俵型かコシーニャの形が揚げやすいです。油の中で自分で適当に浮きながら全体が均一に揚がるのです。一方、作りやすい小判型は、油が業務用のように多くあると勝手に自分でひっくり返りますが、家庭の鍋では裏返してあげる必要があります。何故かな?不思議の一つなんですよ、これも長年の。ひっくり返すタイミングを失敗するとパンクすることもあります。これは、油の温度との関係もありますが、コロッケをあげるのは割りとコツがいります。
 本格的なコシーニャはじゃが芋ではなく、トウモロコシの粉を使って熱湯で練り上げた硬い生地を作って中に具を包み込むのですが(☞レシピ)、今日は、シェパーズパイ(☞レシピ)「のリメイクなので、じゃが芋です。また、具は細かく切ってマッシュポテトに混ぜ込んでいます。表面がところどころ黒っぽく見えるのは茄子の皮の色です。

P8130006

 コシーニャの成型は、生地をピンポン玉にして親指と人差し指でつまむように片側だけを尖らせます。粉をまぶして卵液を絡めてからパン粉をまぶします。勿論パン粉は砕いて細かくします。これは普通のフライを作る工程と同じです。揚げる鍋は、口の広いものよりも、狭くて縦に長い鍋のほうが油が少ない割りに深さが出るのでコシーニャが立った状態で揚がります。
 火加減は割りと強めでも大丈夫です。中の具には火が通っているので、表面が色よく揚がれば出来上がりです。

材料(6個分)

  • ラタトゥイユ・・150g
  • マッシュポテト・・150g
  • パン粉・・大さじ3~4
  • 小麦粉・・小さじ2
  • 溶き卵・・大さじ2(同量の水を混ぜる)
  • 揚げ油・・適宜

作り方

  1. パン粉は袋に入れて麺棒を転がして細かくする。
  2. ラタトゥイユを細かく刻んでマッシュポテトと混ぜ合わせ六等分する。
  3. 2を最初は丸め、親指と人差し指で輪を作って片側を尖らせ、円錐形にする。
  4. 小麦粉を刷毛で軽くまぶし、溶き卵と同量の水を足した液を絡めて1のパン粉をまぶす。
  5. コシーニャがすっぽり被るくらいの油を180度に予熱して揚げる♪

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2010-07-19

Twitterで静かな話題の韓国料理「ジョン」

P7170009

 先日Twitterで韓国の「ジョン」の話が出て、「ジョンふうピカタは簡単でうまい。エントリ書くかな。」で終わっている話がある。ボツネタになってしまったのか準備中なのか。なかなかエントリーがあがりそうもなく、考えていたら食べたくなったので私流に作ってしまいました。ピッカータに固執したわけではなく、豚ロースのスライスを使ったチヂミのつもりで軽く作りましたが、ジョンの作り方で、何か面白い方法でもあるのかなと、「ジョン風ピカタ」も楽しみにしています。
 関連して、日本のお好み焼きが浮かびます。作り方は、私が知る中では広島焼きと関西風です。昔、歌舞伎座の裏手の東銀座のお好み焼き屋によく行きましたが、関西風の作り方でした。今は、個性的なお好み焼きが増えて、様変わりしているのでしょうか。個人的には、器で生地と具を混ぜて丸く焼く関西風よりも、「のせ焼き」の広島風が好きなのです。山盛りのキャベツが熱で圧縮され、二つ折りにして供してくれます。諏訪に一軒だけ、広島の人が経営する広島焼きのお店があり、そこで焼いてくれるのをて見ていて知りました。

P7170001 P7170002 P7170005

 韓国にも色々な作り方があると聞きますが、ジョンはチヂミの一種で、小麦粉と卵の生地を具につけてから焼く方法と、小麦粉を具につけて、解き卵をくぐらせて焼く方法があるようです。が、これも定かではありません。
 今回の方法は、どちらでもないといえばそうかな。もっと手抜きみたいな、、、。韓国の人に教えてもらった、家庭の作り方です。
 具は何でもよい。基本的には、全体がまとまりやすくなるような長い野菜、例えば、細葱、もやし、韮など。それと彩りとしてパプリカや人参も。魚介類や肉類も何でもよい。スライスの肉の変わりにベーコンも大変美味しいですよ(☞レシピ)。
 まず、つなぎの為の細長い野菜を決めます。これに、バットの上で小麦粉をまぶします。つなぎの解き卵の半分をざっくり絡め、油を引いたフライパンに均一に広げます。他の野菜をその上に散らし、バットに残った卵と小麦粉に残りの玉を加え、混ぜ合わせながら寄せ集めてまわしかけます。最後に肉のスライスで覆うように広げます。底の部分がはがれて動くようになったらターナーでひっくり返します。

P7170006

 いつもはここで松の実入りの酢醤油を流し込んで味付けするのですが、他にまだ焼く予定があったので、付けダレにしました。
 つなぎの丘ひじきは初めて使ったのですが、しゃきしゃきした食感でとても美味しかったです。強くお薦めです。

材料(25cm×2枚)

  • おかひじき・・80g
  • 人参・・5㎝
  • パプリカ・・1/4個
  • ピーマン・・1個
  • 豚ローススライス・・4枚
  • 卵・・3個
  • 小麦粉・・大さじ2

タレ

  • 松の実・・大さじ1
  • 酢昆布醤油・・大さじ2☞レシピ
  • 胡麻油・・小さじ1

作り方

  1. 野菜を洗って水気を切ったら、オカヒジキだけバットにのせ、小麦粉大さじ1をまぶす。
  2. パプリカとピーマンは縦に細長くスライスし、人参は適当に薄くスライスする。
  3. オカヒジキの半分を別に取り置き、バットに残したオカヒジキに卵の1/4量を絡める。
  4. フライパン(フッ素加工がベスト)に油を塗り、3のオカヒジキを平らに並べ、人参とパプリカ、ピーマンを散らす。
  5. バットに残った卵と小麦をスパチュラで集め、残りの卵の1/3を足して混ぜ合わせ、4に回しかける。
  6. 最後に豚肉を多い被せるように広げ、そのまま底から剥がれるまで焼き裏返す。
  7. 裏返したらターナーで所々押さえてむらなく焼けるようにする。
  8. 焼き上がったら切り分け、タレをかけて食べる♬

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧