揚げ物

2019-11-04

レモンとバジル風味の鶏の唐揚げーサクサク・カリカリの衣考

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 先日Twitterでも垂れ流していましたが、揚げ物の衣のベストについて、いろいろと調べ物などをしていました。大真面目に天ぷらのサクサク感について各種デンプンの実験をし、その研究報告を公開している研究者がいるのを見つけて驚いた次第でした。それが今やネットで、無料で閲覧できることも素晴らしい。この時代に生きていることは、無限にその恩恵を受けられるのだと、改めて研究者の努力に感謝します。

 さて、「天ぷらや唐揚げに使う衣の粉はサクサク、カリカリが良いに決まっていて、そうなるには、小麦粉を冷たい水で溶いて使うのが良い」という、慣習的に、言われたとおりに何も考えずに料理することは間違いではないけど、応用が効かないのです。なぜ、小麦粉なのか?本当に小麦粉がベストなのか?他の粉で試したこともないのに、言われた通り、みんなが良いと言っている方法が良いのか?と言う疑問を解いていこうと思いました。とは言え竹田靖史(たけだ やすひと)さんの研究結果がしっかりあるので、再現すると言うか、自分の実験の結果が今日の料理紹介になりました。

 まず、ご参考までに、研究者の結果をべったり貼り付けます。

最もよいサクサ ク感を与えたのがトウモ ロコシと,サクサク感が劣ったジャガイモの衣の中での澱粉粒の形状を走査型顕微鏡で観察した。サクサク感を与える衣では,澱粉粒の形状がほぼ保たれているのに対して,サクサク感のない衣では,澱粉粒の形状が完全に失われていることがわかった。そこで,澱粉を予め湿熱処理して衣に使うと,ジャガイモ澱粉でもサクサク感が大幅に増加し,澱粉粒の形状がほぼ保たれていた。湿熱処理は澱粉分子に強い結合をつくって,澱粉粒の崩壊を抑制することによる。また,サクサク感をあたえる衣の中のアミロー スは糊化が十分ではないが,サクサク感の劣る衣のではよく糊化されていることもわかった。 アミロースが澱粉粒の崩壊や糊化をコントロールし,サクサク感を左右しているのである。
 このように,澱粉がてんぷらの衣のサクサク感の発現に大きく影響していることを,初めて知ることができた。

 このアミロースと言う物質は、リンク元の報告書の前段に記述がある通り、インディカ種とジャポニカ種の米の粘りの比較実験で証明されている通りで、天ぷらを揚げた後の衣にアミロースの糊化がどの程度見られるかによって、サクサク感に影響を与えている。アミロースが壊れてしまった衣は、べっちゃとして、衣に粘度が加わることで糊化してしまったと言える。

 また、「湿熱処理」と言う新しい言葉が飛び出してきたので、これも調べると、いろいろな方法があることが分析結果として見つかった。そして、この実験を知らずに、自分であみ出した方法の立証にもなりました。ちなみにその方法とは、サツマイモ澱粉をオーブンシートに薄っすらと撒き、その上から霧吹きで水を散らすと、澱粉の小さな粒になります。そのまま自然乾燥させて唐揚げの衣に使ったところ、これが非常にカリカリとした食感を生み出すのです。ですから、実験結果に納得できた次第です。よく考えると、鏡餅の揚げあられやおせんべいなどもそうです。中国の揚げたおせんべいも同様に、水で加工した米粉や小麦粉を乾燥させたものに火を入れると、カリカリになるのです。ギリシャのクスクスも、上記の方法で作られています。

 実験的にですが、竹田さんの実験にある通り、トウモロコシ澱粉と小麦粉を半々に混ぜた衣と、小麦粉だけの天ぷら粉で揚げたエビの食感を比較すると、揚げた直後は、どちらもサクサクした食感はあるものの、トウモロコシの方がゴワゴワした硬さでした。しかも、小麦粉だけの衣との違いは、翌朝になってもカリッとしていた点でした。小麦粉だけの衣なら、揚げたてを食べるのに最適ですが、お弁当などにはトウモロコシの衣がおすすめです。

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 これまでのことで結論として言えるのは、穀類澱粉は、揚げ物に一番適していて、サクサクした食感を長持ちさせるために、湿熱処理された根茎類澱粉を混ぜることで、サクサクの食感がより軽くなるということです。また、唐揚げなどでは、下味をつけた肉に片栗粉をまぶして揚げますが、粉っぽさが残っていないほうがよりサクサクした食感が生み出せる理由は、下味の水分を吸った片栗粉は、揚げる時の水分の飛散率を高めるからだと言えそうです。

 そしてダメ押し的に自分の経験から加えると、唐揚げのように、下味つけ液に漬け込んで揚げる場合は、卵白を下味の具材に混ぜてから粉を混ぜると、卵白それ自体が揚げるとカリカリになるタンパク質のため、さらにカリカリとした軽い食感が生み出せるとことです。今日のレシピは、これらのことを踏まえて生まれました。

 本題に入ります。

 一見、普通の唐揚げみたいですが、下味の材料は一般的な家庭料理とは言えないらしいので困りもの。私としては、日常の料理です。まず、アンチョビーソースが、入手困難です。品揃えの良いスーパーなら、アンチョビーベーストとして、チューブ入りがあります。それでも良いです。画像の瓶入りのソース状のは、カルディで見つけました。このアンチョビーソースは、私にとってはオイスターソースと並んで、万能的な存在です。それもなかったら、瓶詰めのアンチョビーを買ってきて、すり鉢でペースト状にすると代用できます。次に、レモンの塩漬けです。インドやモロッコ、アフリカなどの家庭で、自家製の調味料といった使い方をしています。画像のは、冷蔵庫で3週間ほど寝かしたものですが、もっと漬け込んでおくとレモンが発酵して色味がクリーム色になり、ベタッとした状態になります。この状態がベストで、塩辛さもマイルドになり、レモンの酸味も角が取れて非常に味わい深くなります。発酵食品とし、肉を柔らかくする効果もあります。鶏肉のソテーや、豚肉などの下地付けに最高です。そして、アンチョビーソースと塩レモンにニンニクという3強の香りが一緒になると、これがもう、唐揚げだけで鱈腹になってしまうほど大食いしてしまいます。そして、「この味付どうやったの?」と、必ず聞かれます。まあ、美味しいこと間違いないので、ゆっくりレモンでも塩漬けするなどから始めてみてください。

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 画像の唐揚げのトッピングは、フレッシュバジルの素揚げで、実は、油を中火にかけてから3分後ほどにカラッとなるまで低温で揚げます。この時のバジルの香りが部屋中に広がり、換気扇の外からは、通行人の「いい匂い」と言う声が聞こえてきます。この香りが、唐揚げの油に移るのもそうですが、エキゾチックな鶏の下味とこのバジルの素揚げがベストマッチなのです。一口運ぶ時に、バジルの葉も添えて食べてみてください。ある意味感動的で、バジルが大好きになるんじゃないかと想像します。
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 ところで、11月にもなってフレッシュバジルがなぜ我が家にあるか、なんですが、夏に育ったバジルは9月頃まで畑から収穫できますが、その後はどんどん枯れてしまいます。その前の全盛期に良い枝を切り取って花瓶に挿しておくと、切り口から根が生えてきて、どんどん成長し、花が咲くようになります。花も揚げて一緒に食べますが、シソ科の植物なので、わりと温度には弱く、ギリギリ、いつまで食べられるのか、これも実験しています。

 今回の唐揚げは、二度揚げで、カリカリとした食感の実現をしました。一度目は低温で、鶏肉の表面の色が変わる程度まで揚げて引き上げ、二度目は170℃くらいの温度で、カラッとなるまで揚げています。気泡が静かになって、音も静かになれば揚げ上がりです。

材料(鶏モモ肉二枚分約700g)

・鶏モモ肉・・・2枚(約700g)
・フレッシュバジル・・・1本

下味材料
・アンチョビーソース・・・大さじ2
・ニンニクすりおろし・・・2片
・レモンの塩漬けみじん切り・・・半個分
・塩と胡椒・・・適宜
・卵白・・・1個分


・トウモロコシ粉+小麦粉・・・各大さじ2

作り方
1.鶏肉の余分な油などを掃除して、小さめの一口大に切りそろえる。
2.卵白以外の下味材料をボールで合わせ、1の鶏肉を混ぜ合わせて最低、1時間漬け込む(一昼夜でも良い)
3.衣をボールで混ぜ合わせておく。
4.卵白を2の味付き鶏肉に混ぜ込む。
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5.揚げ油を中火にかけ、3分後にバジルの葉をからっとなるまでゆっくり揚げて、油を切っておく。
6.3の衣ミックスを4の鶏肉に混ぜ込み、粉っぽさがなくなったら鍋の表面積の3分の2ずつ揚げる。(油の温度は100℃~140℃)7.油の温度を170℃まで上げ、6の鶏肉の仕上げ揚げをする。
8.皿に盛り付け、バジルの葉を散らして出来上がり♫

 

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2010-11-24

真鯵(まあじ)のポワレ:細挽きのパン粉で油控えめでヘルシーに

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 スーパーのお惣菜コーナーは、いつも多くの客でにぎわっています。先日は、かなり多くの人が集まっていたので何事かと思い、立ち止まってじっくり見入ってしまいました。
 好みのおかずを好きな分量だけ自分でセレクトして計量器で量り、1g/1円で値段のタグを受け取ったら容器に貼ってレジで会計をするという仕組みなのです。この方式は、東京の息子の住んでいる町内のスーパーにも確かありました。
 魚料理や肉料理、サラダや煮物、何でもごじゃれです。特にここで多く見られたのは揚げ物でした。買っている人に「どれが美味しいですか?」と試しに聞いてみると、「あまり美味しくないけど、家で揚げ物するのは面倒だからここで買う。」と、言うことでした。これがきっと平均的な主婦の思いなのだろうなぁ。とか思いながら、肉や魚のフライを見ると、形が変わってしまうくらい大きな粒のパン粉がこってりついています。しかも、こげ茶色に揚がっていて美味しそうなのです。身を食べると言うよりは衣をほうばると思えば納得ですが、それにしても、アレ何グラムでおいくら?と、計算が頭をかすめました。しかも、カロリーも高そうです。と言うわけで、隣の鮮魚で鯵を買って自分でフライにすることにしました。

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 フライを家で作るなら、パン粉のキメを細かくサラサラにするのをお勧めです。こうすることでパン粉を最小限度に抑え、少ない油でフライパンで揚げ焼きすることができます。使用するのは、私は大概オリーブオイルをカップに半部ほど使い、ターナーで少し押さえるようにします。これで、ムラ焼けしないで均一に火が通ります。そして、後片付けも簡単です。

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 市販のお惣菜選びの際、自分の好きな物に傾倒しがちです。わざわざ嫌いなものを選ぶ人はあまりいないでしょう。揚げ物が好きなら、日替わりでいろいろな揚げ物を毎日食べることもできるのです。また、最近聞いて驚いた言葉に、「嫌いなものを無理して食べる理由が分らない。」と話した30歳代男性もいます。大人になってからこれでは、どこから教育が途切れたかを聞かないと、ヘタに途中の説明は通じないということも分りました。栄養が偏るので、健康を害さないよう注意が必要なのだと付け加えておきます。
 今日は、前段の話を受けて、意識的にあっさりした衣を使ったレシピにしました。しかも、さくさく感もあるので是非お試しを。

☆ 参考➠油脂の栄養価について

材料

  • 真鯵の開き・・3尾
  • 塩・胡椒・・適宜
  • オリーブオイル・・カップ1/2

  1. 小麦粉・・大さじ2
  2. 溶き卵・・大さじ2と同量の水
  3. パン粉・・大さじ3

材料

  1. 頭を切り落して腹から尻尾に向かって包丁を入れ、腸を取り出し、流水で洗ってから腹側を開く。
  2. 中骨のついている身を手前に置いて包丁を入れ、骨に包丁を当てながら引き、最後に骨を切り取る。
  3. 2に軽く塩を振り、水が滲み出したら吸い取る。
  4. 3に軽く粉を振る。
  5. パン粉を細かく砕いて(袋に入れて麺棒を押し当てて転がす)ボールにいれ、解き卵に水を加えてつなぎを作る。
  6. 4の鯵に卵液を絡めてパン粉の入ったボールに入れ、揺すってパン粉をまぶしたら押さえてバットに並べ、ラップをかけて冷蔵庫で最低10分おき、パン粉を落ち着かせる。
  7. フライパンでオリーブオイルを中火で温め、パン粉摘まんでを試しに落とし、直ぐに散らばるくらいになったら鯵の皮目を下に焼く。
  8. ターナーで軽く押さえて均一に火が通るようにする。
  9. 焼き色を確認して裏返し、完全に火を通す♬

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2010-10-21

ホウボウの変わり揚げ―背開きで骨までカリカリに:きれいに仕上げる三つの技

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 ホウボウという魚はグロテスクな姿の割に可愛い目と、額から口にかけた部分の間延びした曲線が憎めない顔立ちをしています。これを料理にしちゃうんです。特に、出汁が絶品で、アクアパッツァ(☞レシピ)などのスープ料理でよく食べます。今日は、このホウボウを丸ごと食べてしまおうということで、丸揚げにしました。そして、仕上がりが一番美しくなるように三つの技法を使っています。

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 まず、見た目ですぐに分かる通り、背びれを中心に両方に開いています。通常、魚の唐揚げで中骨がカリカリになるまで揚げるとなると低温で一度揚げ、温度を上げて二度揚げをします。この方法だと、身の水分がすっかり抜けてパサつくのも致し方ないとしていましたが、背開きの方法だと骨が表面にでていますので油が直接当たって早くカリカリに揚がります。魚を菜箸で掴んで持ち上げてみた時、軽くフワっとしていたら大概大丈夫です。色も見分けるポイントです。
 さて、次の技は、魚に傷をつけずに腸を出す方法です。「壺抜き」と呼ばれていますが、菜箸を口から二本腸の部分を挟めるまで差し込んで、捻りながらエラも一緒に挟んで取り出す方法です(☞レシピ)。
 ここまで準備したら、揚げる前に一時間ほど室内にそのまま置いて表面を乾燥させます。これが表面をカリカリに仕上げる最後の隠し技です。

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 いつもと違う仕上がりになると思うので、是非お試しを。
【他の魚の料理例】
☆ 白ぎすの唐揚げ☞レシピ
☆ ハタハタ☞レシピ
☆ 鰯のトマトクリームソース煮☞レシピ

材料

  • ホウボウ・・4尾(23cm)
  • 塩・・適宜
  • 小麦粉・・小さじ2
  • 揚げ油
  • レモン汁・・適宜

作り方

  1. 胸びれと腹びれを短くはさみで切って取り除く。
  2. 口から菜箸を一本ずつ腹に向かって差し込んでエラを二本の箸で挟み、腸まで差し込んでから箸を掴むように持ち替え、ひねりながら引き抜く。
  3. 内蔵を洗い流して横に置き、背ビレに沿って中骨より少し深い部分まで包丁を入れ、頭の付け根から尻尾の辺りまで、切込みを入れて開く。
  4. 水気を拭きとり、笊などの上で一時間放置して自然乾燥させる。
  5. 軽く塩を振って小麦粉を刷毛でまぶし、180度の油でじっくり揚げる。
  6. 食べる直前にレモン汁をかける♪

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2010-10-09

レンコンのはさみ揚げ(牛挽肉とたらこ&豆腐ペースト):フライの衣付けを効率よく一人作業でやる方法

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 今日は、蓮根(れんこん)のはさみ揚げです。我が家としては初レンコンですが、今年のれんこんは8月に取れ過ぎで、9月下旬には市場にあまり入ってこないと聞いていました。そんなことがあるのかと驚いたのですが、今年の気温の異常性が蓮根の育つ沼地に影響しても然りです。その後、首を長くして待っていた甲斐があったというもので、蓮根がいつになく美味しいと感じました。キメが細かく、シャキシャキとした食感と甘味に久しぶりに感動しました。
 蓮根に挟んでパン粉をつけて揚げると何がいいか?って、それは、蒸された蓮根がむっちりしているくせにしゃきしゃきとした食感がとてもいいのと、何が間に挟んであるかが楽しみだということです。プレゼントを開ける時のあの楽しみでわくわくする感じと同じです。で、今日のわくわくは、牛挽肉と、ペースト状にした木綿豆腐に鱈子を混ぜ込んではさみました。特に注目は、鱈子と豆腐の具で、蓮根の間で蒸されていることと、蓮根自体に癖がないせいか、それぞれの香りが楽しめました。

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牛挽肉は小さく丸めて軽く潰してから蓮根に挟みます。粘着性が良くなるように片栗粉などをまぶす方法を見かけますが、その必要は蓮根の場合はありません。蓮根自体がでんぷん質なのです。
 また、豆腐の加工は至って簡単で、先日トルテローニ(☞レシピ)で使った具ですが、豆腐の水分をできるだけ抜いたらすり鉢ですって練り、ここに鱈子をほぐして混ぜるだけです。
 具を作ったら5mmくらいの厚さに輪切りにした蓮根にはさみ、軽く押して安定させてから衣をつけます。
 一人で作業する場合は、まず小麦粉を刷毛で叩くのを一気にやってしまいます。材料が一つゆったり入る程度のボールにパン粉を半分ほどいれ、卵のつなぎ液をくぐらせたらボールに移します。▶この時は、手を濡らさないように菜箸などを使います。ボールを軽く揺すって材料にパン粉が被ったら最後に手で軽く押してパン粉を落ち着かせます。今回のパン粉はカロリーを最小限にするため、油をあまり吸い込まない細挽き(潰して細かくする)にしましたので、使用量は普通の半分です。
 この作業が終わったらバットに並べてラップをかけ、冷蔵庫で30分休ませます。こうするとパン粉が馴染んで、油に剥がれ落ちなくなります。
 ▶170度の油でじっくり揚げ、練り辛子を添えてでき上がりです♪

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材料(8個分)

  • 蓮根・・270g(12~3cm)
  • 牛挽肉・・60g
  • 木綿豆腐・・60g
  • 鱈子・・30g
  • 小麦粉・・小さじ2
  • 溶き卵・・大さじ1.5(同量の水)
  • パン粉・・カップ1(細挽きだと実際はその半分)

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2010-09-06

冷凍カラスカレイのフリッター:初心者でも失敗のない揚げ方

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 カラスカレイはアブラカレイとは違う種別だと言われています。肉質自体は非常によく似ていて、脂を多く含んでいるのは勿論のこと、ソフトな食感はそのとおりだと思います。煮付けたりして火が通ると身が崩れやすくなるのですが、衣をつけて揚げ物にすれば扱いは楽です。また、フライのようなしっかりした衣だと良いのですが、普通の天麩羅の衣では扱いは少し難しくなります。今日は、そういった問題を一気に解消できるフリッターにしました。
 表面がカリカリで、時間が経ってもくったりいない衣は誰もが理想としています。その衣を目指して苦労して、このかた何年だったかな?自分。振り返ると昔はよく失敗もありました。その失敗の繰り返しから生まれ、今や定着している方法で今日は作ります。揚げ物の初心者でもまず間違いなく失敗しない方法だと自負していますで、恐れずに試してみてください。
 苦労の軌跡は一応こちら☞「豚ヒレ肉のフリッター:壇さん、大竹のまことちゃんを越える肉天とは:高校生が喜ぶヘルシーな肉料理」で触れましたが、大竹まことさんの肉天と壇一雄さんの本格フリッターを足して割ったようなレシピです。

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 具に下味をつけるかどうかは、食べる時にタレをつけたり塩をまぶしたりするかどうかもありますが、往々にして下味をつけると肉や魚は硬くなってしまいます。ところが、衣がしっかりしているフリッターではそういうことがありません。また、水分が揚げ油に吸収されずに静かに揚がります。これが講じて良いこともありますが、逆に今日のカラスカレイは冷凍なので水分は多いので、衣をつける前にキッチンペーパーなどでよく吸い取ります。

材料

  • 冷凍カラスカレイ(切り身)・・3枚
  • 付け合せの野菜・・レタス・にんじん・パプリカ・きゅうり等

衣の分量

  • 小麦粉・・50g
  • 溶き卵・・大さじ1
  • 黒ビール(ギネス)・・60cc

なければ普通のビール

作り方

  1. カラスカレイを解凍し、キッチンペーパーなどで水分をよく吸い取る
  2. 付け合せの野菜を水にさらしてしゃきっとさせ、皿に盛り付ける。
  3. 揚げ油の温度を180度まで上げる。
  4. 小麦に空気を含ませるように笊で振るう。
  5. ボールに溶き卵と分量のビールの半量を混ぜ合わせ、4の小麦粉をさっくり混ぜ合わせ、揚げる直前に残りのビールを混ぜる。
  6. 油の温度が180度になったら1のカラスカレイにたっぷり衣をつけて揚げる。
  7. カレイが表面に浮いたら引き上げて油を良く切り、器に盛り付けて出来上がり♪

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2010-08-24

真鱈の使いきりレシピ:から揚げ:鱈子とアラの煮物

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 秋刀魚が不漁で、困った困ったとニュースで連日報じていますね。海水温度の影響だとNHK解説委員が話していましたが、秋刀魚は秋よりも夏の今頃が美味しいのに、と、ぷんぷんしても仕方がありませんね。ないときはないで、あるのもで料理をするしかありません。

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 ちょっと大きいとは思ったのですが、50cmくらいの真鱈です。頭も大きいし、尾びれに向かってガクッと身が細くなるのでまあいいかと買ってきました。それにしても大きくて、子持ちでした。鱈の子持ちには思わず得をした気分になります。ここで早速鱈子を煮る事にして、中骨に心持ち厚めに身をつけて下ろし、アラ煮を作ることにまず決めました。身の方は、たっぷりあるので、から揚げにし、余ったら餡かけや醤油を絡めて煮ても良いかと計画しました。

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鱈の表面の鱗を下ろし、頭を切り落したら内臓を引き出す。鱈子は皿などに取り置き、三枚に下ろす。骨は適当な長さにぶつ切りにする。ここで酒、醤油、砂糖を煮て沸騰したら中骨と鱈子を並べ、落し蓋をして煮汁が半分になるまで煮付ける。下ろした身は、斜めに2cm幅で削ぎ切りにする。水分を吸い取って片栗粉を刷毛でまぶす。その頃には煮つけが出来上がっている。
 と、まあ、こんな感じに料理は流れるのですが、割とスムースに運んでしまいます。先日もコメント欄で、「包丁をよく研ぐ」ということに触れられていましたが、鱈のような滑りやすい魚の場合は特に包丁の切れ味が決めてになります。また、切れない包丁は、無駄な力を必要とするので指を切りやすく危険です。

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 から揚げの鱈のタレは、タイ産のSweetChileSauceやレモン汁をかけるだけも十分ですが、美味しい塩(参照)と胡椒だけでも美味しいです。特に夏場の塩は美味しく感じます。冬にはあまり味わうことのない感覚ですが、それだけ塩分を必要とする体調なのだと思います。しっかり塩分の補給です。

材料

  • 真鱈・・1尾
  • 片栗粉・・大さじ1.5
  • 揚げ油

煮汁の調味料

  • 醤油・・30cc
  • 酒・・30cc
  • 砂糖・・小さじ2

作り方

  1. 上記の「▶」部分のようにして鱈を三枚に下ろす。
  2. 鍋に煮汁の調味料を合わせて中火で熱し、煮立ったらアラと卵を並べて落し蓋をする。
  3. 煮汁が半分くらいになったらそのまま冷ます。
  4. 下ろした二枚の身を2cmくらいの幅で斜めにそぎ切り、軽く塩を振って10分おく。
  5. 水気を吸い取って片栗粉を刷毛でまぶし、180度の油で色よく揚げる。
  6. 野菜と一緒に盛り付ける。

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2010-08-20

手製の塩鯖と和風レモンマリネのレシピ

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 今日は手製の塩鯖からマリネを作ったよ、というレシピです。干物のレシピとマリネのレシピを貼り付ければできちゃうエントリーですが、実際に鯖の干物を作る方は少ないかな。今の時代。昨日、いや、一昨日かな、コメントを頂いた主婦歴4年の若い方が、このブログに出会ったお陰で魚をさばくのをささっとこなしたくなったという願望を持ったそうです。どのエントリーかは分りませんが、以前はレシピにその詳細を書いたり、適当な画像がないときはマウス操作だけで書く「お絵かき」を一生懸命画いたりするようなこともしていました。ですが、今はしていません。魚屋さんがみなやってくれるか、スーパーではさばいた形でパックになっていますので、その必要がなくなったと感じています。

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 さて、鯖はとても簡単に下ろすことができます。頭を胸鰭から落として内蔵を引き出し、綺麗に洗い流します。腹の部分を肛門から頭に向けて切り裂き、包丁を中骨の上に平行に突き刺し、内臓があった部分の中骨から骨を外すために裂きます。反対側の側面を手前に位置を変えて、切り裂いた腹の外側から包丁を入れ、中骨に包丁の先を当てながら尻尾まで引き下ろします。これで身が骨についているのは腹側の肛門から尻尾までになります。その面を手前になるように位置を変え、包丁を尻尾の部分に差し込み、残っている身を骨から離すと二枚下ろしになります。
 二枚下ろしになった鯖を8%の食塩水に1時間漬け込み、塩締めしてから水分を拭き取ったら冷蔵庫で保存します。もっと塩を多く、10%くらいにすると日持ちがよくなりますが、いずれにしても冷凍保存できます。

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 この後、焼き魚やから揚げ、マリネ、ソテー、フライなどどのような料理にも直ぐに使えるのです。鯖が安価な時に多めに作っておくとよいです。
➠参考料理:塩鯖のレモンマリネ

マリネの材料

  • 塩鯖・・2枚
  • 片栗粉・・大さじ1.5
  • レモン・・適宜
  • ピーマン・・1/2個
  • 玉ねぎ・・1/4個

マリネ液

  • 酢・・50cc
  • 醤油・・小さじ1
  • 砂糖・・小さじ1

作り方

  1. 鯖は斜めにそぎ切りにして片栗粉刷毛でまぶしておく。
  2. ピーマン、玉ねぎは薄く細く切り、レモンは極薄いスライスにする。
  3. バットにマリネ液の調味料を混ぜ、2の野菜を浸す。
  4. 180度に予熱した揚げ油で1の鯖を色よく揚げ、油を切った傍からマリネ液に浸す。
  5. 直ぐに食べてもよいが、しばらく冷蔵庫で冷たくしていただくとよい♪

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2010-08-17

高野豆腐の揚げだしとモロッコインゲンの冷たいお浸し

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 そろそろモロッコインゲンもお終いに近づいてきました。今年の種蒔きの時期があたりだったせいか、四種類の豆には満たされた夏でした。本来なら、春蒔きの収穫が終わったら入れ替わりに夏蒔きにすると秋にも楽しめるのですが、蚋に咬まれる騒ぎがあったり、雨が多かったりと、何かと時期を逸するに充分な理由が揃ってしまいました。この秋は少し寂しい畑になりそうです。
 今日は、最後の(我が家のは)モロッコインゲンと揚げた高野豆腐をタレに浸して冷たくした料理です。出汁は、鰹でしっかりとったので和風の味付けということで、私の好物の揚げ浸しです。新しいレシピではありませんが、モロッコインゲンとの相性が良いので、この組み合わせ自体が凄くお勧めな料理なのです。

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 モロッコインゲンは揚げても茹でても炒めても美味しい上、火の通りも良く豆が硬くないので食べやすいと言われます。今日は、だし汁が良くしみ込むように、軽く塩茹でしています。加えるタイミングは、高野豆腐fが揚がってだし汁に漬け込む時に一緒に浸します。高野豆腐に残っている予熱で全体の温度も上がりますので、すっかり冷めて出来上がった頃には味もしみ込んでいます。

材料

  • 高野豆腐・・80g
  • モロッコインゲン・・100g
  • 片栗粉・・大さじ2

出汁

  • 鰹出汁・・400cc
  • しろ醤油・・50cc
  • 塩・・小さじ1/2
  • 酒・・50cc
  • 砂糖・・大さじ1.5

作り方

  1. 高野豆腐は袋に書いてある通りに戻して、水気を固く絞る。
  2. インゲンは洗ってヘタの部分を切り落とし、2%の食塩を加えた熱湯で30秒ほど茹でる。
  3. 1の高野豆腐に刷毛で片栗粉をまぶす。
  4. 鰹出汁に調味料を加えて一煮立ちさせる。
  5. 180度に揚げ油を設定して(予熱して)を3の高野豆腐を揚げる(油の音が静かになるまで)。
  6. 5の高野豆腐の油を切ったら出汁に漬け込む。
  7. 最後にモロッコインゲンを加え、良く冷やしてできあがり♪

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2010-08-16

ラタトゥイユでコシーニャを作ってみた(涙の形のブラジルコロッケ)

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 ラタトゥイユがイギリスのシェパーズパイに変身したのに続いて、今日はブラジルのコシーニャです。コシーニャ(COXINHA)は、涙の形をしていますが、COXIの意味は「腿(もも)」という意味だそうで、言われてみれば、なんとなく鶏のもも肉のようでもありますね。日本のコロッケも俵型や小判型があります。出来上がりの形の好みはさておき、料理する側にとっては、俵型かコシーニャの形が揚げやすいです。油の中で自分で適当に浮きながら全体が均一に揚がるのです。一方、作りやすい小判型は、油が業務用のように多くあると勝手に自分でひっくり返りますが、家庭の鍋では裏返してあげる必要があります。何故かな?不思議の一つなんですよ、これも長年の。ひっくり返すタイミングを失敗するとパンクすることもあります。これは、油の温度との関係もありますが、コロッケをあげるのは割りとコツがいります。
 本格的なコシーニャはじゃが芋ではなく、トウモロコシの粉を使って熱湯で練り上げた硬い生地を作って中に具を包み込むのですが(☞レシピ)、今日は、シェパーズパイ(☞レシピ)「のリメイクなので、じゃが芋です。また、具は細かく切ってマッシュポテトに混ぜ込んでいます。表面がところどころ黒っぽく見えるのは茄子の皮の色です。

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 コシーニャの成型は、生地をピンポン玉にして親指と人差し指でつまむように片側だけを尖らせます。粉をまぶして卵液を絡めてからパン粉をまぶします。勿論パン粉は砕いて細かくします。これは普通のフライを作る工程と同じです。揚げる鍋は、口の広いものよりも、狭くて縦に長い鍋のほうが油が少ない割りに深さが出るのでコシーニャが立った状態で揚がります。
 火加減は割りと強めでも大丈夫です。中の具には火が通っているので、表面が色よく揚がれば出来上がりです。

材料(6個分)

  • ラタトゥイユ・・150g
  • マッシュポテト・・150g
  • パン粉・・大さじ3~4
  • 小麦粉・・小さじ2
  • 溶き卵・・大さじ2(同量の水を混ぜる)
  • 揚げ油・・適宜

作り方

  1. パン粉は袋に入れて麺棒を転がして細かくする。
  2. ラタトゥイユを細かく刻んでマッシュポテトと混ぜ合わせ六等分する。
  3. 2を最初は丸め、親指と人差し指で輪を作って片側を尖らせ、円錐形にする。
  4. 小麦粉を刷毛で軽くまぶし、溶き卵と同量の水を足した液を絡めて1のパン粉をまぶす。
  5. コシーニャがすっぽり被るくらいの油を180度に予熱して揚げる♪

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2010-07-30

みず茄子の揚げ浸し:冷蔵庫保存が長い作り置きのお惣菜

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 このお料理は茄子で決まる料理です。油で素揚げするので香ばしくて美味しいのですが、キメの荒い盛夏の茄子はちょっと不向きです。理由は、色よく香ばしくなるまで揚げると水分が抜けて実がスカスカになってしまう上、逆に油もよく吸います。また、それを回避しようと心持ち早めに揚げようとすると、油を一番吸っている段階で引き上げることになるのです。ですから、普段は、茄子の実が締まる秋口まで待っているのです(☞レシピ)。それでもリンク先の画像を見れば、今日の茄子の揚げ具合との違いは一目瞭然です。
 ところが、今年は、友人からみず茄子を沢山送ってもらったため、みず茄子のきめの細かさなら油もあまり吸わないのではないかと思い、試しに作ってみました。結果は言わずもがな、大変美味しい!油を沢山吸ったという感じでもなく、甘くて香ばしくて、水分たっぷりの申し分のない美味しさにできました。
 レシピは、毎年作る方法と同じですが、別物料理かと思うほどその違いは歴然です。もし、手元にみず茄子をお持ちでしたらこの料理は、みず茄子の為の料理として強くお奨めします。

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 この料理のポイントは、茄子を揚げてナスの水分を抜き、入れ替わりに美味しい出汁を吸わせてジューシーな茄子を味わうことにあります。そのため、茄子をよく揚げるのが秘訣です。
 油の温度は170度くらいのやや低めにしておくと、生の野菜がいきなり入っても油がびっくりしないのです。温度が高いと、ナスを入れた途端に油が膨張するので火傷に注意です。次第に油の音が激しくなってきて、静かになる頃には茄子も色よく揚がっています。油を切ったら直ぐにタレに浸します。熱いままでも食べられますが、冷蔵庫で冷たくして食べるのもよいものです。その点では、3~4日は冷蔵庫保存できます。

材料

  • みず茄子・・5個(400g)
  • 揚げ油
  • 鰹出汁・・300cc
  • 割り下・・大さじ5(80cc)☞レシピ
  • 鷹の爪・・2個

作り方

  1. 鷹の爪をお湯に浸し、柔らかくなったらヘタをとって種を出し、輪切りにする。
  2. 鰹出汁と分量の割り下を混ぜ合わせ、鷹の爪も加える。
  3. 茄子を洗ってヘタの硬い部分を落とし、3cmの輪切りにする。
  4. 揚げ油の温度を170度まで上げて3の茄子を色よく揚げる。
  5. 引き上げた茄子の油をよく切り、2の出汁に浸す♪

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