2019-10-05

蒸しもやしのごま油和え

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 今更ですが、野菜料理の基本に立ち返ることに最近、目覚めています。今までも十分、料理方法などで頭を悩ましてきたわけですが、もっと深く、科学的に野菜の栄養や食感などを見直そうと取り組んでいます。そうなると必ず、何を優先すべきか、悩ましい問題に突き当たりますが、もやしに関しては、私なりに解を得ることができました。これをご紹介しようと思います。

 まず、考え方として、最初に私の頭がどういう思考経路をたどったかです。もやしは「栄養が豊富」と、よく言われます。このような言葉は、すぐに信じられ、なんだか分けもわからないのに、もやしは、野菜の生命線である根の先端部分だから、生命力に溢れて当然。と思い込んじゃうわけです。いろいろ見直してみると、自分の思い込みから、暗示にかかったままわかったつもりになっていることの多いこと。なので、ちゃんと調べて勉強しようと思ったのです。

 栄養成分表では、豆もやし100g当り;エネルギー:14 kcal、水分:94.4 g、蛋白質:1.7 g、炭水化物 (糖質):2.6 gとなっていますが、カリウムなどのミネラルやビタミンBやCも含まれています。微量でも、多くの栄養素から成っていると解釈できます。特に、私が今回、目をつけたのは、ビタミンCの扱いでした。

 ビタミンCは、水溶性で、体内に入っても2~3時間で排泄されてしまいます。食品から摂取するのは難しいというか、料理前に洗うところからすでに方法を考えてしまうのです。水で流れるため、水洗いは程々に、茹でるのはご法度でしょう。ここで、「水に流れる」て、あのもやしのどこの部分から流れ出るのか?ビタミンCが水溶性であることはよいとして、それがもやしのどこから流れ出てくるのか?ビタミンCは、もやしのどの部分に含まれているのか?この疑問は、もやし料理のヒントになりました。流れ出てくる場所の特定とビタミンCの特性をまず調べてみました。

 「野菜を低温で茹でたり炒めたりすると、野菜の栄養をあまり破壊することなく、シャキシャキとした食感も残って美味しく炒められる」と、提唱する方がいます。私もこの方法をしばらく続けていましたが、鍋肌に当たっている野菜の部分は弱火でも、高温になっていますし、それを回避しようと、野菜を動かすと、どうしても崩れやすくなります。そして、調理後、温度が下がる頃には、野菜から水分が出るのです。理由は簡単に言うと、ペクチン質が熱で分解されてしまうためでした。

 ペクチン質てなんぞ?

 ペクチン質は、野菜の最外壁の中層部分の成分で、野菜のシャキシャキとした繊維を保つ成分でもある。加熱処理で大半の野菜の細胞の死滅は80℃までと言われているため、弱火で野菜を気長に炒めるということは、弱火とは言え、熱い鍋肌に野菜の一部が触れるため、野菜にとって優しい調理法と言はいえないかも。また、「煮崩れ」という現象は、野菜の軟化で、ペクチン質が完全に崩壊した状態なので、水から煮物を始めるのが正当派のやり方と言えそうです。根菜などは、水から茹でますが、理屈に適っています。

 提唱されていている方には申し訳ないのですが、低温調理しているようで、していないのかもしれません。ただ、細胞の破壊を最小限に抑えての調理法とは思います。それではと、以前からずっとやってきたもやしの水から茹でる方法はどうか?そして、ペクチン質が崩壊する直前の80℃までの温度で引き上げれば、死滅せずに野菜は生きていると言えそう。逆に、「野菜に味が染み込む」には、ほぼ火が通って、ペクチン質が崩壊してから味付けするからで、生の状態の大根に味が染み込まない理由でしょう。

 さて、もやしに話を戻して、もやしを水から茹でるのを躊躇する理由は、ビタミンCが流れ出すからで、洗った上に茹でるなんて、もやしの価値が半減してしまう料理だと気付き、もう一捻り頭を捻ってでてきた料理法が「蒸す」でした。

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 もやしを蒸して料理したことがない私。でも、道理には適っているんだし・・・。そして、もやしのペクチン質を壊さないために、蒸し器の温度が80℃前で蒸し終わるよう、水を鍋に張って、中華蒸し器を引っ張り出してやってみたわけです。結果は言うまでもなく、今まで食べていた「分福もやし」が別物のようになったのです。他に例えようもないほどのシャキシャキ感といい。一本一本、噛みながらその音を耳元で聞きながら、なんともおいしいもやしに変身したのです。

 ここで、私の温度管理について触れておきたいと思います。私が使っている料理用の温度計は、デジタル式か赤外線式で、蓋を開けたくないにもかかわらず、やむを得ず、温度を計るときは、瞬時に温度がわかる遠赤外線温度計を使います。初回は、それで良いとして、次回からは「勘」に頼ります。

     

 今回は、水から中華蒸し器をセットしていますので、途中、何度か温度を測りながら、ペクチン質が破壊されないと言われていることをここでは信じ、80度まで、弱中火で温度をあげます。その時の、鍋底の状態を目に焼き付けます。私の目には、鍋底が薄っすらと白くなるほどの小さな気泡ができ、時々、その気泡が大きくなってぷっくり浮いてくるような状態が80度でした。この状態を保つための火加減を目に焼き付け、蒸し器を戻して、とりあえず10分、タイマーセットしてみます。もやしは、それまでの加熱によってやや温まっている状態でした。

 そして、10分後、もやしは8割方透き通って、乳白色の生の部分が少々残っている程度でした。その残り部分は、予熱でイケると判断し、もやしを火から下ろして、笊に軽く広げて空気に当てておきました。

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 粗熱が取れる前にごま油を数滴のせて和え、そのまま自然に冷ましてから軽く塩と炒りごまで和えただけですが、立派に一品料理としてテーブルにのせられました。がさっと箸で摘まず、一本からで、美味しいもやしでした。

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 味付けの塩にも負けないキープ力で、器の底に残ったもやしの水分は、茶さじ1杯でした。今までどんなに注意深く調理しても、こんな芸当はできませんでした。お弁当のおかずにも、ピンとしたもやしが入れられて満足しました。ちなみに、炒めものなど、後から水が出る料理を器に盛り付ける前に、小さな平べったいお皿を中央に、逆さまに置いてから盛り付けると、お皿の間に水が貯まるので、水浸しになりません。

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 蒸し上がったもやしの粗熱が取れたら冷蔵保存し、野菜炒めの最後に加えると良いですし、味噌汁にも、最後にぱっと散らすだけみたいな使い方ができます。

 蒸し器は普通、ステンレス製の網やアルミ製の鍋などが使用されますが、あれば中華の竹製が良く、伝導率も良いとされています。金属製の場合なら、直にもやしをのせずに、布巾や巻きすなどを敷いた方がもやしには優しいと思います。

《料理のかんどころ》

もやしは調理前に、根を指先で摘んで切り取ってしまうこと。根は痛みやすく、臭いも強いので、料理に使う際は、根切してから使用すると美味しいです。

10687562054795《まゆさんn食卓から》
早速、試して見たそうです。

「私の場合、レンジで手抜きもいいとこですが、シャキシャキもやしって、ゆでるより全然おいしいですね♪」「今までもやしはゆでるものと思っていましたが、これからは蒸します」


 まゆさんのコメントにある、「電子レンジ」で野菜を蒸す件。実は、娘の世代は、レンチン世代と申しますか、電子レンジの普及で、蒸す、煮る、炒めるなどの料理が、所定の順番を守って重ね合わせるだけでできてしまうのです。感心する料理も見かけますし、栄養分を逃さない点ではピカイチかと思いますが、電磁波によって細胞を揺さぶり、熱を発生させるので、速く加熱できますが、壊れた細胞から大量の水が出ます。つまり、食感云々は言えなくなります。そして、流れ出る水は、野菜の栄養分そのものです。野菜を茹でる目的だけで使用するのは、かなり高度な技が必要かと思われます。

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