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2013年4月

2013-04-18

二十数年前、私はこんなふうに結婚しました

 ここ数年、日本では、結婚しない若い人たちが多いとささやかれている。いや、日本だけではない。欧米でもその傾向にあるそうで、その理由は様々。それらの統計を垣間見て、皆、いろいろと頭でっかちになって考えすぎなんじゃないかという私感を持った。そして、結婚を決める時の理由というか本質とも言える「感性」を重じない傾向にあると感じている。
 結婚の決断を難しくしている理由に、その条件が結構厳しいとも思う。それだけに、ジクソーパズルのようにピッタリその条件に当てはまる人に出会うまで妥協しない、という頑固なまでの決意もあるようだ。なんと忍耐強いことかと思う。まあ、それも結婚のことだからと、他人は、個人の価値観には立ち入れないので、結局、放置されるのかもしれない。冷たく言うと、自業自得で結婚できないのである。
 ところが、現実問題として、結婚願望という感情の行き場がなくなっている。これが浮いた存在になっていることは見逃したくない。将来の可能性として、唯一の希望だからとも言える。体と感情は正直にその願望を願望として浮き彫りにさせるのだと思う。子どもを生む準備は整うし、同時に一部の同性愛者を除いては、異性に引かれ合うものだ。が、結婚する相手と巡り会う機会がないとか、結婚を想定すると相手を気遣うあまり、自分に自信が持てずに決断できないなどという話が溢れ出す。男性側の理由では、相手を気遣う優しさでもあるが、その奥を詮索するに、欺瞞でしょう。結婚に踏み切れないのは、何よりも傷つきたくないのは自分だからではないかな?
 このように、挙げればきりがないのが「結婚できない理由」だが、結婚する理由というのはあまり挙がらないようだ。夢が持てないとか、メリットがないなどとつい、できない理由が浮かんでしまうのかもしれない。そして、さっきまでこれらの問題は自分の問題じゃないと思っていた。が、「考える生き方」(参照)のインパクトが私の脳裏に少し残っていて、「結婚のご報告。30年彼女がいなかった僕が、秒速で結婚できた理由」(参照)という話しを読んで、これから結婚する可能性のある人にとって、私に何かできることはないか?と、とんでもない事を思いついた。
 結婚を決断するその時の瞬間はこんなものよと、一例として昔の私事で恥ずかしいけど、ああ、そんな簡単に結婚できるのか!という話をこっそり教えたいと思えた。これは私の子ども達にも話したことはなかったかな。暴露を決心したのは、「考える生き方」を読んだ多くの人の感想からで、自分のことなど参考になるわけがないという決め付けが一番役に立たないと思ったからだ。これも本書の恩恵だった。あんがと。
 さて、結婚を決断するに当たってなにが決め手となるか?これがキモなので、単刀直入にこの話をぶつけたい。
 例えば、先の「彼女いない歴30年の竹内さんはこう話している。

恋に落ちました。

こんな素晴らしい提案書を貰い、僕は涙が出るほど嬉しかったのです。そして何より、僕のこんな一般的にはフザケているとも取られる企画に、ちゃんと真剣に向い合ってお返事をいただけた事が何よりも嬉しかったです。

この時、僕は恋に落ちました。

 そ、「恋に落ちる」いい言葉だ。これは男性のキーワードとしてトレンドになるんじゃないかな?そう思ったのは、「考える生き方」の著者が結婚を決めた時もそうだったと書いてあった。なんとなくこれ、何が言いたいか分かる。ただ、女の私が男性の感性を同じだと言い切れないだけである。
 私の例では、「恋に落ちる」とまでは言い難いが、あえて言葉にするとしたら、「この人ならずっと一緒にいたい」だろうか。その時の事をちょっと思い出して書いてみることにした。
 一言で言うと、決め手は「人間愛」だと思う。それをそうだと感じ取った時は、ちょっとした事件が起きた時だった。
 アメリカ人の友人、ポーレットが岡谷市で仕事をしている時、彼女の紹介で私はある会社社長と商談のため、諏訪市で合流した時だった。東京の赤坂のマンションで犬を飼いながら、そこを仮事務所として起業したばかりの私だったが、犬を置いていくわけにもいかず、犬を連れて友人を訪ねた。彼女とうまく合流し、紹介された会社社長の友人が経営するという飲食店で商談を済ませた。そして、その社長が予約してくれたホテルにその日は泊まり、翌日、彼女が自分のアパートに一泊して、ゆっくり遊んで帰ったらどうかというので、遠慮なく犬を連れて彼女のアパートへ転がり込んだ。その夜、前日に食事をした飲食店のオーナー社長の招待で彼女と一緒に三人で食事をして彼女のアパートへ戻ると、つないでいた私の犬がいなくなっていた。これが事件である。
 一晩中、そこらをぐるぐる探しまわって夜が明けてしまったけど、そのまま今度は、近所の「犬」のシールが張ってある家にピンポンして、犬の特徴を説明して尋ね歩いた。が、まったく足取りがつかめない。もしや車にひかれたのかもしれないと思い、道路も見て回ったが、事故を起こしたような形跡はなかった。土地勘がないため、全ての道路とも言えず、やっていることは誠に中途半端だったが、アチラコチラ探しまわったのも少し気安めでもあった。じっとしていられなかっただけだったかもしれない。
 土地の人である飲食店オーナー社長に頼んで、「迷子犬」の広告を出すのに最適な新聞社に連れて行ってもらい、記事をお願いした。広告を見て連絡をもらえるかもしれないと思い、ポーレットに一週間泊めてもらい、そこを電話の連絡先にしてもらった。
 約束の一週間もそろそろという時、ポーレットが「ねえ、悲しむと思ったから言えなかったけど、実はチーコ(犬の名前)はあの夜、車にひかれて死んでいた。それを見つけて、片付け、あなたには内緒にしておくように彼に言われていた。」というのである。彼というのは飲食店オーナーのこと。
 この時私は激怒した。あの日に話してくれていたら、無駄に一週間「生きて何処かにいる」という望みを持って悲しんでいなくても済んだのにと、腹立たしかった。が、だんだん冷静になってきて考えてみたら、チーコが死んだことを知りながら、私の気が済むまで、私のあの時の気持ちをすべて引き受けてくれたのは彼だった。そういう計画があったわけではなく、彼も、途中で死んだことを言ったほうがいいと思ったのじゃないか?とも思えた時もあった。が、チーコが死んだにしろ、チーコはどこへ行ってしまったと思いこむにしろ、チーコは戻ってこないという事実を私が受け止めることで事は済むのである。済まなくなって混乱をもたらしたのは、ポーレットが約束を守らない女だったからだ。
 冷静になってみると、こういう形をした「人間愛」もあるのだと思えた。これが、結果的に結婚を決断するに直結した。と言っても、私がこれをもって結婚したいと言ったのではなく、結果的にそうつながったというだけ。
 あーれから30年・・・綾小路きみまろじゃないけど、劣化するよ、そりゃあね。
 話はこれでお終いなんだけど、ちょっと蛇足ながら、加えておきたいこと。
 この人と結婚しようという時、何を決め手にするのかということがここでは言いたいことなんだけど、女は、自分に優しくしてくれる男性に弱いみたいなとこはあると思う。結婚前の女の気を引くための男の優しさは、結婚後は直ぐに消えてしまうというアレ。「アレはなんだったの!釣った魚には餌をやらないじゃない。」と、怒る人もいる。むしゃくしゃしている人が多いと聞いているけど、結婚後でもその人の人間としての「愛」は必ず見つけられると思う。なぜかというと、あなたを選んだ人だから。

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2013-04-03

フィナンシャルタイムズによる日本経済の道標を市民感覚で咀嚼してみた

 昨日、極東ブログ「フィナンシャルタイムズによる黒田日銀総裁評価とアベノミクスの道標」(参照)で引用されていた3月29日付けファイナンシャル・タイムズ社説の本文が気になり、該当記事を読んでみた。経済動向を掴んでいると訳なく読み取れる内容で、難しいことや目新しいことを言っているでもないという印象を受けた。が、よくよく読んでみて、文章が整理されているからか、違和感なく理解できたと思ったその内容が語りかけていることは、何かの覚悟を持てと言っているように感じた。また、第二次安倍政権が誕生した際、「この政権が麻生クーデターだったこと」と、「この政権の最大の敵は自民党内部」だと見破られていた事も思い出された(参照)。いずれにせよ、安倍政権ができること全てをやり尽くして努力した結果、「果報は寝て待て」ならいいのだが、その安倍政権をどこまで信じるか?政府と国民の信頼関係を問うという記事を再読して、くらくら目眩を覚えるようだった。
 私なりにこの記事を実生活に照らして、少し咀嚼してみたことを備忘的に書いておこうと思った次第だ。
 まず、アベノミクス三本の矢を思い出して見る。1)、大胆な金融政策。2)、機動的な財政政策。3)、民間投資を喚起する成長戦略である。
 1)は、安倍政権が立ち上がった途端にその効果が出て円安・株高になった。このままを維持し続ければ、二年でインフレ目標率の2%は達成できると、新日銀総裁と副総裁は断言している。
 2)は、国の借金をどうするかが課題だ。国債を増やしてこれまで何とかしのいできたが、今後はこの借金を増やさないで返済をしないとならない。1)で景気がよくなれば消費が増える。そこで消費税増税となれば、国の財源が増える。これを国債の返済に当て、復興や年金、健康保険などの財源となっていく。
 3)は、言葉の通りで、長引くデフレで緊縮財政の民間企業や個人の投資が期待されている。これも、1)で景気が上向けば自ずと上昇するというのが基本的な認識だと思う。
 さて、アベノミクスがこの通りに進めば問題はない。今のところは順調だとも言えるが、先のFT紙では「困難を伴う」と評価している。
 どんな困難だろうか?
 アベノミクスの三点について、概ね国民が支持し、現在のところ安倍政権の支持率は60%を上回っている通り、少しずつ経済政策への信頼度も期待も膨らんできたのではないかと思う。このまま行けば、本当に日本はデフレから脱却し、少しずつ経済成長しながら皆が働いて健やかに暮らせるのではないかという将来への希望も出てくると思う。これらの国民の気持ちを裏切らないために安倍政権はどうやったら乗り越えられるかをFT紙は次のように4点上げている。

  1. これから物価が少しずつ上がるんだという気風の醸成のために、財政赤字の解消と外国為替の購入。同時進行で、2%インフレ率を超過してインフレを押し上げた場合、日銀はその対応を国民に明示する。

    First, the BoJ must act credibly, to shift inflation expectations. Its most potent weapons will be monetisation of fiscal deficits and purchases of foreign exchange. At the same time, the central bank must indicate how it will respond if inflation shows signs of overshooting its 2 per cent target.
  2. 国債の償還期間の延長。長期的な債務によってインフレーションを助長する。

    Second, the maturity of debt has to be extended. The longer-term the debt, the easier it will be for mild inflation to erode it.
  3. デフレ終了後、政府の財政再建と民間企業の構造的な財政黒字の解消。

    Third, the government needs a credible plan for fiscal consolidation, once deflation ends. This plan must not only focus on government revenue and spending. It must also eliminate the counterpart structural financial surpluses in the private sector.
  4. 成長戦略のための構造改革。

    Finally, the government must embark on structural reforms aimed at raising the trend rate of growth. That the present path is unsustainable justifies taking such risks. But the new policies might bring earlier disaster. Only close co-operation between the central bank and the government can deliver a good chance of success.

 一見して、これら4点は政府の課題だが、1と2は正に今私達市民感覚と政府の一体感あっての政策である。ここに国民が一抹の不安を持つようなら、極論、アベノミクスは失敗に終わるという意味を持つ。ここは正直に向き合いたい部分である。
 まず、1について日銀は、外貨を購入するために金融緩和を行うことで円安が進む条件を整え、政府は、財政赤字の健全化に向けて法整備や規制緩和を行なって個人や企業の生産性を高める。また、増税をして税収を上げる。
 では、私たちの実生活上の気風はどうだろうか?個人の偏った見方で国民生活全般を言えるわけでもないので、個人的な印象では、インフレ政策によって生活の必需品が値上がりすると聞いても、家計が細り続けてきた結果、早々には買いに走らない。むしろ、財布の紐が緩まないように緊張している状態。この状態がいつ緩和されて消費がいつ活発になるかは未定。また、株価は多少上がっても、これまで損した分の一部を取り返したくらいの感覚かもしれない。現在の株価上昇は、外国人の投資家による売買が殆どで、日本人投資家が動いているようでもない。こういった気風の中での増税(見極めはこの夏、実施は来春から)はがっかり感だけを漂わすのではないだろうか。
 では、この政府は、増税を見合わせることができるだろうか?
 民主党政権時、三党合意で採択した消費増税である。しかも、民主党野田元首相が突然言い出した背景に、官僚の言いなり、操り人形などと揶揄されていた通りだとし、自民党はかつての右派政権である。官僚とともに国を支えてきたかつての自民党が野田増税案に反対するわけがない。
 以上の背景と理由によって、インフレに向かう準備の整わない市民の心情とは裏腹に増税にひた走る自公政権であれば、国民のための政治をやっているというのは嘘で、官僚と閣僚がお互いの都合の良いようにしか政治は存在しないのだという証明となる。ここで国民との信頼関係は破綻することになる。
 日銀の外国為替購入に関しては、逆風が海外からも吹き荒れている通り、中央銀行が外国債に直接介入するのを禁じているため、日本円が多く海外に流出することで関係国の為替相場が激変するというのである。
 少し散漫になったが、以上は、1について政府が国民との信頼関係を保とうとすると、多方面から反対的な風が吹いてくるという実例である。
 2について、十分な情報はないので少し触れておくと、国債と言っても色々ある。ここで国民との信頼関係で問題となりそうな点は、償還期間について政府内で意見統一されていない点ではないだろうか。一つには、長期償還となれば長きに渡って借金返済を国民負担させることになり、後の世代へのツケを残さないという主張がある。これをまともに国民が受ければ、国民信頼を裏切る結果ともなる。かと言って、増税によって債務を短期に償還できるとも思えないため、FT紙の指摘の通り、長期償還しか方法は無さそうだ。
 3と4について、これはもうデフレ脱却後の話。なので、その時が来ることを待ちたい。

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