2012-12-18

2013年参議院選挙に向けて

16日、増税の是非を問うと私自身が位置づけた総選挙は、自公の圧勝に終わった。獲得議席数は、自民294、公明31。合わせると、衆議院の三分の二を超える。とは言え、国民は自民党を選んだのではなく、民主党に「No」を突きつけたらこの結果になったというだけのことだ。日本の選挙制度の問題点でもあるが、詳細に関しては「2012年末衆議院選挙雑感」が分かりやすい。内容がどうであれ、選挙は結果で決まる。つまり私は、自民党に消費税増税、原発再稼働、憲法改正を容認したことになる。議席数で言えば、7年前の小泉郵政選挙に匹敵していて、日本の選挙の異常性とも思える結果だ。これによって与党は、衆議院の全ての常任委員会で過半数を占め、全ての法案を可決できる勢力となった。しかも、今回の選挙が合法であったわけではないので、憲法違反の総選挙で選出した政党に政権を担わせたという事実が重くのしかかってきた。

これを承知で解散した野田さんの責任は重い。また、解散は、政策遂行の行き詰まりを打開する手段ではあるが、議員全員の首を切り、国民に政策の是非を問うたのである。因みに、ねじれ国会で政策の遂行が困難な時、通常なら、総理は自らの首を差し出して決議に持ち込み、内閣総辞職を避けるのが普通ではないか、と私は思う。ところが、自民党に丸投げしてしまうような解散をやらかした背景に、実は岡田氏の筋書きがあったのではないかという考察があり(参照)、結果的に、意図して解散したとも言える。前者を選択した結果、見事に四分の一に民主党員を減らしてしまった。大勢の仲間を犠牲にすることは目に見えていたはずで、第二極としての座も危ぶまれていた通りの結果となった。そして昨日、その責任をとると、辞任を表明した。これについて言わせてもらうと、全員の首を切って、なおかつ残った精鋭達は、(表向きにしろ)野田さんについて行くと表明しているといえなくもない。ところが、辞任表明を待っていましたとばかりに次は俺だと、もう次期総裁の名前が上がっている。野田さんを止めさせない、と結集するチャンスなのになぁ。民主党は、常に誰かがトップの座を狙っている業突く張り集団に始まり、最後は一人になって終わる運命なのかもしれない。こんな民主党に嫌気が差して解散のシナリオを岡田氏が書いたとしたら、日本の国益にかなった政治をやってくれたのだと賞賛すべきかもしれない。ただ、ここで民主党総裁が変わったことによって、三党合意した法案を約束の通り通していくだけの結束はあるのだろうかという懸念が残る。

選挙前に、何がこの選挙の争点か自分の確認のために書いたことだが(参照)、争点は消費税増税だった。民主党マニフェストに消費税増税を行う前に民意を問うとあるため、野党はこれをネタに解散・総選挙を求めのだったが、民自公はこの法案に既に合意していたため、三党間では選挙の争点にはならなかった。そこで自民党は、デフレ脱却と外交・安全保障を前面に出して民主党との争点とし、公明党は、政権担当に相応しくない政党だと民主党を批判した。私は迂闊にもこの攻略にすっかりはまって、一時、選挙の争点を見失うところだった。

自民党はデフレからの脱却と外交・安全保障問題を前面に打ち出して民主党との対立点を作り、公明党は民主党の政権運営の拙さを攻撃した。そのため3党間の選挙争点は消費増税より民主党政権のこれまでの実績を問うものになった。そこにTPPや原発問題が加わり、本来の争点である消費税増税が見えにくくなった。この時、三党合意に不満な国民は、第三極に期待を持った。

この第三極は曲者で、民自の2大政党に対抗しうる力を持つ第三極であれば、政治を大きく動かすことになるのではないかとすら思ったが、残念ながらならなかった。つまり、今後は、民自公三党が社会保障と消費税問題で一体とならざるを得ない。この第三極と呼ばれる小政党らが政治の軸になるためには、民自公に匹敵するか、それ以上の一つの勢力として対峙しなければ実現は不可能だ。せめて第三極が総結集を図って第二極になれば政治がより民主的になると、密かに思っていたのだった。

第三極をどう動かすかと騒がれたのが、選挙直前に結成された「日本未来の党」だった。公示前には62議席あり、蓋を開けたら9議席であった。三年前の政権交代を成し遂げた、あの小沢氏の存在感も片鱗も感じさせなかった。こんな選挙は本当に珍しい。小沢さんが先頭に立った自由党時代では、比例代表で毎回10%で、調べてみると、2000年の総選挙では660万票を獲得していたのである。「日本未来の党」と、名前は変わったが、今回の選挙の比例で得た得票率は5.7%で、314万票に終わった。争点も見込み違いだったように思う。国民の関心は景気や経済対策に寄り、反原発ではなかった。選挙前にドイツまで行って研修してきたのに。かくして「小沢王国」の落日となった。

選挙戦略に強いはずの小沢さんの今回のような選挙を見たのは私は初めてで、くたくたになって政治生命もお終いになるかとちらっと思ったが、とんでもなかった。「小沢一郎政治塾」が来年2月開講の13期生(30人)募集の締切について、「衆議院総選挙の関係上、新たな募集日程を、12月下旬を目途にご案内致します」と掲示している。なんともたくましい。今回は準備不足も相まって大敗したが、小沢さんは既に夏の参院選に軸足をかけていた。やっと総選挙が終わったばかりでなんとなく空虚で、次の選挙のことなど正直考えたくもない。と言いながら、こういう時は何かまた見失っている気がする。

安倍氏の経済政策が公言したとおりに進めば、間違いなく日本は円安、株高になるが、国民生活は物価高の直撃を受けるということだ。順調に物価高になったと来年8月の時点で判断されれば、2014年から消費税増税が加わることになる。実体験として分かりやすい例で言うと、小泉政権時よりも悲痛な悲鳴を上げる事になると思う。その消費税増税がとても耐え切れないというのであれば、これをリコールできるのが夏の選挙と。おお、そういうことか!これが最後のチャンスである。

個人的には、インフレ傾向になると物価高は嫌だな感はある。昭和の高度成長期の経験をしている人であれば、どんな感じか想像がつくだろうと思う。でも、景気を戻さなくては日本がこのまま衰退していくのをじっと見ているだけになる。ここはもうひと踏ん張りして貧しさに耐えよう、と腹は決まっているが、それに耐えながら、増税が一気に来るのはキツイのではなかろうか。できることなら、もう少し増税を先延ばしにしてはもらえないだろうか。

ハッキリ言って今回の選挙では、政治家に煙幕を張られて不意にしてしまった人も多いと思うが、来年の参議院選挙では、インフレという現象を体感した上で見極められるんじゃないだろうか。

なんか、やっと今回の選挙の意義がつかめてきた感じがする。

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コメント

こんにちは。

私はあまり経済に明るくない人間なのですが、何をおいても原発事故が収束していないこの危険な現実を最重要視しています。食べることが何より好きなので、汚染だけは許せず、毎日がただ恐ろしいのです。だから原発推進の政党にはどうしても勝ってほしくはなかったのですが、世間の人は忘れっぽいのか、諦めが過ぎるのか、選挙に行く人は自民に入れ、多くの人は行かなかった、という。国民の半分近くが投票していないこんな選挙で色々な重要なことが次々と自民党のやりたい放題に決まっていってしまうことを思うと悲痛な気持ちです。
国民が貧しく、山河も失い、日本はどうなっていくんでしょうかね。

投稿: YOYO | 2012-12-18 17:35

YOYOさん、はじめまして。
原発に反対するしないは人それぞれの理由があると思います。喉元過ぎれば熱さ忘れるということも含めて、あの事故が原発設備そのものの不備で起きたのか、あるいは、地震による津波で電源の確保ができなかったことによる温度管理ができなかったのか、検証結果の受け止め方も人それぞれだったように思います。私は、原発が悪いのではなく、管理する東電の体制や、事故をいち早く検証するための機関が不十分であり、中には隠蔽できるような構造上の問題もあったかと思います。それを見直した上で、今後のエネルギー政策を画策しようとする自民党の姿勢は悪くないと思います。また、その判断で、良いと思われないものを進めると決定しているわけでもないと思います。
そんなに落胆しないで、今後を見守り、意に反したことを認めないという姿勢は大切に持たれたらいいと思います。私も、あのような事故は二度と起こってほしくないと切望している一人でもあります。ただ、ろくに検証もせず、原発反対を訴えるのは非科学的で、人類が目指す科学の前途を感情で封じたくもないです。

投稿: godmother | 2012-12-18 20:35

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