2012-09-23

今後の日本の防衛について

昨夜は寝付かれなかった。尖閣諸島にまつわる日中の緊張が和らいだとも思えず、いろいろな思惑が頭の中をめぐり、いつまでも目をつぶったまま結論の出ない思考を繰り返していた。言い換えると、これからが本当の外交力を問われるのだということを私個人としても問われるのだと認識した。起きたら、少し情報整理をしてみようと思えた頃、なんとなく眠りについたようだった。

クリップした情報で気がかりだったのは、産経が報じた「日米、グアムで「離島奪還」訓練を公開 「特定の島、想定せず」」(参照)のタイトルにもあるとおり、「離島」を意識した訓練を強調して報じているからだった。

陸自と米海兵隊の共同訓練はこれまで、米西海岸や、日本国内の山間部の演習場で行われてきたが、初めて離島を使って実施。参加部隊も米側が沖縄に司令部を置く第3海兵遠征軍(3MEF)、日本側が九州と沖縄を管轄する西部方面隊で、尖閣諸島など南西諸島を強く意識させる内容となった。(共同)

太線部分を強調したいのは共同通信社であり、現実の尖閣諸島に領有権の問題は存在しないというのが日本のスタンスで、仮にも「想定」した訓練などと報じるのは政府の足を引っ張ってわざわざ中国と係争しようという意思表示をしているような印象を読み手に与えている。これは、洒落にもならない報道であるといささか憤慨した。

そして、この報道からと言うよりも、米国がアスプリ(オスプレー)を沖縄に配備する計画を一歩も譲らない点がかねてからの気がかりだった。産経の内容からすぐさま連想したのは、沖縄からの海兵隊出動の利便性も、配備計画の理由の一つにも考えられる点だ。が、米軍の配備計画の本当の目的は、日本政府には知らされていない向きもあり、だからか、政府の日本国民への説明も「安全性」のみに一貫されているようでもある。だが、安全性を確認したと日本政府が何万回言っても、「絶対」はない。これだけの反対を押し切って、仮に市街地で事故でも起きれば、日本国民全体が米軍基地に対して反対するだろうと想像する。その意味は、日米安保がギクシャクすることにもつながる。そういった懸念は、私だけではないと思う。それでも日本政府が配備を促進せざるを得ないとしたら、米軍の理由は何か?

その答えが少し香ってきたのは、ウオールストリートジャーナル日本語版の記事、「日中の領土問題への対処に苦慮する米政府」だった(参照)。長い記事だが、以下がその部分だった。

バーガー教授は、米国が支援に消極的だと日本が感じた場合、日本が弱腰になるのではないかとの懸念を示す。同教授は「そうなれば、日中対立が激化した場合よりも、東アジアにおける米国の国益は長期的にははるかに大きなダメージを受ける」と警告。さらに「中国が日本に対し高圧的 な戦術を使って、自己主張を通すことになれば、フィリピンなど東南アジア諸国はどう対応することになるのだろう」と疑問を投げ掛け、「そういう事態になら ないようにするため、米国は過度に公平なアプローチを修正し、日本を支援すべきだ」との見方を示した。

領有権問題に過度に触れず、かと言って日本を放り出すでもなく、支援しながらフィリピンなど東南アジア諸国を中国の主張から守ることは米国の国益だと述べられている。因みにこの記事は、2012年9月18日の柳条湖事件記念日に中国各地で起きた反日デモと、暴徒化した民衆が日本企業を襲撃した翌日の日付で、まさに、米国の日中領土問題への対処に苦慮が報じられている。そんな記事の中に、まさかに米軍のオスプレー配備の本音がポロリと出るとは思わなかった。(ああ、これは私が「しめた!」と、舞い上がっただけですが。)

さて、この記事のとおり、日本の自衛隊が「離島を意識した訓練」をしたのは、米国自らの国益としてフィリピンや東南アジア諸国を中国の乗っ取りから守り、米国の防衛のためでもあるが、日本もこれに賛同せよという事ではないのか?つまり、日本に中国が領有権を盾に攻めてくれば、アメリカに守ってもらうのと同じように、フィリピンや東南アジア諸国の平和を維持するのも同一スタンダードということだ。断り書きを入れておくが、この私の考えには、戦争問題を解くための駆け引きも何もない、極ナイーブな素人の思考に過ぎないが、誠実に事に当たるとすればそういう解釈が成り立つというだけだ。

「日本もいよいよ戦闘に参加するのか。」と、率直に思いたくなかったがため、夜中に脳内で葛藤していた。でも、現実には、訓練の様子を伝えていた記事の画像にあったような戦闘体制になる可能性は尖閣諸島にではなく、東南アジアの島国で起こる可能性は大きい。

と、ここまで愚考を進めて一旦終わりにしようとしたところ、私が布団の中でもがいている間に他所で考察は進み、どうやら確実な裏付けを得たようだ。

「日米による離島防衛上陸訓練に関連して」(参照)というタイトルをつけて離島防衛先や、その背景となる中国の野望についての引用も公開されている。重要事項として抑えておきたい。是非、参照されたい。

|

コメント

緊張感のあるコメントでした。心構えだけはと思いますが、何をすべきか。戦時中、月月火水木金金とい言葉があったそうですが、それはずっと前からやっているし。そして南シナ海の状況をみれば、反原発でいいのでしょうか。休耕地には太陽パネル設置より草刈りでは。田舎の荒地の購入資金貯めようかな。いつか反原発考察してください

投稿: tekukami | 2012-09-23 08:44

tekukamiさん、私個人としては反原発ではありません。一度しかかった科学を途中でやめるなどという非科学的な考え自体、理解しかねています。また、原発を止めるといっても、続けるのと同じくらい科学の力が必要ですし、費用もかかります。だったら、電気を起こして売りながら原発を稼働させたほうがよほど国民のためかと思っています。また、抑止の点でも、原発保有国は敵を威嚇していることに相違ないと思います。森本防衛相も先日そういう見解を話していましたし、これは、グローバルスタンダードですね。

投稿: godmother | 2012-09-24 04:05

日本は明治~昭和にかけて陸軍は大陸を意識したものとなってきました。 
 21世紀は海洋の時代です。日本は多くの島国から出来ていることを考えると陸上自衛体を「陸海自衛隊」(海兵隊)とあらためるべきです。水陸両用車両の増産・光エアイバーを用いた固定式海中音波鑑識設備の増設などを進めるべきです。陸と島の防衛力の強化を早急に進めるべきです。

投稿: 古川典保 | 2012-12-14 14:12

日本は明治~昭和にかけて陸軍は大陸を意識したものとなってきました。 
 21世紀は海洋の時代です。日本は多くの島国から出来ていることを考えると陸上自衛体を「陸海自衛隊」(海兵隊)とあらためるべきです。水陸両用車両の増産・光エアイバーを用いた固定式海中音波鑑識設備の増設などを進めるべきです。陸と島の防衛力の強化を早急に進めるべきです。

投稿: 古川典保 | 2012-12-14 14:15

 兵器の無人化を進める必要が有ります。ロボット兵器・ダミー兵器の開発・推進を図るべきです。仮想敵国の兵力は大きい、これにいかに対応するかである。

投稿: 古川典保 | 2014-11-20 21:45

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 今後の日本の防衛について: