2012-09-21

尖閣諸島を国営化した日本政府の本当の理由

野田政権による尖閣諸島の国営化は、中国共産党内部の権力闘争の格好の踏み絵となった。毎年恒例となっている中国の柳条湖事件記念は、今年は、特に壮絶な事態を招いたが、終わってみると、中国政府の権力闘争に中国人民の反日感情を上手く利用したのもだった。その手口に使われるのは見え見えで、野田政権はわざわざそれをこの記念日の直前に実行した。ニュースで知った時は、何をいったい考えているのかと、腹も立った。こう言ってはなんだが、偽政者とはいえ、意図していないはずもないとその理由を探した。

 

保守的な面から言えば、中国共産党大会を目前に控えているこの時期でもあり、中国が領有権を主張する尖閣諸島をわざわざこの時期に国営化するのは、中国感情を逆撫でして刺激してしまう馬鹿げた行動でしかない。仕返しがどんだけ返ってくるかと身構えるか、机の下に潜って丸くなってじっとしているしかない。と、それくらい不安を煽られた。だが、そうも言っていられない。ここは冷静に見守ると同時に事態を静観し、野田政権の尖閣諸島国営化が意図的に中国に先手を打ったに違いないと、そう信じてみようとまで思った事だった。これは、冗談ではなく、あのような緊迫した状態が意図的ではないとは信じがたかった。何らかの意図が政府にあり、あそこまでズタズタに破壊された中国の日本企業の姿を見るには、政府の意図的な外交手腕をもって正当化する以外なかった。結果は見えている、あくまでも途中経過なのだと自分に言い聞かせていた。その意図とは何か?ずっと気がかりではあったが、一連の暴動が収まってみると、野田政権の尖閣諸島国営化に踏み切ったことは悪くはなかったのだと振り返ってみた。

 

胡錦濤国家主席は親日派として君臨してきた。中国のNational電気を絶賛し、日本の技術を中国に教えて欲しいと言って、中国の近代化のために日本とは良い関係を築いた人物でもある。そのPanasonic工場を破壊する映像を見た時、これは反胡錦濤の仕業で、胡錦濤政権に反目し、権力の略奪を目論む者の仕業だと確信できた。ところで、ここでの権力闘争は、国家主席の椅子を狙うということではなく、中国を動かすトップの9名の椅子である。胡錦濤氏がこの椅子を7つに減らすという声明を少し前に発令したが、次期国家主席に内定している太子党の習近平氏にとってはたまったものではない。権力を握るトップであるにもかかわらず、自分の派閥から指導者の椅子がもらえないとあっては奪い取らねばというわけだ。国家の主席にもなろうかという人物が、椅子取りゲームのような感覚で委員会?とは思ったが、これはかなりまともな論理性に基づくものらしいことを知った(参照)。その胡錦濤氏は、今秋の第18回党大会などで共産党総書記と国家主席を辞めた後も中央軍事委員会主席に留任する可能性が大きいらしい(参照)。習新政権にしばらく睨みを利かしていたほうが、ないよりはマシな気がする。このままで行くと、習氏は、反親日かもしれないし。

 

さて、お隣の中国がその程度ではあったが、野田政権が尖閣諸島の国営化をやってしまったツケも大きかった。あの松下幸之助と鄧小平氏がにこやかにならんでいた映像は、当時、中国と日本の友好の始まりだと確信を持たてくれたのも事実であった。それがどうだろうか、Panasonic中国工場がズタズタにされた時は涙が滲んだ。虚しくなった。が、野田政権の判断をいつか、良かったのだと言える日が来るだろうかと期待もあった。が、最後の最後まで疑問として残ったのは、野田政権の尖閣諸島国営化の意図だ。これが何であるかによっては、中国と日本の将来の展望も抱けるというもの。物事は良い方向に向かうようにするものでもある。が、それがどうもあまり期待できないことが、つい先程判明した(参照)。それもNHKだけが報じているし、今頃なのである。情報操作したでしょ?ま、読めばわかること。(NHKは、後で直ぐにソースを削除してしまうので、あえて全文引用することにした。)

 
   

尖閣国有化直前 日中のやり取り判明

   

9月20日 21時55分

   

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玄葉外務大臣が、沖縄県の尖閣諸島の国有化について、先に中国の楊外相と意見を交わした際、「東京都の石原知事による購入を阻む唯一の方法」などという表現も使って、中国側から理解を得ようとしていたことが分かりました。

   

政府は、今月11日に沖縄県の尖閣諸島を国有化しました。    
これに先立つ今月8日、ロシアのウラジオストクで開かれたAPEC=アジア太平洋経済協力会議の首脳会議の夕食会の場で、玄葉外務大臣は、中国の楊外相と短時間、ことばを交わしました。      
政府関係者によりますと、この中で玄葉大臣は「自分は日中関係は非常に大事だという考えで対応してきており、そのことだけはくれぐれも誤解のないように理解してほしい」と述べました。      
そのうえで尖閣諸島の国有化について、「自分や野中広務元官房長官のように日中関係のことを真剣に考えている人はこの方法しかないと考えている」と、中国との関係が深い政治家の名前を挙げたうえで、「日本政府による島の購入が、東京都の石原知事による購入を阻む唯一の方法だ」とも述べて、中国側の理解を得ようとしていたことが分かりました。      
これに対し楊外相は、「いかなる形であれ、中国の領土主権を害する行為を中国政府は受け入れられない。中国は断固たる措置を取る。日本政府によるこのような行為は、一部の日本国民、特に右翼の関心に応えるために行っているものだ」などと繰り返し主張したということで、両者の溝は埋まらなかったということです。      
この翌日には、野田総理大臣が中国の胡錦涛国家主席とおよそ15分間ことばを交わし、胡錦涛国家主席が「島の購入は、いかなる形であれ違法かつ無効であり、われわれは強く反対する。野田総理大臣には、大局的な観点から誤った決断をされないようにしていただきたい」と述べたのに対し、野田総理大臣は「尖閣諸島は歴史的にも国際法上もわが国固有の領土であり、われわれはこれを有効に支配している」と述べました。      
19日夜、野田総理大臣は尖閣諸島の国有化に抗議する反日デモが中国各地で続いていることについて、「国有化するということを、再三、いろいろなルートを通じて中国側に説明してきた。一定の摩擦は起こるだろうとは考えていたが、想定を超えている」と述べています。      
玄葉大臣と楊外相のやり取りからも、日本政府が、尖閣諸島の国有化について、事前に中国側の要人に対して直接説明することで理解を得ようとしたことがうかがえますが、当初の日本側の想定以上に中国側の反発は強いものになりました。

 

中国が椅子取りゲームなら日本は何だろうか?石原さんと張り合ってどうすんねん?これ、本気だったみたい、トホホですよ、まったく。石原さんに渡したくないから政府が買うんだけど、いい?って、どの面下げて中国に頼んだかなぁ。バカじゃね。NHKがこれをあの怒涛の最中で報じなくてよかったよ。さもなくば、私は沸騰して蒸気を逸して破裂していたよ。

 

とても言葉では言い尽くせない気持ちはあるが、今、野田さんは日本の首相であるし、その野田さんの足を引っ張るような事をしても何のためにもならない事は十分承知している。例え私がどういう意見を持とうと、野田さんが首相であることに変わりはない。頑張ってもらうしかない。応援するしかない。頑張れー。

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コメント

愛国無罪・反日無罪、主権在民のない国、伝統的な覇者の国。

投稿: noga | 2012-09-21 04:49

やはり、ここの時事放談がすっきりと頭にはいってくるので、楽しんでます。東南アジアを行き来している者のはなしでは、韓国はどうってことないけど、中国には勝てそうにないみたい、どの部署でもダメもいるけど凄いのもいるから、数はパワーなんですね。ただ政治が崩壊しなければですが。もっとも崩壊して優秀なのが日本に来れば日本人社員は大ピンチ

投稿: tekukami | 2012-09-21 06:58

tekukami さん、私の年齢になると「張り合う」という意識は薄らぎます。もっと若かったら・・と思うと、中国で一緒に働くといいのじゃないかと思います。現状の日本にいても切磋琢磨はできないと思います。個人レベルの向上は生きがいにも張り合いにもなるし、何よりも、海外移住経験としてもいいかもしれませんよ。高度成長期にかかってからイギリスで何年か学ぶチャンスはありましたが、今ならもっと歓迎される気がします。

投稿: godmother | 2012-09-21 07:27

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