2012-09-25

Kibe(キビ)の肉団子(ブラジル料理)

 

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町内にこの春引っ越してきた外国人夫婦とのお付き合いは、6月頃から始まった。知り合ったきっかけは、区内の集まりだった。奥さんのセシリアはブラジル日系三世で、彼女の母上は、ブラジルで生まれた日本人。でも、ブラジル人。父上は、スペインやイタリアの血が混ざっているブラジル人のため、セシリアの顔立ちは正に外国人である。彼女の旦那様はイラン人で、名前はアサヤさん。二人は20年以上前に日本で知り合って日本で結婚し、12才(小学校6年生)の息子くんが一人いる。とまあ、家族紹介はこのくらいにして、今日は、昨日ブラジルに帰国した母上直伝のブラジル料理を記念にここで紹介したいと思う。

 

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私が彼女らと知り合った時にはすでに彼女の母上は来日していて、私の母とは年も近いため、話しているとなんとなく母と話しているような気分になる方だった。日本語は家族の中で一番上手だが、いろいろと忘れていると言っていた。懐かしさもあるのだろうか、私が訪問する度にいろいろな日本の食材のことを聞かれ、昔、ご自身の母上が作ってくれた日本料理を回想しているようだった。逆に私は、ブラジル料理を教えて欲しくて、一つ峠を越えた塩尻市にあるブラジル食材店からいろいろな材料を手当たり次第に買ってきては、料理の手ほどきを受けていた。日本のおかずと時々交換したり、楽しいひと時だった。

 

その母上が昨日、帰国してしまった。私が焼く、フランスパンがお気に入りで、週に一度は焼いて届けていたが、早くから、帰国する時はお土産に持って帰ると楽しみにしてくれていた。昨日は、焼きたてのそのフランスパンと、大好きだと言うので、出来上がったばかりの杏梅の梅干しとミョウガの甘酢漬けを届け、さよならをしてきた。名残惜しい気持ちが湧いて口をついて出てきた言葉は「また、日本に来てね。」だった。この言葉がいけなかった。母上は「私はもう歳だから日本に来ないかもしれない。」と寂しそうな顔でそう言った。私が余計なことを言ったためにそう言わせたようなものだった。馬鹿馬鹿、自分。余計なことを言ったものだ。母上が涙ぐんでしまった。私も同時にもらい泣きしてしまった。親戚でも何でもないただの近所付き合いだが、食を通して楽しい時間を共に過ごすというのは何か、特別な絆ができるものだと改めて思った。また、母上にしてみたら、高齢というのもあって、二度と来日するチャンスはないかもしれないと言うのが本音だと思う。この私ですら、この年で海外に出ればそれが最後のチャンスとなるかもしれないと、そう思うのである。「これが最後」と思うと、名残惜しさというよりも、生きて会うのが最後を思い知る別れでもあった。その涙であった。

 

さて、助走はこのくらいにして、料理の話に移ることにしよう。

 

Kibe(キビ)というのは、ふすまの付いた小麦の粒を挽き割ったもののことで、どうやら、中東からの移民とともにブラジルに運んでこられた食材らしい。今日の肉団子はブラジル料理といっても、中東のケバブのようでもある。

   

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ブラジル食材店でよく見かけるファーストフードコーナーでも、温かく保温した容器で売られている。他には、鶏の丸焼きやPastel(パステル)という揚げパイのようなスナック、ポンデケージョ、コシーニャというブラジルコロッケ(レシピ参照)なども一緒に並んでいる。この肉団子の特徴は、水で戻したKibeと牛肉のひき肉を練り合わせ、にんにくやピーマンなどを刻んで塩と胡椒であじつけし、よく練り合わせて俵型に整形して揚げるシンプルさである。好みで、クローブやシナモンを少し加えて香りを味わうのもいい。Kibeと牛肉の割合は、半々か1対3くらいが適量。Kibeの量が多いと、慣れないと肉団子が破裂しやすいが、多い方がKibeの風味が良くなるし、ヘルシーでもある。今日は教えてもらったとおり、半々で混ぜた。また、卵や片栗粉のようなつなぎは一切加えないので、牛肉をよく練り上げておく必要がある。材料を混ぜる前に牛肉をほぐすように練り、味付けをしてから刻んだ野菜とKibeを混ぜ合わせると上手く行くと思う。

 

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このKibeの入手先だが、ブラジル食材店はもちろん、都市部なら外国食材店で「Yoki」製が多く売っている。

 

セシリアの母上の置き土産となってしまったこの肉団子レシピ、今後も時々思い出しては作ることになりそうである。

 

材料(3人分)   
牛ひき肉・・250g   
Kibe・・50g   
水・・200cc   
赤ピーマン・・みじん切り1個分   
ピーマン・・みじん切り1個分   
塩・・小さじ1   
胡椒・・適宜   
にんにく・・みじん切り1片分   
クローブ・・少々   
シナモン・・少々   
揚げ油・・適宜

 

作り方   
1.  ボールでKibeを200ccの水で約1時間戻す。

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2.  にんにくとピーマンをみじん切りにする。   
3.  ボールで牛ひき肉をほぐしてよく練り合わせ、塩と胡椒、クローブ、シナモンを混ぜ合わせる。   
4.  1のKibeをキッチンペーパーなどで包んで水気をよく絞り、3に混ぜ合わせる。   
5.  6等分して俵型に形を整えながら、手のひらで叩くようにしてできるだけ空気を抜く。

   

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6.  揚げ油を160度に温度を上げ、少量ずつ順に上げて出来上がり♪

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