2012-01-14

鰊(ニシン)の昆布巻き:天然素材を前に脳ミソフル回転だ

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 今年の正月用に、昨年の暮れに鰊の昆布巻きを久しぶりに作った。他のお煮しめと一緒に実家に持ち込んで親類にも食べてもらったところ大変好評だった。おそらく、市販の昆布巻きとは見た目が違う点もあってか、手が伸びたのかもしれない。私自身は出来上がった時のお味見だけで、もっぱら人に食べてもらって終わっていた。それも手伝ったかと思うが、妙にこれが恋しくなり、また同じように作ってみた。今回は、レシピを書けるように調味料も計量しておいたのでそのまま記録しておこうと思う。
 昆布巻きの材料は全て天然素材使用なので、味付けの微妙な加減はその都度必要かと思う。が、そう難しいものでもない。簡単に言うと、素材の味を生かした旨味のある出来上がりにするには、味付けを濃くしない事だと思う。出来上がってから冷めながら味がグッと染み込むため、煮ている最中の味付けは少々薄い方が安心できる。また、最後の最後に醤油で味付けする方法で作っているため、出来上がる寸前に味を濃くすることも出来る。くれぐれも注意することは、最初に醤油を入れすぎないことだと思う。美味しく出来上がった喜びを味わって欲しいと願うばかり、最初から小言みたいになってしまったが、前の晩からニシンを戻して、翌日時間をかけてゆっくり煮ている時間がどれだけ楽しめるか、昆布巻きの味わいはここからもう始まっている。
 早速、材料の揃え方から書いておくことにしよう。まず、昆布巻きのメインである昆布のことから。
 私は北海道産の利尻か礼文島産の昆布を使用している。昆布は何と言っても北海道だと思い込み、産地が旨味の勝負だと思っていたら、北海道の産地のお婆さん曰く「どこでも昆布は昆布。同じ。」だそうだ。違いを感じるのは、昆布の部位による特徴のようだ。
 昆布というのは長い紐状の海藻で、部位によって厚みや幅もまちまちだ。乾燥して縮まった状態で袋に入っているので、袋の表示を頼りに買うしかない。「煮昆布」という表示の昆布は、その名の通り煮物に適しているようだが「早煮昆布」という表示のものもある。この表示の昆布は、比較的幅が狭く、身が薄い。昆布の先端に近い部分だそうだ。この表示の昆布を使って昆布巻きを作る場合は、煮崩れを加味して煮る時間を短くすると良いと思う。また、「出汁昆布」という表示で、肉厚で板状だとはっきり見て取れる昆布は今回使用の昆布で、食感がしっかり残るタイプだ。戻した時の幅は15~20cmほど、長さは25~30cmに切り揃えてある物を購入する。 

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 次、身欠きにしんのこと。最近は樺太方面で取れたものや、アメリカ産などと色々ある。昔ながらのカラカラに乾燥させたものから、半生干しの「ソフトニシン」と呼ばれるものまである。比較するのにちょうど良い画像があったので借りてきたが、右側にあるような半生のニシンを今回は使用している。戻すのに一晩で良いし、パサパサした食感が残らないからだ。
 身欠きにしんの戻し方は、糠を溶いた水か米のとぎ汁で戻すが、これは、ニシンの臭みの元となる余分な脂を米糠に吸着させる働きを利用する。余談だが、この方法で戻したニシンを甘辛く煮て蕎麦にのせていただくのが「鰊蕎麦」。私の大好物。

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 次、干瓢(かんぴょう)のこと。今回使用した干瓢は手作りだが、市販の漂白した干瓢で充分。干瓢まで手作りするんですか?と、Twitterでは驚かれたが、保存食文化が残る諏訪ではいまだに手作りする人がいる。夏に収穫した夕顔がその正体。因みに、作り方はこちらで書いた☞
 市販品との違いは、戻し時間が早くとても柔らかい。味は、干瓢にも甘味があるということがはっきりわかる。自家製は、漂白などの工程がないため、剥いたらそのまま干して水分を抜くため、干瓢の甘みが凝縮されている。昆布巻きが解けないように結びに使用するため、水で軽く洗って柔らかくなったらそれで準備オッケー。
 昆布巻きで一番頭を悩ますのは、昆布の幅とニシンの長さの関係だと思う。つまりカッコよく作る努力だ。昆布は、使用前に水で10分ほど戻して巻きやすくするが、煮込んでいる内に次第に煮汁を吸って身が厚くなり、幅も広がる。つまり太ってくる。鍋物で、最後まで残った昆布を見たことがあるだろうか?あれだ。その太り分を予測してニシンの長さを決める点と、干瓢は緩めに巻き、結び目は解けないようにきつく結ぶ点だ。準備段階でニシンを昆布の幅に切り揃えてしまうと、出来上がるころにはニシンが昆布の中の方に入ってしまう。かと言って、昆布の幅よりは長いニシンを切って捨てるのは忍びないではないか。ここで、捨てずに全て使い切るには?と、頭がフル回転する。と思う。

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 私の方法は、ニシンを半分の長さに切って切り口を昆布の両端に少し飛び出させて置き、中央部分では頭部と尻尾の部分が互い違いに重なるようにしている。これだと、昆布巻きの太さもほぼ一定になる。作る数が少ない時は、あらかじめ切り揃えた昆布を広げてニシンを乗せ、数合わせをすると良い。戻したニシンは腹側と背側の切り替え部分で切り離して使うため、一枚の身欠きにしん(三枚おろし)で二本の昆布巻きを作ることになる。昆布は、乾燥状態で25~30cmの物であれば、長さを半分にして昆布巻き一個が12~15cmの長さの昆布で巻くことになる。

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 こんな風にまとめてみたがどうだろうか。実際、作った分量も書いておくことにしよう。

材料(昆布巻き15cmの長さで10個分)

  • 利尻出汁昆布・・長さ30cm×幅15cmを10枚
  • 身欠きにしん(ソフト)・・5枚
  • 干瓢・・4m(一袋)
  • 竹の皮・・2枚(なければ経木、それもなければオーブンペーパーに少し穴をあける)

調味料

  • 酢・・大さじ 2       
  • 砂糖(きび砂糖や素精糖などの少し癖のある砂糖)・・大さじ4       
  • 濃口醤油・・大さじ3~4(はじめは3だけで味見する)       
  • 日本酒        ・・大さじ4
  • 水・・カップ5(昆布一枚につき1カップ)

作り方

・下ごしらえ

  1. 身欠きにしんを米の研ぎ汁か糠を水に溶いて一晩かけて柔らかく戻す。 しっかり乾燥したニシンの場合は、身がふっくらするまで、冬なら2日間くらい、研ぎ汁を替える。
  2. 柔らかくなったニシンのうろこや鰭・汚れを落とし背側と腹側に切り分け、さらに長さも二等分する。
  3. 昆布は布巾で両面を拭いて汚れを落とし、水5カップを入れたボールで10分ほど戻して柔らかくする。戻し水は捨てない!
  4. しなやかになった昆布は二等分して長さを半分にする。(10枚できる)。
  5. かんぴょうは水をくぐらせて揉んでしなやかにしておく。

・昆布巻きの作り方

  1. 昆布を縦に置き、ニシンの断面を昆布の両端に少し飛び出させて端から緩めに巻き、干瓢を二重巻きして結ぶ。 結び目は固く、巻き方は緩めに巻くこと。固く巻くと昆布も干瓢も膨らむので解ける原因になる。 

・昆布巻きの煮方

  1. 平鍋に縦に切り目を入れた竹の皮を敷き、その上に昆布巻を並べる。
  2. 昆布を戻した水を、昆布巻がすっかり隠れるくらい入れて強火にかける。
  3. 沸騰したらアクや泡を取り除いて酢大さじ2を加え、落としぶた(代わりにリードクッキングペーパーはとても良い)をして中火で約1時間煮る。 煮汁が減ってきたら、残った戻した水を加える。
  4. 昆布巻に串を刺してスッと通ることを確認して日本酒と砂糖を加え、落し蓋をして30分煮る。
  5. 昆布巻が艶良く、かんぴょうも透き通ったら醤油を加えて弱火で煮込む この間、時々煮汁をスプーンですくって昆布巻にかける。
  6. 煮汁が鍋底にやっと残っている程度まで煮込んだら出来上がり。 この時の煮汁の味は、冷めた時、昆布巻きの味そのものになる。そのまま落とし蓋をして冷ます。

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コメント

以前魚をささっとさばけるようになりたいとコメントしたことがある者です。ご無沙汰してます!にしんの昆布巻をお正月に作り出して3年くらいやっとたちました。また参考にさせていただきますね。私はにしんは全く食べれないのですが(笑)まわりが好きなのでなんとかがんばってます。一応主人と母には合格をなんとかもらっています(笑)。日々勉強ですねー!

投稿: miyamo | 2012-01-18 14:26

miyamoさん、こんにちは。
昆布巻きはごまかしが効かないし、手間もそれなりですが、昆布が柔らかい歯ざわりで、噛めば噛むほど愛おしくして仕方がなくなります。と、自分で感じれば合格にしています。

投稿: godmother | 2012-01-18 15:50

初めて訪問させていただきました。
ひな祭りの際に昆布巻きに初挑戦してみごと失敗いたしました。
巻き方がゆるかったり干ぴょうを戻してから巻いたためブチブチ切れてしまったり・・・・。
今度はきちんと作ろうとPCで検索していてこちらの記事にたどり着きました。
とても参考になります!
乾燥したニシンを買ってしまったので、昨夜から米のとぎ汁に浸けているところです。
お昼頃から作業にとりかかります。

諏訪の方なんですね。
偶然、わたしは岡谷の住人です♪

投稿: あきぴー | 2015-03-10 08:37

あきぴーさん、はじめまして。
岡谷ならとても近いですね。昆布巻をお雛様で作られるというところからして、そもそも都会では話題にならないことですよ。実家は、関東で、記事にある通り、こちらに嫁いでから昆布巻は勉強したものです。成功すると良いですね。

蛇足で不躾ですが、諏訪にお越しの際、お時間がありましたら「godmotherの手作りぱんぱかパン」http://panpakapan.shop-pro.jp/にお立ち寄りください。昨年の夏から手作りパンのお店を始めました。レシピのお話などできたら楽しそうです。ではでは。

投稿: godmother | 2015-03-12 06:00

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