2012-01-22

リフレ派の議論が政策に反映されない理由について雑感

 日本はなぜ円高なのか?
 政治家が馬鹿で、日銀が臆病者だからに決まっている。こんな風に最近、確かに思ってきていた。政権交代時、大きな期待はなかったが、それでもここまで民主党が嘘つき政党だとは疑ってはいなかった。先日も、ひどいトリッキーなことをしてくれたものだと腹も立ったが、少し落ち着いたので書いておこうと思う。
 この政権が歳出の削減に大きなウエイトを置いていた行政刷新会議がなくなるという話だが、その裏を取れば結局、岡田さんが行政改革相と行政刷新相を兼務する手前、「行政改革調査会」と名称を変更したという諸事情が背景はあったようだ(参照)。この名称変更に伴って、法的な執行力でも付けるという話ならまだ評価できるが、その望みはない。理由はこれに変わる前の行政刷新会議は、頓挫したも同然だったからだ。鳩山さんがダンプカーを乗り回した後にホコリが立ち、菅政権がそのホコリを被ったまま苦しい参院選を迎え、この敗北によって参院で成立の見込みのないものとなってしまった。その後の衆院で撤回されたという経緯がある。蓮舫節約大臣の鼻息はここまでだった。この名称を変えて頭を岡田氏にし、メディアが相当ふっかけても、法的な裏付けのない「行政改革調査会」というのは、学級委員会レベルの会合でしかない。これに騙される国民が多少はいるとは思うが、もはや、この程度のカモフラージュで増税するといった子供騙しを使う程度に成り下がった政権でもある。そろそろ終わりの風景だと言われるのもしかりかと思う。

cover
円高の正体
安達誠司

 さて、前置きはこれくらいにして。極東ブログで紹介の「円高の正体(安達誠司)」をマジで読みたくなったきっかけだが、先日、アメリカの経済学者ポール・クルーグマン氏のコラム「Taxes at the Top」(参照)の翻訳サイト(参照)を読んだ時、日本のことが気がかりになっていたからだ。まず、クルーグマンの話から。
 現在アメリカではオバマ大統領の対抗馬を選ぶための選挙が行われているが、この選挙に出馬している共和党の有力候補者ミッド・ロムニー氏の納税額を取り上げ、アメリカの課税率の不公平さを説明している。富裕層への税率は低く、子育て真っ最中で何かと物入りな中間層への税負担が比率的に多くなるのは何故か?という問いかけだ。簡単に言うと、株価の上昇やその売買から受け取る利益に対する税金額は、給与所得に対する税率よりもはるかに低い。これは、おかしいんじゃないかと疑問を投げかけている。

 お金持ちがこうもわずかしか税金を払っていない主な理由は,彼らの所得は大半がキャピタル・ゲインのかたちをとっているためだ.キャピタル・ゲインは,最大でも15パーセントしか課税されない.これは,賃金・給与の課税上限をはるかに下回っている.そこで問題はこうだ:キャピタル・ゲイン(その4分の3は所得分配の上位1パーセントが得ている)は,そうした特別扱いがふさわしいんだろうか?     ※キャピタル・ゲイン(参照

 アメリカの収入格差問題は最近、よく言われている。全米の1%が大金持ちであるゆえんだとしている。ほう、と感心してはいられない。日本ではどうだろうか?
 調べてみると、平成13年12月31日という期限付きで10%。通常は20%だそうだ。これ、低いでしょう。不労所得にはしっかり課税して税金を払っていただかないとと誰もが思うのじゃない?と、所得の少ない私ごときが言うと、ヤッカミにしかならないが、富裕族へは誰も突っ込まない。何故?政府もメディアも、誰もが増税しやすい消費税をターゲットにしている。しかも20年もの間デフレ不況で、円高を理由を大手企業は海外移転の傾向にある。このままでは本当に仕事もなくなってしまう。しかしながらこの政府は、「社会保障と税の一体改革」に走り、景気回復政策へ舵を切るつもりはないようだ。その理由については極東ブログでも考察されているが、以前から私もずっと思っていたのは、この政権を支えている世代は高齢者だという点だ。
 平成23年版 高齢社会白書(全体版)のグラフを見ると、60歳を境に15歳以上の人口と高齢者の人口はほぼ同じである。また、14歳以下の児童は年々減っている。

Z1103

 つまり、政権を支えてくれている有権者には増税を課せられない弱みというのが見え見えである(他にももろもろの理由はありそう。)今まで悶々としていたことがこの数字によってかなりはっきりしてきた。が、このような何故、どうしての疑問に本書が応えてくれると言うよりも、むしろ、リフレ派の議論についてもっと触れたいという欲望のようなものを掻き立てられた。また、リフレ政策ができない理由や弱点があるとしたらそれは何か、そこを考えるに当たってもっと刺激が欲しいと感じていたことに気づいた。

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