2011-08-15

日航パイロット小林宏之氏の話す「危機管理」と、極東ブログ紹介の「無駄な抵抗はよせ」はよせ」(日垣隆)

 菅さんが退陣表明し、これによって国会議員が動き始めたようだ。なんだかとても信じ難いのだが、菅さんの首相任期も残すところ9ヶ月である。その9ヶ月にどれ程の命をかけるか知らないが、引き継いでやるだけである。その前に、首相である限り、菅さんは解散総選挙の鍵も握っている。なので、最後の最後までわからないと言えばそうだと思う。だた、総選挙などをやれば復興も中断し、決まるものも決まらないずに国民が困ることになるため、おそらくそんなことはしないだろうと思っている。それにしても、みんながこぞって選挙に対して躍起になっている姿を見ると、そのエネルギーを別の場所に向けて欲しいと、冷ややかに思ってしまう。
 さて、原発の今後について考えていた。菅さんは「脱原発依存」を言い放って方向性を見せたようだが、最終的に、あの発言は自分の個人的な思いだと、広島の慰霊祭のあとのインタビューで語ったそうだ。私は、ここで何度も触れてきたとおり、原発は安全に保存するしかないし、直ぐに原発を止めても日本の経済が混乱状態に陥るだけで、止めるのは難しいと思っている。先日、「菅さんの辞任発言後、噴き出し始めた日本の将来設計について雑感」(参照)で書いたとおり、政治家の一部では新しい原発の構想もあるようだ。これに対して嬉しい気持ちもあるが、危機管理という課題が実は、ずっと気になっている。原発事故後、この言葉を聴かない日はなかったかに思うが、日本人の危機管理能力は非常に低下してきていると思う。若輩者と言われるような私くらいの年の人間が言うのも些か憚れるが、昔の常識は今の時代では通用しなくなった。言葉も通じないし、意志や思いも伝わりにくくなったと感じている。ユーモアも通じないし、ちょっとした比喩も通じないことがよくある。こんなことはどうでも良いことだと思えるし、通じないからといって人が死に至るわけでもない。私の婆だし、で諦めもつくが、これが原発事故で表面化したと悟った時は、大いに関係のあることだと思い直し、苦痛すら覚えた。
 具体例では、東電と保安院、政治家との間で、まともに日本語が通じていない事実が沢山表面化した。まだ、危機的な1号気の弁の開閉についての報告や指示が上手く伝達されなかった。刻一刻と変化する現場の状況が保安院に正確に伝わらなかったことによる数々のミス。皆、忘れていないと思う。この原因沢山あると思うが、現場の判断が瞬時に問われ、的確に関係方面に伝達されなかったのは大きい。これを人災という人も多くいたが、「危機管理能力」とは、プロであるなら自己最高のものを目指してこそだと思った。
 今の世の中で、この危機管理はどう克服されるのだろうか。これが大いに疑問となった。原発が新しくなろうと、今の原発を安全に保つのであろうと、危機管理能力が問われる。その一点を解決しなければ同じような事故を繰り返すのではないだろうか。科学や技術的なことと並行して、精神面で何か足りないもの、これをどうやって補い、育成して行けばよいのだろうか。こんなことを思いながら悶々としていた。
 「危機管理」でネットを検索しているうちに小林宏之という今年65歳になる現役パイロット(参照)のインタビューの動画を見つけた(参照)。小林氏のことを知る人も多いと思う。私は、前に何かの番組で見て既に知っていたが、昨年の3月、定年退職された後も日航の現役パイロットであると知って嬉しかった。

  短いが、この動画は2010年の2月、おそらく番組のために過去の記録も含めて編集してあるようだが、東北大震災の前の月だ。ここで「危機管理」がテーマとなっているのは何かのめぐり合わせか、小林氏の話がとても興味深い。危機管理能力を後継者にどうやって教えて行くかがテーマになっている。また、パイロットは半年に一度免許を更新する義務があり、現役を貫くために数々の経験も積んできたことが分かる。必ずこの小林氏から学ぶ事があるはずだと思い、いろいろ探すが、特に自叙伝のようなものはないようだ。ところが、もう一つ、情報を探し出した。

cover
「無駄な抵抗はよせ」はよせ (WAC BUNKO)
日垣 隆

 極東ブログ「無駄な抵抗はよせ」はよせ(日垣隆)」(参照)の書評で取り上げている書籍に小林氏のインタビューがあるそうだ。検索中、この記事にヒットし、また嬉しくなった。
 どんな書籍かと早速、書評を読んだが、日垣隆氏によるインタビューを8点まとめたものだった。小林氏の紹介部分が真っ先に挙がっていて、しかも、もっと話を聞いてみたいという感想が述べられている。他のコンセプトも興味深く、取り合えずこの本を注文した。

 

|

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 日航パイロット小林宏之氏の話す「危機管理」と、極東ブログ紹介の「無駄な抵抗はよせ」はよせ」(日垣隆):