2011-08-25

「トロイの木馬」作戦によるトリポリ陥落-今後の気になる点について

 あれほど気がかりだったリビアのカッダフィー独裁政権が24日、あっけなく幕を閉じた。しかも、当のご本人と息子は、今のところ行方不明だと報じていた(jiji.com2011/08/25-06:18)。これからどうなるのか、気になるところだ。そういえば、リビアがうまく収まる方法として、自分なりの予想を以前立てたことがあったのを思い出した(参照)。国際社会からお尋ね者カッダフィーと祭り上げ、誰かの手によって首が絞められるか拿捕する、というのが一番落ち着く方法ではないかと思っていた。特に、ビン・ラディンがパキスタンの隠れ家で見つかり、アメリカの特殊部隊による包囲によって一気に片付けてしまったように、あのような図柄を想像していた。それだけに、カッダフィーがさっきまでくつろいでいたのではないかと思うような居間の映像などをTVで見た時は、如何に逃げ足の速い人だろうかと驚いた。日本のメディアでは報じている様子はなかったと思うが、陥落の直後だと思う、Twitterのクリップでイギリスのテレグラム紙が作戦の詳細を伝えていた(参照)。私は、なんだか気が抜けて、まるでその前の日までリビアの行く末を思っていたのが嘘のようだった。お見事であったと思った。
 そして、MSN.産経ニュースが先のテレグラフ記事を引用してNATO軍の働きを讃えていた(参照)。私個人の、今までのリビア情勢を見てきた感想は、反政府軍がよくこれまで諦めなかったものだということだ。NATO軍から誤爆をうけて死傷者を出した情報も何度か耳にした。兵器も、政府軍とは比べものにならない様な古ぼったいお粗末なものだっと聞いていた。それが、トリポリ市を包囲し始めたと知ってからわずか2日の内に陥落のニュースが入った。
 また、昨日、極東ブログ「トリポリ陥落の印象」(参照)では、この作戦を「トロイの木馬」と呼んでいた。ぴったりな比喩だと思って感心した。トロイを陥落させるために木製の木馬に人を忍ばせて欺いたという、ギリシャ神話だ。それが、テレグラム紙に書いてある詳細の通りだと思った。私などは、それがいかにもスマートだからか、良案としてうまいこと事が運んだとしか思わなかった。仮に、カッダフィーとの取引が事前にあり、身柄の保証と引換に、降参しろという話ができていたとしたら、このスマートな幕引きに頷ける。また、息子が23日捕まったというニュースが上がった時点でもしかすると、息子が父を見捨てたのかとも思っていた(参照)。
 思いはいろいろ錯綜してばかりだが、陥落後で一番気になったといえば、ポストカッダーフィーは誰が務めるかだった。いや、独裁政権のやり直しという意味ではなく、リビアにそもそも民主化が訪れるとは思えないものがあることと、政治体制がほとんど無いようなリビアにどうやって政府などが建つのか、それが想像がつかない。このニュースのとおりになるのかどうか分からないが、先程日経で「リビア、高官ら相次ぎ反体制派に転向 外相は停戦促す」(参照)で、カッダフィー政権下の高官が鞍替えするそうだ。


【ドバイ=中西俊裕】カダフィ大佐の独裁が事実上崩壊したリビアでは24日、カダフィ政権の保健相や情報機関高官から反体制派への支持や転向を表明する発言が相次いだ。外相ら反体制派に恭順の意を示す政権側幹部が政権側の兵士に戦闘停止を促す動きも表面化。反体制派首脳は大佐の身柄に懸賞金がかかったことを公表するなど所在に関する情報収集を急いでおり、大佐と配下の兵力を追撃する動きが加速している。

中東の衛星テレビ、アルアラビーヤは24日、カダフィ政権のヒジャジ保健・環境相とハリファ情報機関副長官(対外担当)が反体制派に転じたと報道。「長官は政権側の将兵に反カダフィ革命に加わるよう求めた」と伝えた。

アブデル・ラティ外相はトリポリ市内で英テレビ・チャンネル4の電話取材に答え、内戦は反体制派の勝利で決着したという認識を表明。「私にまだ(外相の)権限があるなら、大佐側の兵士に武器を捨てるように言いたい」と語り、停戦への調停を務める意向も示した。


 簡潔に書いてあるせいか、とても簡単そうな印象を受ける。負けを認めてしまえば、報復措置として勝利側が有利に事を運べるというのは理屈ではわかるが、そう上手く行くものだろうか、と少し疑問が残る。
 また、大佐について、正式な表明が出たようだ。


一方、国民評議会のアブドルジャリル議長は記者会見で、大佐の身内や身辺に居た関係者に「大佐を殺害するか生きたまま捕らえれば恩赦を与える」との意向を表明。ベンガジにいるビジネスマンが大佐拘束のために200万リビアディナール(約1億3090万円)を支払う考えであることも明らかにした。大佐の所在は25日未明時点でなお判明していない。


 これ、フェイクじゃないだろうか。と、今朝もこれと似た記事がウォール・ストーリー・ジャーナルで上がっていた(参照)。つまり、逃亡の色を濃くするためにフェイクだとしたら、一生見つからない場所に潜伏しているか、誰かが匿っているかだろうか。
また、今後の問題で、原油の管理と言ったらよいのか、西側諸国が結局リビアの原油を管理することになるのは最初からわかっていたことだ。
 ロシアと中国は、国連の介入に反対だったため、反政府側は、原油の配当を拒否することを表明したため、もらい分が無い。功績のあったアメリカには、その名も上がらない。これまでを思えば当然だが(参照)。また、24日、ブルームバーグ「海外資産と原油資源持つリビア、復興では外国の金融支援は不要か」では、これまでのダメージを修復するための費用は、カッダフィー政権が海外に持っている500億ドル(3兆8500億円)で賄えると見ているらしく、ドイツのメルケル首相が、海外銀行の凍結解除を申し立てているようだ。
 なんだかこのスピードに圧倒されて仕舞いそうななる。エジプトの足ふみ状態とは全く違うスピードだけに驚く。ここでまたしても、これはシナリオがあったのではないかと勘ぐってしまう。が、リビアには金蔓である原油が有る。その点は安心できるようだ。むしろ、これからは正常な管理体制になるというものだろうか。


北大西洋条約機構(NATO)軍の空爆や後方支援で、リビア反政府勢力は首都トリポリをほぼ制圧。行方が分からなくなっているカダフィ大佐と大佐支持者らの捜索が続いているが、ドイツのメルケル首相ら欧米首脳は、リビアの民主政権移行を促すためリビアの海外資産の凍結解除を呼び掛けている。

民衆の大規模な抗議活動で政権交代を実現したエジプトやチュニジアは国外からの金融支援を必要としたが、海外資産に加え、アフリカ最大の原油埋蔵量を持つリビアの状況は異なっている。

カダフィ政権から今年2月に離反した前リビア中央銀行総裁のファルハト・ベンガダラ氏は、「われわれには融資は不要だ。リビアには巨額の金融資源と原油埋蔵量がある。必要なのはリビアの海外資産凍結を解除する国際社会の協力だ」と述べた。

 

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