2011-07-07

難民や不法移民について雑感

 9日に予定されているスーダン南部が分離独立することを前提に昨日、日本政府も「南スーダン共和国」の独立を承認する方針を固めたと報じていた(毎日)。これで、日本の承認国は3月のクック諸島に続き194カ国となるそうだが、認めた以上、これらの国が国として発展するのを見守るという気持ちも働いてくる。スーダンがここまでに漕ぎ着けるとはあまり思っていなかった昨年の事を思うと、この結果を喜ぶべきだと思うが、心境はそうでもない。つい先日、読売社説でコルドファンの治安のために、日本の自衛隊派遣を行うべきだといった記事が突然挙がって驚いたが(参照)、誰もが望むような状態ではないにもかかわらず独立の日だけが近づいているという気がしてならない。
 昨日、スーダンの様子が気になりネットでニュースを見ていた時、小さな記事だがスーダンの難民船がソマリア沖で炎上して沈没し、200名のうち3名だけが救出されたことを報じていた(ロイター

 報道によると、乗っていたのはスーダンの近隣国出身の難民で、サウジアラビアへ密入国しようとしていた。船は火災を起こして沈没し、3人が救助されたという。船の出発地などは報じられていない。
 スーダンに近いソマリアでは、治安悪化から密入国業者の手を借りてサウジに向かうケースが多発し、アデン湾を挟んで対岸にあるサウジ南部のイエメンに渡る人が多いという。

 ソマリアと言えば、ソマリア人の海賊が出没する海で知名度は高いと思うが、スーダンにとっては、国から逃れてエジプトへ渡るための出航地でもある。今回は、200名の密航者と知って、数の上ではかなり多いことから、それだけスーダン南部の情勢が逼迫(ひっぱく)しているということではないかと心配した。また、この記事から、密航者がソマリア人かスーダン人かはっきりしない点もあるが、ソマリアの国情もかなり悪いため(参照)、難民問題は、アフリカ全体で絶えない問題とも言えると思う*2。日本の政治がどれ程酷くて悲鳴を上げても、アフリカの暮らしからすれば比較にも値しない暮らしがまだある。安心して国に住んでいられず、近隣国へ助けを求めて避難する途中に命を絶たれるケースははかなり多いと聞いているが、いつ聞いても悔しい思いが残る。
 これはメキシコの不法移民の話だが、昨日、Twitterで拾った記事が非常に興味深く、この調査や研究の結果が今後の移民や難民問題を解く鍵になるのではないかと思った(参照)。
 この調査は、過去30年間のメキシコの不法移民の数の推移から、その減少の理由をいくつか挙げている。記事が長いので途中を引き抜くというよりも、内容に沿って考えを付け足してみたい。
 非常に単純明快な答えなのだが、アメリカに渡る魅力がなくなったというのがその理由だ。そりゃそうだろ、逃れる必要性がなくなれば誰もわざわざ危険を犯してまで国外逃亡などしないのは分かっている。メキシコがここまでの国になったのは、第一には人口を減らす政策のようだ。ローマカトリック教会の圧力に屈することなく避妊を推進したため、出生率が2007年では80万人となっている。グラフにもあるが、1970年代では、一人の女性の出産率は6~7人だったにもかかわらず、2010年では平均2人になっている。そして、2030年までには、30万人まで減少すると見ている。また、メキシコでは教育と雇用機会が増え、国内総生産と家族の収入は著名な経済学者、ロベルトニューウェル氏によると、2000年以降は45%増となっているようだ。
 ところで記事にはないが、ローマカトリック教会の決まり事があるにもかかわらず、どういう方法で子どもの出生率を低下させたのだろうか。ローマカトリック教会の「掟」は知っているだろうか*1。一昨日「お母さんの書く事は、ニュースで報じていないような内容については難しい。」と言われてしまい、多少、脚注を入れておこうと思う。と言いつつ、引いてきた情報が正しいのかよく分からないため、異論のある方のご指摘に期待している。よろしく。
 さて、中断してしまった。戻すと、政治的には、過去15年間でアメリカから正式に入国を許可されずにきたこの国に、民主的な政治が広がったことを挙げている。アメリカに近い海岸地域から広がり、次第に内陸部へと浸透し始めたようだ。加えて、米国では違法の生活が難しくなったことを挙げている。具体的には、不法移民の権利を制限したり、雇用するための法改正が2006年から数十の州で施行されるようになり、さらに取締りが厳しくなったのも理由のようだ。メキシコが住みやすくなり、アメリカが暮らしにくくなったことが不法移民の数を激減させたという説明はよく分かった。
 長年の悩みであったメキシコのこの問題解決をサンプルに、アフリカの難民を置き換えるとどうだろうか。はっきり言って、気が遠くなる。
 メキシコのようなベースが殆どないのは明らかであるし、何から手をつけたらよいのか戸惑うものがある。が、メキシコの人口減少は少しずつだが年々減ってきたのと同時に、国民生活も良くなっている。私の浅知恵だと、子どもを増やさないための指導をしたり、ともすると、コンドームを政府が配布するというものだろうか。自分で書いて冗談かよと、思ってしまったが、いやこれは大真面目な話だ。
 とにかく、メキシコの話は先が明るくなる話であるし、アフリカ難民問題の何かに生かせないだろうか、と考えた。

*1ローマ・カトリック教会の考え方参照
ローマ・カトリック教会は、前述のキリスト教全体の考えに同意すると共に、避妊について次のような見解を加えています。「人工的な避妊に対しては反対する。しかし、自然な避妊法は、家族計画の手段として奨励する。」
 カトリック教会は、人工的な避妊は、結婚の目的に反するため、望ましくないと考えています。それは、セックスの持つ、結合と生殖という二つの側面を分離させるからです。人はみな、神の恩恵を受けており、神は私たち一人一人に対してすべてを愛し、すべてを与えて下さいます。だから私たちも、結婚生活で互いにすべてを愛し、すべてを与え合わなければならないのです。夫婦間のセツクスは、オープンで、愛情に満ちた、新しい生命を生み出すものでなければなりません。
 このような愛情の表現と、人工的な避妊法は、共存できるものではありません。しかし、自然な避妊法による家族計画は、奨励すべきものとしています。

*2)極東ブログ「チャド情勢、本質はダルフール危機」(2008・02・08参照)では、アフリカから避難民が多く流れ出した経緯を詳しく解説している。

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