2011-06-24

フィンセント・ファン・ゴッホ(Vincent van Gogh)

 ここ二日ほど、二人の案内人による「絵画鑑賞」が続いた()。この一連と相俟って昨日、ゴッホの自画像の一枚が弟テオドルス(通称テオ)の肖像画ではないかと、アムステルダムのファン・ゴッホ美術館が発表したのをきっかけにゴッホを見なすことになった。これまで言われてきているゴッホの激しい性格や人生そのものも激しかったことから、何度か映画化されたようだが私は見ていない。以前に少し書いたが、ゴッホとの最初の出会いは10代で、同級生有志数名とゴッホとゴーギャン展に行った時だった。当時の私には、この二人が日本で人気のある画家だと言う情報は全くなく、また、そういうことに価値観を置かない年齢だったせいもあるが、客観的にアプローチしたと思う。ゴッホの絵は特に好きでもない。鮮やかな色使いの割りに地味な対象物が多く、力強い筆のタッチが印象的だった。
 1987年、安田火災海上(損保ジャパン)が「ひまわり」を53億円で落札し、1990年、「医師ガシェの肖像」が齊藤了英氏により124億円で落札されて話題になった。バブルの成せる業であったが、この時世界中に日本が金持ちであると知らしめただけでなく、このような高額落札による経済効果や文化に及ぼす効果は如何様か考えてみようかと思ったほどだった。因みに「医師ガシェの肖像」は1887年、弟テオの未亡人であるヨハンナによってわずか300フラン(約28,000円)でデンマークのコレクターの手に渡ったといわれている。それでも100年前であればかなり高額ともいえる。
 昨年、NHKでゴッホの特集番組「炎の絆・ゴッホ」があり、一度見逃して再放送で少し見た。ゴッホが生きている間に売れた絵はたった一枚、「赤い葡萄畑」だけであったこと。弟テオの援助だけで生活してきたこと。そのテオとは何度か途中で途切れながらも約20年間文通が続いたこと。赤貧の中で作品を描くゴッホの才能を信じ、画商を営む弟テオによって自宅での画展も開かれるが、絵はいっこうに売れなかった。番組ではその手紙を紹介したが、奇人という評判からは想像も就かないほど論理的で、弟には深い配慮が見られた。
37歳という若さで亡くなったが、銃による自殺説と、銃身の長さや右利きであるのに左脇腹から垂直に内臓を貫いているとして他殺説もあると知った(参照)。
 ゴッホの活動は約10年と短い。傑作と言われている作品の殆どは晩年の約2年半(1888年2月~1890年7月)に描かれたのもだと言われている。ゴッホの没後、数少ない作品も弟テオの努力によって世の中に知らされたが、そのテオも半年後に亡くなった。

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Self-portrait
1887 (spring)

 昨日クリップしたAFPの記事の弟テオの肖像画の件だが(参照)、ゴッホの生計を支えてきたほどの兄弟関係であるにもかかわらず、一枚もテオの絵が無いのも不思議ではあった。そして、その絵を食い入るように見たが、確かに指摘されている通り特に、耳の形と向きが違うように思った。

【6月22日 AFP】オランダの巨匠画家ビンセント・ファン・ゴッホ(Vincent Van Gogh)の自画像として長らく知られてきた1枚の肖像画が、実は弟テオ(Theo)の肖像だったことを「発見した」と、アムステルダム(Amsterdam)にあるファン・ゴッホ美術館(Van Gogh Museum)が21日発表した。

ゴッホは数多くの自画像を残しているが、「自画像ではなく弟のテオの肖像画」と判定されたのは、青い背景に濃紺のジャケットを着て、黄色の帽子をかぶった姿の1枚(写真)。

例えば、他の自画像のひげはもっと赤みがかっているのに対し、この絵の男性のひげはオークル系で、耳も他の自画像よりも丸く、目の色も異なる。こうした身体的特徴や服の着方などが、現存しているテオの写真と一致するという。

 一致すると言われているテオの写真を探したが、ネット上では探しきれなかった。上の画像がそのテオの肖像画だ。比較に、似たような構図のゴッホの肖像画を並べてみた。没後、ずっとゴッホの肖像画だと思われてきたが、何故こんなことに今頃気づいたのだろうかと不思議な気がした。が、真実にいつか出会うため、疑問を持ち始めたら究明する人が必ず現れるものだ。ロマンチストと言っては叱られるだろうか、でも、追い求めるその先の真実が本当に真実であるかどうかは誰にも分からない。昨日の「La mort du jeune Barra」を描いたジャック・ルイ・ダヴィッドが絵に込めたのは国家への愛なのか、または同性愛的な悲哀を少年に向けて表現したのかなど、どちらも正しいとも言えるし、どちらか一方が正しいとも言える。もしかすると未来にまた、違った解釈が説かれるかもしれない。本当に面白いものだと思った(詳細は極東ブログのこちら☞)。
 ゴッホのことを調べていて2007年8月5日の、次のような記事が目に付いた(参照)

ゴッホの作品の下に別の作品、ゴッホ美術館が発表
【8月5日 AFP】オランダの印象派画家ビンセント・ファン・ゴッホ(Vincent van Gogh)の作品「The Ravine」(1889)の下に、同年に描かれた別の絵画「Wild Vegetation」が隠されていた。アムステルダムのゴッホ美術館(Van Gogh Museum)が3日、明らかにした。

今回発見された絵を1889年6月に描いた4か月後に、ゴッホは同じキャンバスに現存する「The Ravine」を描いていたことが、エックス線撮影により明らかになった。(c)AFP

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 青の色使いが非常に美しい渓谷の絵だが、この下に絵が「隠されていた」と言うよりも、貧しい生活でキャンバスが買えず、使用済みのキャンバスを使ったと言うだけの話しではないのかと想像した。ゴッホに関してはいくらでも謎めいた話しが出来上がりやすいとは思った。

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ゴッホは殺されたのか
伝説の情報操作
小林 利延

 また、もう一つゴッホ情報を得た。「ゴッホは殺されたのか」伝説の情報操作 小林利延著が2008年に出版され、三浦天妙子氏による書評が日経ビジネスで3月に紹介されていた(参照)。サブタイトルからしてなんとなく下衆の勘ぐりをそそるではないか。もうこの際、ゴッホ先生は何を言われてもまな板の鯉でしかない。私も早速ポチした。
 また、ゴッホとテオの文通の話は有名であるが、実は私は一つもまともに読んだことはない。そこでついでと言っては何だが、小林秀雄の「ゴッホの手紙」上・中・下にここでやっと手を伸ばした。小林秀雄の「小林秀雄全作品集22」が読みたくて注文したばかりであるが、このところ頼んだ本が届かずに滞っている。

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ゴッホの手紙
小林秀雄作品集20
小林秀雄

 この夏は、これらの読書で過ごすというものかと思っている。ああ、極東ブログの今後の書評にも期待している。

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コメント

とても魅力的な記事でした。
また遊びにきます。
ありがとうございます♪(´ε` )

投稿: パスタのレシピ | 2011-06-25 00:43

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