2011-06-13

IMFが日本に増税を迫る理由について雑感

 率直に言って、こんなおかしな話が何故あるのかと昨年に続いてむっとしたのが読売の「日本は来年度、消費税7~8%に…IMFが提言」(読売)記事だった。この記事は10日なので、先週の金曜日とあってあまりホットな話題とも思えないが、IMFが何故こんな内政干渉のような非常識なことを提案するのかとむっときたので調べてみた。そもそも、被災、デフレ原発事故と事態の悪い状態での消費税増税は、経済効果は望めないのもある。記事では「異例」とあるが、昨年の今頃ももっと大きな数字で増税を提案してきていた記憶があったので、「恒例」とも言いたい。
 記事に入る前に抑えておきたい点として国際通貨基金(IMF)は一体何をする機関かだが、国際金融の見張り役であり救済機関として世界で最も影響力のある国連の専門機関と言われている(参照)。参加国からの出資金を財源に、必要に応じて参加国に資金運用をしている。
 読売記事に戻ると、「国際通貨基金(IMF)が日本への財政再建圧力を強めている。」と、リードにあるが、これでは日本がまるで借金返済の不履行でもしていて、お目付け役から睨まれているみたいじゃないのと骨髄反射した。何を隠そう今年2月、横浜で行われたG20で、アメリカについで第二位の出資国に決まったばかりだ。IMFに出資している側であって、利息を請求でいるというのなら話は分かるが、消費税増税とは驚いた。以下にその理由が述べられている。

IMFが8日発表した声明では、現在5%の消費税率を2012年度から7~8%に引き上げる案を示した。国際機関が日本の税制に対し、増税時期と内容まで詳しく特定して提言するのは異例だ。
巨額の財政赤字を膨らませてきた日本が、これまで国際的な信認を保ってきた背景には、世界で最低水準にある消費税率の「引き上げ余地の大きさ」がある。IMFの踏み込んだ提言の裏には、政治の指導力の欠如で税率引き上げの実現が遠のけば、日本国債の信用不安が急速に高まるなど、国際社会にとっても不測の事態に陥りかねないという強い危機感がある。
経済協力開発機構(OECD)も、4月の「対日経済審査報告書」で、「公的債務残高は国内総生産(GDP)比で200%といった未知の領域にまで急速に増加している」と懸念を表明。「消費税率は20%相当まで引き上げることが求められるかもしれない」と指摘した。
(2011年6月11日21時02分  読売新聞)

 この記事がおかしいのか、IMFがおかしいのか、堂々と経済的ナンセンスが書かれていると思う。僭越ながらちょっと指摘させてもらう。
 まず、冒頭でも書いたが、「異例」ではない。2010年7月、朝日記事の「日本の消費税15%をIMF提言 来年度から段階的に」でも伝えている。

【ワシントン=尾形聡彦】国際通貨基金(IMF)は14日、日本に対する2010年の年次審査で、来年度から消費税率を引き上げるべきだと提言した。ギリシャなど欧州の財政危機問題が、財政状態が飛び抜けて悪い日本へも及ぶ危険があるとみているためだ。ただ、消費増税の必要性を強く打ち出す姿勢は、日本の財務省の主張をなぞっているような側面も目立つ。
10年版の年次審査で、IMFは「最近の欧州の混乱は、政府債務リスクへの日本の脆弱(ぜいじゃく)性を高めている」と指摘した。世界の投資家の間で、主要国の財政の持続可能性への関心が高まるなか、債務残高が国内総生産の約2倍に達し、主要国の中で最悪の日本の財政状態への不信感が高まりかねないという危機感が背景にある。
 6月末のカナダでのG20サミットでは、先進国が2013年までに財政赤字を半減することを合意したなかで、日本だけは例外扱いとなった。日本の公的債務の95%が国内で保有されているという特殊性はあるとはいえ、日本の財政の悪さは際だっている。
 IMFは、11年度から消費税増税に着手する必要性を強調。現在5%の消費税を、10年程度かけて15%まで引き上げる案を軸に、14%~22%まで税率を上げる選択肢を示した。

 昨年は、今年の倍以上である14%~22%の税率引き上げを提案されている。べらぼうな数字で呆れたが、この尾形記者は「財務省の主張をなぞっているような側面も目立つ」とわざわざ際立たせているんじゃないかと気に入った。
 もう一点のナンセンスな部分については、先の読売記事が「日本国債の信用不安が急速に高まる」をまるで昨年の朝日記事がフォローするように「日本の公的債務の95%が国内で保有されているという特殊性」であることは、外国に迷惑をかけて国債が膨らんでいるわけではない。ギリシャやアイルランドなどの破綻とは内容が違う点だ。にもかかわらず、IMFは相も変わらず昨年と同じ理由で日本に増税しろと提案していることが見て取れる。
 もう一点難癖をつけると、先の読売記事は、財政赤字を膨らませてきた日本が信認を得てきたのは、消費税の引き上げ幅があるからだと変な理屈を言っている(太字部分)。が、普通に考えても、貸す側が借主への信用を言う時に何を指すかといえば、大きな資金超過や債務不履行の危険性があるかどうかだ。消費税率の高低をIMFが本当に言ったのだろうかと疑念を持った記事だ。もしかしたら記者の脚色ではないかと疑わしい。
 最後に、朝日の尾形記者が財務省に触れているが(太字部分)、調べてみると、IMFには日本人スタッフが40名ほどいるそうだ。2000人からのスタッフに僅か40名ではあるが、財務省の篠原尚之財務官の副専務理事の椅子に座っている。これは専務理事に続くポストだ。尾形記者の示唆にしたがって、官僚が怪しいので調べてみた。
 この篠原氏は、自民党政権当時の故中川元財務大臣に付き添って2009年2月、スペインで行われたG7に白川日銀総裁と共に同行した人物だ。彼がIMFの理事に抜擢されたのは2009年10月7日で、中川氏が変死した頃と時期が重なる。中川氏の朦朧会見時、向かって左側、中川大臣を挟んで白川氏の反対側に座っていた人物だ。亡くなった中川氏に忌服して画像は控えたが、この会見は、世界に日本の恥を晒したと非難されたのは言うまでもないが、両端の二人が中川氏の異常な状態に動じることなく、冷淡に傍観し放置したのは誰の目にも不自然に映ったと思う。問題は中川氏に向けられたが、中川下ろしを目論んでいた黒幕官僚ではないかと今頃気づいた次第だ。誤解なきよう書き添えるが官僚叩きをしているわけではない。官僚あっての日本と思う部分が多いので、ある意味感謝はしているが、やることが薄汚いと言いたい。
 さて、IMFが消費税増税を性懲りもなく言って来る背後の黒幕は篠原氏だとして、彼にも転機が訪れるのではないかという気がする。ここで強姦未遂でお縄となったストロスカーンIMF専務理事の後任人事と、副専務理事の選出が話題になっている。
 フランスのラガルド仏財務相が立候補しているそうだが、早くも彼女は票を取り付けようと親興国めぐりを始め、中国では、エコノミストでIMFの特任顧問を務める朱民を副専務理事に抜擢したらどうかなどという話しが浮上しているそうだ。憶測の話でどうなるか分からないことだが、Newsweek「IMFスキャンダルで中国に漁夫の利」で取り上げている(参照)。もしもこの話しがこのまま進むとすれば、はじき出されて当然なのは副専務理事の篠原氏ということになるのではないかと推測する。
 が、変な話、中国は為替操作の名人であるし、そんなと言っては失礼に当たるだろうかな中国をIMFのトップ3に座らせるかなぁという常識観も働く。

追記:
中川元財務大臣が亡くなった事を報じた記事☞「うゎ、中川さん」-finalventの日記

極東ブログでG7の背景にあった噂話☞「」(参照

 彼は今年2月14日、ローマ開催のG7財務大臣・中央銀行総裁会議終了後の記者会見で全世界に醜態を晒し、辞任となった。あの映像を見れば、このような人物に大国の財務を任せるわけにはいかないのは明白。辞任はしかたがないが、私はあの時、なぜ同席した人が機転を利かせなかったのかというのは多少疑問に思っていた。同席した日本銀行白川方明総裁や篠原尚之財務官にそれを求めるというものではないが、他にも中川氏の異常な事態を知っていた人はいただろうに。
 この話には陰謀論的なうわさ話があった。佯狂だというのである。リーマンショック以降の世界金融危機に際して日本に求められる無理難題(日本が巨額資金を提供する基金設立)をはねのける大芝居だというのだ。甲斐は死んでも、樅は残った。これでお家はご安泰。懐かしい昭和のテレビドラマを思い出した。が、与太話であろう。

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