2011-05-07

ウィキーリークスで公開された沖縄基地移転に関する鳩山発言について

 夢で、リークされた一昨年の鳩山発言に関して何故触れないのかと、降りてきたブログ仲間に叱られた。ひぇーと震え上がって目が覚めたとき、夢の続きで後悔の念を抱いている自分がいた。書く理由が見つからないのに何故後悔しているのか、その辺がリアルと夢の狭間でピントが合わないが、昨日のエントリーの補足的に書いておくことにした。
 ウィキリークスに公開された鳩山前首相の沖縄基地移転問題に関して、この発言の事実はないと否定する会見が5日にあった。NHKニュースからも聴いていたし、ネットでも各紙が取り上げていたことだったが、昨日のエントリーでは具体的には触れなかった(参照)。自分自身の中では終わってしまっている過去のことであるのと、その蒸し返しの意味が現在進行している問題に関係してくるわけでもないなら、あえて触れる必要はないと思っていた。が、この先何があるか分からない沖縄基地移転問題であるため、振り返る起点としてもここで出来る限りの情報を集めておくことにした。
 まず、発言内容について、東京新聞が以下のように伝えている(参照)。

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題をめぐり、鳩山由紀夫首相(当時)が2009年末、コペンハーゲンでクリントン米国務長官と会談した際、新たな移設先が見つからなければ、06年に米国と合意した同県名護市辺野古への移設案に立ち戻る意向を伝えていたとされることが、内部告発サイト「ウィキリークス」が5日までに公表した米公電で明らかになった。
 鳩山政権は当時、辺野古に代わる新たな移設先の検討作業に着手。鳩山氏は日本国内では、沖縄県外への移設も視野に06年の日米合意の修正に意欲を見せていたが、米側には逆の意向を示していたことになる。
在京米大使館から米国務省などに宛てた09年12月の機密公電によると、藪中三十二外務事務次官(当時)は同21日、ルース駐日米大使と昼食を共にした際、鳩山氏がクリントン氏に対し、新たな移設先が見つからなければ「日本政府は06年の日米合意に立ち戻る」と確認したと伝えていた
 別の機密公電によると、同9日には、前原誠司国土交通相(当時)がルース氏と会談。前原氏はその際、10年度予算や同関連法案が成立してしまえば、鳩山政権は辺野古移設案に反対する社民党や、国民新党との「連立を解消する用意がある」と告げていた
 これらの会談から約半年後の10年5月、日米両政府は普天間飛行場の移設先を辺野古崎地区とする日米共同声明を発表した。
 菅直人首相は、日本政府はこれらの公電の内容にコメントすべきでないと述べている。(共同)

 公電の原文は見ていないが、「新たな移設先が見つからなければ、06年に米国と合意した同県名護市辺野古への移設案に立ち戻る意向を伝えていた」と、「10年度予算や同関連法案が成立してしまえば、鳩山政権は辺野古移設案に反対する社民党や、国民新党との「連立を解消する用意がある」と告げていた」の部分が5日のNHKが報じた「辺野古移設 “米と約束”文書」(参照)で指摘している部分で、この記事の後に、その影響に関する懸念を以下のように伝えている(NHK)。

 アメリカ軍普天間基地の移設問題を巡って、当時、日本政府は、新たな移設先の本格的な検討に着手したばかりで、鳩山総理大臣は、地元の沖縄に対しては、県外を含む新たな移設先を検討すると説明していながら、アメリカに対しては従来の案に戻す可能性を伝えていたとする外交文書が明らかになったことで、沖縄などから反発の声が上がることが予想されます。そして昨日、これを否定する会見を行い、次のように話している。

 政府の内部文書などをインターネット上に掲載している「ウィキリークス」は、東京のアメリカ大使館が本国に送った公電だとして、おととし12月、当時の薮中外務次官がルース駐日大使に対して、「鳩山総理大臣は、クリントン国務長官と数日前に会談した際、普天間基地の新たな移設先が見つからなければ、名護市辺野古に建設する従来の案に戻すことを約束した」と述べたとする文書を公表しました。これについて、鳩山氏は、訪問先の北京で記者団に対し「少なくとも私はクリントン長官にそのような発言は全くしていない。薮中次官がそのような発言をしたかどうかは知らないが、もし発言したとしたら、間違った発言だ」と述べ、否定しました。そのうえで、鳩山氏は「沖縄の皆さんの思いを考えれば、とても辺野古にはできないと考えていたので、最低でも県外への移設を求めて努力してきた。それが実らなかったことは不徳の致すところだ」と述べました。

 さて、言った言わないのどちらが真実か、それを追い求めるというものか?はたと考えてしまった。
 アメリカ大使館のスタッフが米政府本部に報告した文書であるため、内容の信憑性は高いと思うが、なにぶんにも人の聞き伝えを文書にしたものであることは間違いない。現に、発言者である鳩山氏が無実無根のようなコメントも出しているため、嘘を書いているとまでは言わずとも、全てが真実とは言い切れなくなってしまっている。そのため、 「言わなかった」という事実を見つけるのは不可能で、これを辿っても無駄だ。ここでおそらく私も書く意味がないと判断したような気もするが、米政府の公電が正しいのではないかと言える現実はある。
 まず、辺野古案に戻すとクリントン氏に伝えた件だが、鳩山氏が認めているとおり「それが実らなかったことは不徳の致すところ」と、現実になっている。また、連立解消については、2009年12月3日、この日初めて社民党が自ら連立から離脱する考えを明らかにしている(Youtube)。鳩山氏が「連立を解消する用意がある」といわれたような実際の行為があったかどうか別として、社民党が連立から離脱したのは事実だ。鳩山氏が発言を否定しているこの二点は現実に起きているため、これがシナリオどおりではなくて何だろうと言いたい。嘘つき呼ばわりするのは個人の名誉を棄損することになるので言えないが、かなりそれに近いと言える。夢で背中を押す人がいたので書いたわけだが、いけしゃあしゃあと、白を切るとはこのことかと情けなく思った。どこかにトリックでもあるのか、また、鳩山さんの「否定」の立証も出来ないものかと考えてはみたが、先にも書いたとおり「言わなかった」ことの事実は存在しない。残るのは、言われた言葉に呼応して起きた事実であり、その事実が教えてくれることから探し出すほかない。
 鳩山発言に関して米公電の内容とは正反対であるため、その真相がイマイチすっきりしないことの無念さは残る。また、沖縄基地移転問題が暗礁に乗り上げている現実である今、鳩山政権の脆さというか襤褸(ぼろ)さは、前政権の自民党案よりも酷い結果を残している。疑念を抱きながら信頼関係を装うというという自分の中での矛盾は、今回の件からは払拭できなかった。

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