2011-05-22

オバマ氏の狙いについて-ネタニヤフ首相とオバマ氏の会談より

 中東和平問題に関するオバマ氏の考えがいまひとつ読めない。あの演説の狙いが見えない。昨日、NHKニュースやCNNニュースなどでもそれなりに取り上げていたが、アメリカの政治が読めるような内容ではなかった。期待はずれもいいところでがっかり。これは、アメリカ大統領の演説に私が期待を持ちすぎているのが原因なのだろうか。また、がっかりはそうかもしれないが、狙いがどこにあるのかいっこうに見えてこない。
 19日のオバマ氏の演説では、中東和平問題においてアメリカの原則的な立場の表明をした点と、実際は何もしないということが明らかになっただけだったため、イスラエルとの関係上、これだけでは済まされないのではないかと普通に思った。案の定、20日のオバマ氏とネタニヤフ首相との会談では、ネタニヤフ氏が激怒した形だった。オバマ氏の演説の文脈をそのまま読めば、国際社会のスタンダードである1967年の国境(議決242号)を遵守する考えである。これは、中立的な立場を取ったと見たが、パレスチナ国家にとっては現在の居住を認めることであり、イスラエルにとっては国境から撤退することを意味している。如何にネタニヤフ氏が激怒しても、国際社会のスタンダードに歩み寄ってこそ中東和平でありイスラエルの国益でもあると思う。これを承服できない理由がイスラエルにあるのもわかるが、であればアメリカとの関係上、何らかの交換条件なり密約なりがあってもよさそうなものだ。それを会談に期待した私は、浅墓だったのだろうか。「うん、そう」と誰かに言われそう。
 いろいろ憶測することはあるが、こうなってしまう原因は、演説でのオバマ氏の狙いが分からないことにあると思う。何が狙いだったのだろうか。日本の各紙社説など当たってみたが、どこも現実離れしたことばかりで話にならなかった(参照)。
 ただ、産経の大内清記者(カイロ)は、その狙いを模索しているようだ(参照)。

【カイロ=大内清】イスラエルのネタニヤフ首相が20日、ヨルダン川西岸からの原則撤退を求めるオバマ米大統領の提案を一蹴したことで、パレスチナ側がちらつかせる9月の国連総会での「国家承認」を同提案で思いとどまらせようという米国の狙いは、裏目に出る可能性が強まっている。

米国が国連での国家承認に難色を示すのは、総会に先立ち、安全保障理事会でこの問題を取り上げざるを得ないためだ。米国がここで拒否権を行使すれば、パレスチナ国家の樹立そのものに反対していると受け取られ、アラブ諸国との関係が悪化しかねない。
オバマ氏の19日の中東政策演説には、そうした状況に追い込まれる前に「67年境界線」案を軸に和平交渉を再開させ、自らの主導権を発揮したいとの思惑があったとみられる。

 アメリカが拒否権を行使する可能性の理由は明記されてないが、拒否権を使わざるを得ないのがアメリカのダブスタだ。アラブ諸国の肩を持てば、イスラエルの唯一の同盟国としてアメリカが中東での立場を無くし、イスラエルがアラブから袋叩きに会う前に暴れるかもしれない。というのは妄想としても、拒否権を使うのは目に見えている。仮に使わないとすると、1967国境を支持する表明上パレスチナ国家を認める方に賛成票を投じることになると思う。すると、イスラエルとは決裂する羽目になる。いずれもはっきりさせたくないのがアメリカの立場であると思う。
 ここで産経はオバマ氏の善意として「67年境界を軸に和平交渉を再開させ、自らの主導権を発揮したいとの思惑」と見ているようだが、私は、オバマ氏の偽善として見た。昨日、「アメリカは在米ユダヤロビーの事もあり、もしかすると拒否権行使ともなる。すると、アラブから反発を食らってしまうことは想定内のことである。つまり、アラブからの敵対視を軽減するため、1967年国境問題をちょい出ししたとも言える。」(参照)と書いたが、善意に思い至らない理由は、ユダヤロビーがアメリカ経済の主体構造を作っている背景を崩すはずがないという考えが一つ。また、オバマ氏自身、あの演説だけでは和平交渉が具体的に再開するとは思っていないはずだだからだ。これは、中東和平問題が簡単ではなかったという歴史を振り返れば分かる。また、オバマ氏は新しい案を提案したのではなく、1967年から言われ続けてきたことを引き継ぐ考えを表明したに過ぎない。私は、それが、アラブ諸国を認めるというオバマ氏のポーズではなかったかと憶測した。国連総会でアラブ諸国から大きな非難を受けないための策になるからだ。で、それは何のため?と、疑問はさらに深まる。
 大内記者は最後にこう結んでいる。

しかし、西岸への入植を推進する右派のネタニヤフ氏にとって提案は容認し難く、今回の拒絶でオバマ氏との関係が決定的に悪化し、交渉再開に向けた動きは袋小路に陥った。パレスチナ側としては、当面は国連承認を目指すという“脅しカード”を振りかざし、米国とイスラエルからの譲歩を狙うことになる。

 つまり、イスラエル外交に失敗したと締め括っている。そこまで言えるかな?とても疑問だ。ネタニヤフ氏の怒りがオバマ氏に向けられたとしても、アメリカとの関係がおかしくなるとは思えない。その理由に、アメリカは旧ソ連が主で、東欧のユダヤ人の移民によって経済発展を遂げた言わば、ユダヤ人あっての今日だからとしか言えない。そのユダヤ人とのつながりをオバマ氏が切るはずも無い。が、この観方は今は通用しないのだろうか、という疑問もある。また、逆にそれを利用する手も無くは無いが、そこに手を打っているような動きはないようだ。
 和平交渉が「袋小路に陥った」というのはなんとなく分かる。オバマ氏も手がつけられないのではないかとしか思いようがないが、どちらにも着けない窮地として袋小路に入りたかったとも言える。
 さて、また今日も未消化のままになってしまった。

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