福島第一原発1号炉から想定されていることについて
福島第一原発の冷却作業が続く中、ネットのニュースはどんどん更新される。その速さを感じることと同時に事態が深刻化しているわけではないと思うが、なんとも気持ちが落ち着かない。座ってテレビを見ながら団欒したのはいつだったかと、思い出せないくらい目まぐるしい日が続いている。
その代わりに、ネットの動画で著名人や専門家の対談などの収録番組を見るようになった。これもネット環境が整ったお陰だが、見逃せない情報が満載で、録画は、気になれば何度でも繰り返し見ることができるのでありがたい。こんなことはとっくの昔に知っていると言う方も多いと思うが、私の年代の、特に女性は、ネットに疎いもので、割と知らないことが多い。どちらかと言うと使い方が単調で、用途が狭いまま安心している人が多いと思う。
今日は、地震関係の情報をビデオでこんな風に得ることができるのだという意味で紹介することにした。しかも、昨日ここで取り上げた1号機の放射線量の異常増加(参照)に関してから、どのようなことが今後想定されるか、考えを知ることができる。また、地震直後に空焚き状態となり、翌日水素爆発を起こしたことも知らなかった私たちが、今後の問題として知っておきたいことだと感じたからだ。
インタビューの相手は、京都大学原子炉実験所の小出裕章助教の「福島第一原発1号機の再臨界の可能性を懸念」について、氏の意見を電話で聞くという番組である。
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小出 裕章(こいで ・ひろあき)
京都大学原子炉実験所助教。1949年東京都生まれ。72年東北大学工学部原子核工学卒業。74年東北大学学研究科原子核工学科修了。74年から現職。伊方原発訴訟住民側証人。著書に『放射能汚染の現実を超えて』、『隠される原子力 核の真実』、共著に『原子力と共存できるか』など。
原発に対する考え方の点で、欧米は、最悪の事態を想定して危機管理しているということに対して、日本は最悪の事態を想定しない(ないと信じている)。このことを知ったのは、プルサーマル公開討論会で(参照)、パネラーの東京大学大学院 大橋教授の話の中の「ラスムッセン報告」の解説からだった。
東電は、地震後、1号機で何が起こったか大体の予想はついていたと思うが、そのご報じられることもなく、後からネット情報アメリカの具体的な指摘には、想像以上のものを感じた。小出氏の話は脅しではなく、その道の識者の一考えである。ただこのような意見を生の声で聞くことは少ないと感じた。最悪の事態を想定した上で、できうる限りの退避策を講じるのが身の安全確保につながると思う。政府は私たちに安全、安心をまずアピールするが、現在海に捨てている汚染水にしても、安全であるはずがない。
昨日、福島第二原発は、新たな安全規定の変更を申請したとあった(朝日)。
日本原子力発電は8日、東海村の東海第二原子力発電所が津波ですべての電源を失った時に備え、新たな安全対策を盛り込んだ保安規定の変更認可申請を経済産業相に提出した。
東海第二原発は今回の震災で外部電源が止まり、津波で3台ある非常用発電機のうち1台も停止した。現在は外部電源が回復し、原子炉は冷温停止状態になっている。
新たな保安規定は、すべての電源が失われ、原子炉の冷却できなくなった福島第一原発のような事態を想定。移動式の非常用発電機やポンプ、ホースの設置、要員配置などを盛り込んだ。
福島第一原発事故を受け、経産省原子力安全・保安院が、各事業者に安全対策の実施を指示していた。
これを受けて、今まで一体何を想定して規定値を作っていたのか疑問が残る。また、最悪の事態を想定するのであれば福島第一原発ではなく、先の小出氏の話にもあるように、「チェルノブイリ」の事態を想定するべきではないかと思う。
震災後の1号炉の状態について、各紙がどのように報じたかを追っている極東ブログ「福島第一原発1号炉は地震当日に空焚きが想定される状態になっていた」(参照)が、詳しい。
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