2011-04-19

復興再建と増税について雑感

 昨日のエントリーで引用した東電の「事故の収束に向けた道筋」の工程表を改めて眺めてみて、紙一枚にまとめられているせいか、簡単な作業のような印象を受けた(参照)が、内容は、とんでもない工程だと思った。今まで原発事故をそれなりに取り上げてきてみて、作業がどれ程困難極まりないかは多少なりとも理解できているつもりだ。それを少なく見積もっても、東電の工程表のように、本当に作業が期間内で進むとは思えなかった。
 その大きな理由と思われるのは、東電がみている「収束」とはど言う状態に原発が落ち着くことか、その前提がそもそも違うとは思った。率直に言うと、「道筋」は「廃炉計画書」ではないのが一点と、各炉ごとに作業が整理されていないため、平面的にステップ1や2の各炉ごとの進行できるようにも解釈できように見える点だ。当然、時間のかかる炉もあるり、例えば、燃料棒の破損状況や、放射性物質が水や大気中に放出されている状況がみな違う点などが挙がる。
 中でも一番手を焼いてきたのが2号機だと思う。高濃度の大量の汚染水がどこから漏れ出し、どこを伝わって染み出しているのか特定すらできていない状況で、人が近づくことができない。因みに、18日、遠隔操作ロボットによる放射線量が計測されたようだ。これによると、1・3号機では、それぞれ最高で毎時49ミリ・シーベルト、同57ミリ・シーベルトと、人間の作業が困難になるほどの高い放射線量を測定したとあり、2号機の汚染水に関しては、これを大きく上回る放射線量だとしている(2011年4月18日21時53分  読売新聞)。
 また、東電の計画の密閉作業は3ヶ月となっているが、読売発表の数字から、作業にどう取り掛かるのかでさえ未定だ。素人が言うのもどうよな話だが、工程表があまりにも大雑把で、このまま計画の通りに作業を進めることが優先され、安全確保がおろそかになるのが一番の心配となった。
 東電が出している「ロードマップ」は、「中間的課題」までしか出ておらず、廃炉までではない。何故か理由は分からないが、二つの嫌な理由が浮かんだ。一つは昨日も触れたように、住民への気休めとしてステップ1と2を進行させながら時間稼ぎをし、デッドラインが守れない時点で東電幹部が辞任して住民に謝罪するというシナリオ。
 二つ目は、復興計画のための財源確保に緊急性を持たせ、国民に増税を余儀なく認めさせるためだ。嗚呼、こんな事を勘ぐる嫌なヤツだな私って、と嘆かわしい。が、何のことはない、そう思っていた矢先に昨夜のニュースで増税計画が明るみに出たではないか。それはNHKニュースだったが、念のため他のメディアにも当たってみた。殆ど内容は変わらないため、NHKを引用することにした(参照)。

 民主党は、役員会で、東日本大震災からの本格的な復興に向けた第2次補正予算案の編成にあたっては、歳出のさらなる見直しなどに加えて、復興目的の国債の発行で財源を確保し、その償還のための増税を含めて与野党で結論を得る方針を確認しました。
 それによりますと、第2次補正予算案の編成にあたっては、歳出のさらなる見直しが必要だとしており、現在月額1万3000円の子ども手当については、支給額や所得制限の導入など、制度の在り方も含め、与野党で早急に議論するとしています。また、第2次以降の補正予算案の財源については、復興目的の国債「復興再生債」を発行して従来の国債とは区別して管理し、償還の財源を担保するとしています。そして、償還の具体的な財源については、増税を含めて与野党間で第2次補正予算案の編成までに結論を得るとしています。一方、第1次補正予算案の財源として基礎年金の国の負担分を充てることに自民党などが反発していることを踏まえ、2分の1という国庫負担の割合は維持するとしたうえで、必要な財源は社会保障と税の一体改革の中で、与野党で協議したいとしています。民主党は、こうした方針を自民党など野党側に提案して協議を行いたいとしており、岡田幹事長は、記者会見で「既存の歳出の削減だけでは第2次補正予算案以降は対応できず、『復興再生債』を発行しなければならない。その償還のための財源は税以外になく、どういった税で、いつ行うかは、これからの議論だ」と述べました。

 既にマニフェストなどは崩壊している上、子ども手当てがなくなることも覚悟だとして、「復興再生債」を発行することには勿論異議はない。では一体いくらぐらいを復興資金として必要とし、その財源はどこからひねり出すのだろうかと探してみたところ、時事通信が具体的な数字に言及して伝えている(参照2011/04/19-00:13)。

 東日本大震災の復興財源確保のため、消費税を期間限定で増税する案が政府内で浮上していることが18日、 分かった。現在5%の税率を3年程度、3%引き上げる案を中心に検討されており、復興の本格化に伴って発行する国債の償還財源に充てる。複数の政府・民主党関係者が明らかにした。
 仮設住宅建設やがれき撤去など、当面の復旧対策が中心の2011年度第1次補正予算案の財源として、政府・民主党は、国債の発行は見送る。しかし、政府・民主党内では、復興には最低でも10兆円超の予算措置が必要との見方が支配的で、2次補正以降では財源の柱として「復興再生債」(仮称)を発行する方針だ。
 財源をめぐっては、政府の復興構想会議議長の五百旗頭真防衛大学校長が14日の初会合で「震災復興税」を提唱したこともあり、民主党内では「増税で対応せざるを得ない」(幹部)との声が強まっている。消費税を3%引き上げれば、年間7.5兆円の財源が見込まれる。

 当初、民主党は、復興には4兆円だと言っていたが、いつの間にか10兆円となっている。これには異議はないが、どのような根拠で金額が倍以上になったのかは全く分からない。
 また、財源は消費税からだと、とんでもないことを言い出している。このタイミングで増税を言われた国民が反対すれば、非国民のような目で見られるのジャマイカ。なんだか、それを恐れて反対できなくなるような気風が醸成されるのではないだろうか、と妄想した。被災者も大変だが、そうでなくても、これ以上の負担はキツイ。また、感情論ではなく、経済政策として、ここでの増税は全く理に適わない。
 今回の災害がどれ程の規模かは言うまでもないが、二次災害もかなり言われている。つまり、実際に被災していなくとも、その影響は国内にじわじわと押してきている。ますます先行きに不安を抱く中、直ぐに財布に響いてくる消費税を増税するのは承服しかねる。消費税に白羽の矢がたつのは、増税しやすいからという理由はあると思うが、政治家は、財源確保は増税が正しいと信じているからだろうか。菅さんも増税を言って党内からもバッシングされたが、今なら良いどころではなく、最悪のタイミングだと思う。増税の是非は雰囲気やムードではないと思うが、論旨が見えないため、その辺の足りなさを感じる。

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 高橋洋一信者ではなないが、高橋氏の復興予算40兆円をどう作るのかという考えを、阪神大震災の「逐次投入」の失敗例をとって解説されていたのを読み直し(参照)、これだ、と思った。この「逐次投入」というのは、簡単に言えば、小出しではダメだという意味だ。阪神の震災復興費が小出しで、それが失敗だったと私は認識していないため比較のしようもないのだが、今回は阪神震災よりも被害は大きいのは承知している。
 高橋氏は、このような莫大な費用を直ぐに捻出するために消費税などの増税しやすいもので補うと、経済が停滞し、被災で購買意欲のなくなったムードから税収は見込めないという前提を上げている。日本は、長いデフレの状態であるため、この話は納得できたし、さらに拍車をかけるという根拠もよく分かった。だからこそ、日銀引き受けの国債を40兆円くらい積んで、100年掛けて返せばよいという話だ。また、「あらためていう。「震災増税」で日本は二度死ぬ本当の国民負担は増税ではない」(参照)では、この期に及んで増税ムードを作り始めている閣僚の名前を挙げながら、あのふっくら一見、温厚そうな高橋氏がダメだダメだと言わんばかりに半鐘を連打している。今回は、画像があったので顔出しした。
 先にも挙げたように、東電の工程表の通りに廃炉計画が進むはずはなく長期化するだろうし、相当な時間と労力が必要と思われる。それに伴ってこの先何年も消費税で増税された時、私には体力が残っているだろうかと不安になった。

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コメント

目に見えることは人間の力で改善できるが、目に見えないことを解決しなければ、それ以上の惨劇を繰返さなければならなくなる。
心は、人間の努力だけでは改善できない。
私たちが、今、しなければいけないことは、『救世主スバル元首様』に、救いを求めることだ。
  もう、時間がない!!
http://www.kyuseishu.com/tanuma-tu-koku.html
http://miracle1.iza.ne.jp/blog/entry/2237566/

投稿: hikaru | 2011-04-19 18:17

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