2011-04-11

フランス・アレバ社のスライドから同社のリンクとブラウン博士の名前が削除されたこと

 原発事故後、その状況を把握して行く中で、とにかく自分自身の無知を思い知った。が、反面、ここでブログを書くことで随分知ることもできた。その程度の私が、今から書こうと思っていることがどれ程僭越極まりないことかと思いつつも、情報整理という建前のもとにやはり書かずにはいられない。
 それは、昨日の極東ブログ「アレバ作成と見られる資料を眺める」(参照)が、ショッキングだったからだ。率直に言うと、フランスの原発開発にも隠蔽体質的なものを感じたからだ。こんなことを前面に書く自分自身を薄汚いと嫌悪する気持ちがあるが、疑心暗鬼の目で常に見ているわけでもない。単純に、素直に記事を読み進めて見えてきただけだ。しかも、記事内で引用されている4月2日付けニューヨークタイムズ(参照)を最後まで読めば、ネットで一度は公開されていたアレバ社の図式や解説がいつの間にか消され、そのデータに関してノーコメントだと後で言われれば、それは、よほど都合が悪いからに決まっているという結論に至っただけだ。消されたデータや参照先のリンクは、3月21日、米スタンフォード大学が今回の福島第1原発事故と原子力発電の将来について考えるパネルディスカッションを催した際の資料だった。
 先のニューヨークタイムズ記事の展開は、フランスのエネルギー会社(アレバのこと)を取り上げて、如何に研究が進んでいるかを紹介している。特に、ここでも再三取り上げているとおり、私も1号機のメルトダウンには関心がある。後からおっつけ情報のように出てくる詳細については、原発事故当時の検証に役立つが、驚きは後からじんわりと来ている。日本に対しても、こういった研究を大いに参考にするように親切なアドバイスの意味も込められている気がした。が、極東ブログで指摘している通り、記事の2ページ目の終盤部分にあるとおり、3月のプレゼンテーション後に、公開されていた画像やアレバへの参照が全て削除されている、と伝えている。
 ここで間違ってはいけないと思い、原文を読み直し、極東ブログが示す参照リンクのWikispooks(参照)へ飛び、PDFファイルを開けてみた。見た目が美しい。五つのセクションで福島第一原発事故の詳細を説明するものだ。各ページの下部のページを記す部分に 「The Fukushima Daiichi Inciden-Dr. Matthias Braun - 01 April 2011」とあり、文責を示している。マティアス・ブラウン博士による資料だということが分かる。これが、アレバのサイトになく、Wikispooksで見つかったというものだ。
 内容については、先にアメリカのフェアウインド・アソシエイツ顧問で沸騰水型軽水炉を監督して40年の経験を持つアーニー・ガンダーソン氏の見解(参照)にもあったように、1号機がメルトダウンを起こした後、どのように爆発を起こしたのかが大変鮮明に分かりやすく解説されている。但し、燃料棒が解けて圧力容器の底に溜まっているとしているガンダーソン氏の説とは異なり、メルトダウンは燃料棒の束の内側部分に起こるとして、外側部分が未だに残っていることが再臨界の可能性を示唆している。
 このように、大変説得力ある資料であるがために、だからアレバにとっては営業的にマズイのだろう、と最初は思った。ここで、アレバって何?と初めて聞く人もいるかと思うので、会社概要を記しておくことにする(参照)。

Areva(アレバ)はフランスに本社を置く世界最大の原子力企業。原子力の燃料であるウラン生産世界3位。日本を含め世界各国で事業展開。ウランの生産、濃縮から原子力燃料加工、販売、再処理まで原子力事業全般を手がけている。
2007年6月に南アフリカ共和国のウラン生産企業UraMin(ウラミン)を買収。原子力需要の増加を踏まえてウラン生産能力を倍増させる。また、日本の三菱重工と共同で中規模原子力発電プラントの開発に携わっている(2006年)。
メイン事業であるウラン生産を含めた原子力事業の他、1980年からは金鉱山から金の生産も行っている。Arevaの鉱山部門は子会社であるAreva NC(旧Cogema)が担っている。

 ウラン製造がメインらしい。3月31日には都内で記者会見し、事故の影響について、「福島の事故には多くの人がショックを受け、大きな連帯感を持っている。反原発の動きがあるのも事実。まずは原発の状況を安定させ、この経験を将来に生かす」という、営業トークであった(参照)。

 福島第1原発で使われていたウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料はコジェマ(アレバの前身)で製造された。日本は使用済み核燃料からプルトニウムを取り出して再び燃料に加工する技術を持っていないため、稼働を待つ六ケ所村再処理工場もアレバの技術支援で建設されたものだ(参照)。

 アレバの技術は、既に日本以上のものがあるように感じられる。
 この会社が作成した先のプレゼンテーション用の資料をネット上に一度は公開し、それが削除された後Wikispooksに残り、そこからブログなどを介してこのように拡散している。ここで私がその一派として何を言うかと問われるなら、アレバが情報を削除し、同社の広報担当者がノーコメントだというのは隠蔽だということだ。そこで、これは、何を隠蔽するかが問題になってくる。
 事故事態は、営業的な面では不利になる要素だと当初は思ったが、プルトニウムを扱う会社が、危険を逆手にとってより安全な技術力を売り物にしない手はないだろう。福島原発事故は、同社にとってはよい営業資料でもあるし、記者会見でもそう自負している通りだと思う。
 だとしたら、残る隠蔽理由は、福島第一原発事故後のケアーはアレバの技術力ではどうにもならないということだろうか。匙を投げてるということだろうか。

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