2011-04-02

原発政策に加えたい項目

 一昨日、フランスのサルコジ大統領が来日した際の福島原発事故復興支援に関する話の中で、遠隔操作のできるロボットの話が興味深かった。日本がロボット産業を推進してきていることや、昭和時代、時折テレビで紹介されているロボットを見ては、「鉄人28号」を思うことがあった。漫画家の想像の世界が現実化することにとてもわくわくしていたのを思い出していた。

Tky201103310643

 水爆によって福島第一原発設備に近づけないと報じていたとき、内部で一体何が起きているのか、内部の状態が予測不可能だと報じられ、東電の作業の進み具合にもどかしさを感じていました。サルコジさんのロボット提供の話を今回の来日で知り、これをきっかけに、これまでの作業で何故ロボットを使わなかったのか気になった。現実的な可能性として、ロボットの運用は検討されたのかどうなのか、情報を拾ってみることにした。
 産経記事によると、日本は欧米各国の支援を得て、原子力災害に対応できるロボットが投入されているにもかかわらず、十分に活用できていないと報じている(参照)。

事故を想定したロボット運用のノウハウが日本にないためで、専門家からは、政府や東電が「原子力災害に備えたロボット政策を怠ったつけ」との批判が上がっている。
災害用ロボットの権威である東北大の田所諭教授は「原子力災害用に開発されたロボットは人に代わって危険な現場で作業をこなす能力がある」と指摘する。
 活用を妨げているのが、ロボットの運用の問題だ。原子力安全技術センターは「操作方法を東電に教え、使い方も東電の判断に委ねている」とするが、東電の受け入れ態勢もさることながら、東電任せで、慣れない事故現場での作業効率が十分かは疑問だ。
3月28日付米紙ワシントン・ポストは、世界的にみれば原子力災害に対応したロボットを配備する国は少数だと紹介した。米国でも、1979年のスリーマイル島原発事故後に産学連携で開発が進んだが、経営難で行き詰まったという。
それでも、田所教授は「電力会社や当局が、ドイツやフランスのように原子力災害に備えたロボット開発を推進してこなかったことは問題だ」と指摘する。

 記事の文脈は、なんとなく東電と政府叩きのようなものを感じるが、運用上の問題と指摘されているロボット操作というのは、ちょっと教えてもらったというだけで直ぐに操作できるものなのだろうか。変な話、ファミコンゲームを手元で操作するようなものを持って軍用ロボットを遠隔操作している場面を見た記憶があるが、この記事で指摘しているように、東電で使いこなせないことが運用の妨げになっているのだろうか。
 では、今回の事故でまったく運用されていないのかとみると、朝日記事に、アメリカのハイテク企業が多数名乗りを上げているとする中、日本政府が積極的に公募しているようなニュアンスで報じている。(朝日)。

 「日本政府が世界にロボット、無人機を求めています」。世界の注目が「フクシマ」に集まっていた3月22日、米バージニア州にある国際無人機協会(AUVSI)のホームページに会員企業向けの案内が載った。
その内容というのは、
 国際無人機協会によると日本側が求めているのは、(1)運搬用ロボット、(2)原発の深部に入り込んで破損状況など詳細データを収集できる小型ロボット、(3)放射能汚染区域にも物資や機器を運べる、遠隔操作型の無人ヘリコプターやトラック――の3点だった。

 この記事を疑うわけではないが、いや疑っているが、今回ロボットが運用されたという話は聞いた記憶がない。記憶にあるのは、米軍無人偵察機グローバルホークが福島第一原発の事故現場を飛行し、その映像の公開を巡って賛否両論あったという話だ。結局、先月25日、正確な情報の開示を先すべきだとの判断に傾き公開されたが、この時点では、日本が画像を検証できない事が理由で公開するまで時間がかかったと報じられた。
 同記事では、日本も現地に一台派遣していると報じている。ホンマかいな。

放射線計測器やカメラなどを積んだ「防災モニタリングロボット」だ。原子力安全技術センターが1億円弱をかけ、2000年に開発した。
これまで防災訓練で使われていたが、「実戦」は初めて。地震発生から数日後に東電側に引き渡された。ただ「使用状況に関する情報は入っていない」(同センター)という。

 やっぱり。
 運用されたていれば先のグローバルホークスの比ではない画像が公開されていたに違いない。
 では、何故運用されていないのか、問題はそこだ。記事にはこうある。

「ロボット先進国」の日本では、原子力施設の事故に対応する専用のロボットも開発してきた。
同センターのほかに、旧日本原子力研究所(現・日本原子力研究開発機構)も、99年に茨城県東海村のJCOで起きた臨界事故の後、放射性物資で汚染された場所の状況を把握することなどができるロボット5台を開発した。
だが、福島には派遣されていない。今はもう動かないからだ。予算がつかなくなり、維持管理ができなくなったためという。(小宮山亮磨)

 嗚呼、「それ、必要ですか」と、連日金切り声を上げていた画像が目に浮かびますが、事業仕分けで削られたのでしょうか。探してみると、ありました。
昨年10月29日、事業仕分け三日目(参照)に、「A-13: エネルギー対策特別会計の電源立地対策費」では、以下の項目で検討されている。

(1)電源立地地域対策交付金(うち(独)日本原子力研究開発機構が設置する原子力発電共用施設地域に係る交付金)
(2)電源立地等推進対策交付金(うち原子力・エネルギー教育支援事業交付金)
(3)原子力施設等防災対策等委託費(うち環境放射能水準調査等委託費)
(4)原子力施設等防災対策等委託費(うち防災訓練実施調査)

11月9日、結果概要(参照)で、

「10~20%を目途に全体として予算の圧縮を図る」(電源立地地域対策交付金については、経済産業省所管分も含め同様に精査)

 とあり、これが該当していると思われる。因みに、「電源立地地域対策交付金」について、経済産業省自然エネルギー庁に詳細説明がある(参照)。
 昨年の事業仕分けが今回のロボット運用に支障をきたしたとは思わないが、多額の費用を投じて開発されたロボットを眠らせてしまっているという現実が今回の運用に結びつかなかったとしたら、政府の片手落ちではないだろうか。
 機械的なことは素人にはよく分からないが、被爆の危険にさらされながら毎日作業をしている人のことを思うと、万が一の時に備える事は無駄使いとは思えなくなる。
  災害時の危機管理に最悪のシナリオを想定した場合、「予算」自体がその管理の中の重大要素だと思えた。

 ここまでの話は、政府が開発事業ありきとしている場合の矛盾した予算削減の実態の与太話だが、では、国家予算が現実にないという実情に沿った与太話をすると、そもそも税金で国立大学を維持することが矛盾してくる。国に、何のために優秀な頭脳を育てるのかを問わなくてはならなくなる上、今後、開発事業に優秀な頭脳が必要とされなくなれば、海外での活躍が選択肢に入ってくる。今回のように、ロボット開発や技術向上のための予算を削った上、「刷新」の字に相応しく新たな方策を立てることもないのであれば、急場では海外の支援なり技術力に頼るしかなくなる。その両方をしなかったのは政策が悪い以外のなんでもないと思う。
 菅さんの力強い会見を昨日聞き、ほっとしたというか言葉を信頼してお任せしようと思えたが、日本はこれから開発事業をどう展開するのか、またはしないのか展望を開いてもらいたいと思った。これからの子ども達が将来を考える時、どこを目指すのか、それが見えるようにしていただきたい。「日本人に生まれてよかったといわれるような国を目指す」と、そう言われた言葉が残っている。

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