2011-04-16

原子力安全調査専門委員会がまとめた原子炉の調査結果

 日本原子力学会の原子力安全調査専門委員会がまとめた原子炉の調査結果について14日、読売が報じた(2011年4月14日22時44分  読売新聞)。

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 3基は核燃料の一部溶融が指摘されているが、専門委は「溶融した燃料は細かい粒子状になり、圧力容器の下部にたまって冷えている」との見解を示した。
 専門委では、東電や経済産業省原子力安全・保安院などが公表したデータをもとに、原子炉の状態を分析した。
 それによると、圧力容器内の燃料棒は、3号機では冷却水で冠水しているが、1、2号機は一部が露出している。1~3号機の燃料棒はいずれも損傷し、一部が溶け落ちている。溶融した核燃料は、冷却水と接触して数ミリ以下の細かい粒子に崩れ、燃料棒の支持板や圧力容器下部に冷えて積もっていると推定している。これは、圧力容器下部の水温が低いこととも合致している。沢田隆・原子力学会副会長は「外部に出た汚染水にも、粒子状の溶融燃料が混じっていると思われる」と説明した。

Madeinaviary

 この記事をTwitterでクリップした後、再度、記事内に付記されている画像の拡大ページのリンク先がTwitterで流れた。右がその画像だが、原子炉内の燃料棒が1号機は70%以上、2と3号機は30%程度が「一部破損」ということからイメージしてみた。
 この破損状況については、かなり前にも報じられていたし、その点で驚くことはなかった。それでも、イメージ画像の下部に粒粒状の塊になって積み重なっている部分は、1号機では70%で、上部に残っている燃料棒の30%は殆ど「棒」という形を成していない無残な姿であるに違いないと想像した時、これまで持っていた私の「破損」のイメージが崩れ、「崩壊」だとはっきり思った。どこまでもイメージはイメージに過ぎず、正確なものではないにしろ、相当なショックを受けた。言葉にしてTwitterで発することができなかった。これは、我ながらよい対応だったと思った(その後がいけなかったが)。
 アメリカのフェアウインド・アソシエイツ顧問で、沸騰水型軽水炉を監督して40年の経験を持つアーニー・ガンダーソン氏の見解を最初に紹介されていた極東ブログ記事により(参照)、私はこの状態を早くから知っていたが、昨日のニュースで初め知った人も多くいるだろう。また、まだこの事実を知らない人も多くいるのではないだろうか。この状態は、勿論、多くの人が知っておくべきだと思うので、ここにも貼り付けることにした。
 夕方挙がった極東ブログ「原子力安全調査専門委員会が福島第一原発原子炉状況をまとめた」(参照)では、いくつか疑問を投げかけている。
 気がかりとしている1号機と2号機について、私も気になったが、きっと誰しも不可思議な思いが残るのではないだろうか。データが限定的だから、という理由もその分析を困難なものにしているようだ。確かに、3号機のように冠水しない不思議さが残る。というか、不気味だ。
 現時点ではどうなのかが気になり、エントリーが挙がってからわずかな時間しか経っていないが、「水位」に言及して検索を掛けてみたところ、日経の15日の最終記事で現在の状態を次のようにまとめている(日経2011/4/15 23:32)。

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 1号機は温度制御が難航し、圧力容器内の燃料棒の約7割が損傷している。燃料損傷で発生した水素による水素爆発が起きないよう、7日未明から圧力容器を覆う格納容器に窒素注入を続けている。ただ内部の圧力は想定通りには上がっていない。容器から空気が抜け出ていると考えられ、放射性物質が外に出る懸念がある。
 2号機は格納容器の一部である圧力抑制室が破損しており、ここから放射性物質が出続けている可能性がある。タービン建屋地下や坑道(トレンチ)にたまった汚染水の濃度も2号機付近が最も高く、除去作業は同機を優先している。
 3号機は3月14日に水素爆発が起きて建屋が壊れたが、その後は炉内の温度は比較的安定していた。ただ4月14日には、圧力容器上部の温度が数十度上昇しているとの計測結果が得られた。東電などは計器の異常と説明するが、注意が必要だ。
 4号機は使用済み核燃料プールに大量の燃料がある。水位が一時低下して燃料が過熱、一部が損傷したとみられる。12日に採水して分析したところ水温は90度もあり放射線量が高いことが判明。水位も下がっていたため、急きょ水を約200トン注入した。プールの水温や放射線量の新たな計測はしておらず、冷却できたかどうかは不明という。核燃料の損傷が進めば、放射性物質の放出が増える懸念がある。

 注水した水が漏れ出すことと、汚染された空気がどこからか漏れ出すかの点のようだ。このことから、一体、どの程度のメルトダウンが起きているのだろうかと知りたくなって調べてみると、フォーリン・アフェアーズ リポートの4月号で、物理学者であるビクター・ジリンスキー氏(元米原子力規制委員会委員長)が次のように述べている(参照)。

   どの程度のメルトダウンが起きているかは、原子炉内の放射線量が原子炉を開けても問題がない程度まで放射性崩壊が進んだ数年後に、実際に原子炉を開けてみるまではわからない。福島第一原発の原子炉がどのような状態にあるかは、状況がさらに悪化しないと仮定しても、今後、数年間はわからないままだろう。

 ある意味がっかりだが、一方では、菅さんを信頼して今後をまかせるしかない。「世界に事故の経験を正確に伝えていくことが義務だ」と先日言われた通り、適切な識者と問題を共有し、より良い方向へ導びかれるよう祈るしかない。

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コメント

 ブログに掲載されている図は、原子力安全調査専門委員会が公開したものではないんじゃないですかね。探してみたのですが、読売新聞のURL以外のものが見つかりません。
 「燃料棒の上部が破損」という記述と「下部にたまった破損燃料の量」に関する記述も出所の確からしいものはないようです。推測なら推測で別に構わないと思いますが「誰が」推測したのかは重要なように思います。

投稿: | 2011-04-16 17:34

ご指摘の意味はよく分かるのですが、画像の出所と言うよりも、イメージとして取り上げたので、出所はあまり関係なく思います。

投稿: ゴッドマー | 2011-04-16 19:08

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