東電は「事故の収束に向けた道筋」を発表した
テレビで流れたニュース画像を遠隔操作でファイルに保存し、後からいつでも簡単に編集可能だという時代に今、私はいる。この操作は、自分のテレビに内蔵されているアプリケーションを使って、番組ごとのクラウドに自分のIDで入るだけの簡単操作でできる。初め、NHKのオンデマンドがクラウドになり、他局も足並みを揃えたため、今の時代は番組の録画などをする時代ではなくなっている。
私は、この機能を使って、何年も前に起きた福島第一原発の事故の様子を収録しようと、政府が発表した被災地の状況などを今の時代でどれだけ集められるか、密かに作業を進めていた。その私は何故か30代でバリバリ働いている。この新機能で読み込むためには、正しくクラウドにアクセスしなければならないため、資料が見つからないこともある。
やっと4本だけ収録した時点のことだった。作業の続きをするために、これまで収録した資料を読み込もうとするが、ロックされて資料を見ることができない。何度もトライして諦めかけた時、この作業に詳しい友人が、「この資料はヤバイんだよ。ロックされた理由は、例の国だよ。」と、教えてくれた。知らないのは私だけだった。もっと教えて欲しいと頼むと、「そういうことは自分で考えるものだよ。この手の収録を始めた時点で、そんなことは自覚するものだよ。」と言って、教えてもらえなかった。私は、この資料の何がヤバイのか、どんな重要な秘密があるのか、それが知りたかったが、誰も教えてくれず、結局迷宮入りとなることを悟った。
後から、誰が得するのか考えて浮かんだのは、ロシアと官僚だった。政治家は、官僚が書いたシナリオのとおりに政策を進めただけ、東電は、会社の存続のためには官僚の言いなりにならざるを得ないと判断し、会長と社長はその後、自殺してしまった。
リアルな夢を見たものだ。
夢を思い出しながら、昨日のことを思い出していた。東電の、原発に対する今後の計画についてだった。夢で気がかりだった資料というのは、昨日東電が公開した計画案のことだと思った。
テレビで、9ヶ月も先にならないと自分の家に戻れないのかと嘆いている人もいれば、9ヵ月如きでは片付かないのではないかと言っている住民の声を聞き、その印象が焼きついていた。私は、後者だと思っている。おそらく私が生きている間にいは収束しないだろうと思っている。そして、何故、あんな無理な計画案を出すのか、とても信じられなかった。もっと長くかかるだろうし、そうなると、計画案の根拠となった考え方や姿勢を問われる。その時、東電の責任者が辞任するのは目に見えている。9ヶ月間、時間稼をし、実現しなかったら東電のトップが謝罪して退くことになるのだろう。で、住民は、腹立たしい思いを封じるしかなくなる。そんなところじゃないかと思った。
現実は、もっと酷いのだろうか。もっと悲しいのだろうか。
夕方、例によってニュースクリップをフォローした。拾っては読み、次を拾っては読む。次第に筋書きのようなものが見えてきて、この現実に実際生きているいることが夢であって欲しいと思った。鉄腕アトムを見た世代としては、科学の力や10万馬力で動く原子力ロボットに見た夢は、原発の将来だったと思う。その夢が夢のままであれば、こんな現実には遭遇しなかっただろうに。
別に東電を責めているわけじゃないし、いつ辞めようか、そう考えるのなら汚名を被る時じゃないかな。肩書きを生かしきるだけじゃないかな。できることは、そういうことじゃないかと思う。
昨日クリップした記事を順に挙げておく事にする。
福島第一原子力発電所・事故の収束に向けた道筋-東京電力株式会社(平成23年4月17日)
たった一枚の紙に計画案が記されている。ステップ1で3ヶ月、ステップ2で6ヶ月とあることに唖然とした。
4号機の建屋でも強い水素爆発?写真で明らかに-(2011年4月17日01時34分 読売新聞)
「夢」の残骸写真。定期点検中で稼動していなかった4号機建屋が爆発を起こした時、何が起きたか誰も知らなかった。使用済み燃料プールには、使用済みが783本、使用中548本、未使用が204本だと中日が報じていた(参照)。未使用も一緒だったと、当初は報じていなかった。
これらの一部が破損していると聞いているが、その破損が原因で水素爆発したと言う言及は未だにない。米NRCヤツコ委員長は、1~3号機の使用済み燃料プールもおそらく同じではないかと推測している(参照)。つまり、4機全てが悪い条件にはまると、チェルノブイリどころの規模ではない。広島、長崎に続く三度目の被爆経験国なのだと実感した。
Japan nuclear crisis 'over in nine months'-BBCニュース(17 April 2011 Last updated at 09:58 GMT)
BBCニュースのローランド・バーク氏(Roland Buerk)は、「 it is still not certain that the nine-month deadline can be achieved.」(9ヶ月で達成できるということが懐疑的)と批判的だが、この東電の発表は、政府の命令によるものだと、次のように前置きしている。
Japan's government had ordered Tepco to come up with a timetable to end the crisis, now rated on a par with the world's worst nuclear accident, the 1986 Chernobyl disaster.
変なところにチェルノブイリとの比較が出てくるものだ。あの事故が世界で最悪の原発事故であるため、収束は同等の手順で行えという命令が政府から出たのだろうか。「政府」という疑問を持ったのはこの時だった。
白髪の東電幹部が揃って謝罪。
福島第一原子力発電所・事故の収束に向けた道筋-東電プレスリリース
添付資料に計画の詳細が加わった。
原発事故「前進できた感じする」=菅首相-(時事ドットコム2011/04/17-17:47)
菅直人首相は17日午後、福島第1原発の事故に関し、首相官邸で記者団に「きょうは東京電力の(収束見通しの)発表もあって、少し前進できた感じがするよね」と語った。
ここで何て書いたらよいものやら、先に文字が進まない。
先日の会見でも「原子炉は一歩一歩安定化に向かっておりまして、放射性物質の放出も減少傾向にあります。」(参照)という残念な発言を耳にしたばかりだった。この部分だけを切り取れば、現在の原発状況に対して首相自ら先頭を切ってデマを飛ばしているようなものだ。現状は、この言葉とは全く逆だ。注水によって汚染水を増産する一方、原子炉内部の燃料棒を冷却し、どのような場所で何が起こるかを常に監視しながらぎりぎりの対処に迫られ、前進の道を模索している状態である。東電が発表した今後の道筋は、「政府」のオーダーだとBBCローランド・バーク氏は言ったが、菅総理ではないことがこの発言ではっきりした。「9ヶ月というオーダーを出したのは、官僚でしょう。日本は官僚によってコントロールされているし、一国の首相がノー天気でも何とか保たれているのもそのお陰だとしか言えない。
菅総理は、アメリカ・インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙などに「日本の復興と再生への道」というタイトルで寄稿したしたそうだ。原文記事は読んでいないが、日本のメディアはこのことを報じている(産経)。
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