2011-03-07

前原元外相が日本を見捨てた本当の理由

 前原氏の外相辞任には驚いた。この話を知ったのは、報じられてから日をまたいだ今朝、というか夜中のネットニュースからでした。昨晩は、内輪のことでそれどころではなく、ニュースもチェックできなかったため、夜中にごそごそしていたのです。そして、静まり返った部屋で大きな驚きの声を出してしまった。その驚きは、たった「20万円の献金が理由」だからだと思ったからです。午前中までその思いを引きずっていましたが、どうも腑に落ちない引っかかるものがあり、なんとなくネットを探していました。
 また、先ほど、枝野氏が当面は兼任すると知り、刻一刻と日本の政治が悪化の道を辿っているのを記録しておかねばと思ったのです。明日はどうなるか?もう菅政権は既に終わっているからといって首相をこれ以上ころころ変えるのはみっともないことで、政権を変えるに値する政党が出てくるまでは、この政府を温存するだけです。それだけのためといってはまったくもって失礼かも知れませんが、今までも書いてきたとおり、その理由が本心で菅さんを応援しているのです。
 当初、前原氏は、「故意ではない」と話していたように記憶していて、池信先生のブログ(参照)に目を通すに、やはり、「故意の受領でなければ罰せられない」と言及されています。前原氏くらいの人ならそんなことは知っていることでしょうし、だから当初、「故意ではない」ときっぱり言ったのではないかと思い、メディアの馬鹿騒ぎの方が阿呆らしく喧しかった程でした。それだけに、前原氏の辞任が不自然に感じられたのです。
 そして今日昼前、極東ブログ「前原外務大臣辞任、呆れた」(参照)では、ウォールストリートジャーナルの前原氏辞任を報じる速報を引用しながら、軽くサラッと言及されています。

 私にははっきりしていることがある。普天間問題から逃げたなということである。ウォールストリートジャーナル「前原外相辞任、菅政権に打撃-外交関係円滑化努力に支障も」(参照)にも指摘があるが、米国側としては、リビア並みに手詰まりになった。

 前原氏の辞任は日米関係へも打撃だ。2009年に民主党が政権を取って以来、沖縄米軍基地の移転問題で緊張が高まっている。前原氏は親米で知られ、当初は沖縄担当相として、その後は外相として交渉を主導していた。

 リビア並みの手詰まりというのは、お手上げ状態。因みに私も午前中、臭いをかぎつけて普天間問題に辿りついたところでした。沖縄タイムスの「前原氏「沖縄に感謝示す施策を」」(参照)で次のように報じています。

 さらに「辞める人間が生意気な言い方かもしれないが」と前置きした上で、「大事なことは、繰り返しになるが(沖縄への)おわびと感謝の気持ちを言葉だけではなく施策に表すことだ。その意味で今年は極めて重要な年だ」と強調した。
具体的に2011年度で期限が切れる沖縄振興計画と米軍用地の返還に伴う特別措置法(軍転法)を列挙し、「ポスト沖振を決める年でもあり、軍転法に代わるものを作らないといけない」と指摘。政府の姿勢として「基地問題とリンクさせずに沖縄の振興、自立的な経済発展を本気で考えるべきだ」とし、仲井真弘多知事をはじめ沖縄側と連携を取る重要性に言及した。
日米関係については「同盟深化が道半ばでやることができなくなるのは慚愧(ざんき)に堪えない」と志半ばで辞任する心情を吐露。「外交の空白を生じるより、けじめをつける方がプラスになると判断した」と述べた。

 親米家で知られ、自らも精力的に動いていたとされるだけに、20万円ぽっちの無罪であると分かりきった献金問題と、日本の今後を大きく左右する外交問題と比べれば、選ばれて外相の椅子に座っているのは名誉でもあるでしょうし、政治家冥利に尽きるというものです。今回の20万円は、この椅子から自らを退けるほどの問題にも値しないというのが一般的な見方です。だから、この辞任話しが胡散臭く思えてくるのです。それに、いかにも心残りのように沖縄基地移転問題に拘って会見では言及されている様子です。これが返って変でした。では、何から逃げたのかが問題です。
 極東ブログの指摘しているアメリカが手詰まり状態だというのは、今年2月16日の米ゲーツ国務長官の発言にあると思います(参照)。

ゲーツ長官は16日のアメリカ議会公聴会で、代替施設の工法や滑走路の本数などについて、今年春の遅い時期までに結論を出したいとの意向を示した。さらに、「普天間問題が解決しなければ、海兵隊のグアム移転などは行われない」と日本にクギを刺した。
日米交渉の遅れについて、アメリカ政府内には不満がくすぶっており、ゲーツ長官はこうした声を背景に、普天間問題の早期解決をあらためて日本側に迫った形。

 そして、今月頭に日本政府は辺野古のV字滑走路の位置を変える案を検討し、米政府に提出済みです(参照)。

当初はウミガメの産卵場もある大浦湾の埋め立て面積を減らすため、南西に移動させる案を検討したが、修正しても生態系への影響に大差はないと判断した。
 一方、南東に移動すれば、飛行ルートは辺野古の居住地区から離れ、安全性は向上、騒音被害も大幅に軽減できる。55メートルの移動は、自民党政権時代に合意したV字案に基づく環境影響評価(アセスメント)を適用できる範囲内での最大限の修正となる。
 米側は「V字案が最善」と主張してきただけに修正案に応じる公算が大きい。
政府は今後地元の説得を進める方針だが、仲井真弘多(なかいま・ひろかず)沖縄県知事と稲嶺進名護市長は辺野古移設への反対姿勢を崩しておらず、同意を得るのは容易ではない。

 日本政府がアメリカと合意した案の通り、辺野古移設案で当然進めた結果なので、対アメリカでは代議名文は果たせるとしても、問題は、沖縄住民の反対です。これがある以上、アメリカも強引に動けません。沖縄頑張れ!と、ここは応援しますが、間に挟まってしまった前原氏は逃げた。
 これは、日本にとっての大ピンチ。アメリカとの信頼関係はどうするのか。前原氏のことを後にぐずぐず言いたくないのでここで言及しますが、沖縄のみならず、日本を見捨てた前代未聞の前外務大臣前原氏は、わが身に降りかかった20万円の献金疑惑に便乗して沖縄問題から逃げた。

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コメント

>日本の政治家はいつも本音と建前を使う。
>沖縄の政治家は日本政府との交渉では合意しても沖縄に帰ると合意していないと言う。
>日本文化はあまりにも本音と建前を重視するので、駐日米国大使や担当者は真実を言うことによって批判され続けている。

日本人は、「本音と建前」が詭弁であることを知らない。そのように教育されてはいない。
「沖縄の政治家は日本政府との交渉では合意しても沖縄に帰ると合意していないと言う。」は、当人たちは嘘をついているということである。

日本人の判断基準は、「世の中は、、、、」(現実の内容) ということ。
英米人の判断基準は、自分の考えの内容 (非現実の内容) である。
だから、日米では話は合わない。不信感は募る。

http://d.hatena.ne.jp/takashi1982/20110307/1299426703

投稿: noga | 2011-03-07 20:42

nogaさん、日米で話しが合わないでは片付かないので、やはり、誰であろうと政治家が逃げてしまうのは、それ以前の話ですよ。日本は同じ土俵にもいないのです。

投稿: ゴッドマー | 2011-03-08 10:38

初めまして、ゴッドマーさん。
いい大人でありながら、政治・経済を始め疎い私。
いつも勉強させて頂いてます。(仕事を辞めて初めてネットにべったりな日々)
多くの政治家の方々の辞任見送ってきましたが、今回はとても衝撃的でした。
そして、わからないなりにも、いつも同じ感情を抱いてしまいます。「もどかしいっ!!!」
本当に自国の為に働いてる人がいるのでしょうか???
自分にできることが何かあれば、と日々勉強です。
また訪問させてください。

投稿: mtk | 2011-03-11 04:47

mtkさん、これからもちょこちょこ書いて行きますので、何かあったらご指摘ください。よろしくお願いします。

投稿: ゴッドマー | 2011-03-11 08:25

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