2011-03-10

イラン情勢-民主化運動がしぼんだっぽい

 中東や北アフリカで反政府運動が静まらない中、イランが意外に静かだという印象を受けます。イラン情勢が気になるのは、中国の支援で核施設の建設を進めている点と、反米・反イスラエルの強硬姿勢を持っている点です。国際社会からは核保有に対して制裁措置が取られているため、市民の暮らしは日増しに厳しくなり、反政府運動が展開されることは国際社会の意向を汲む動きとして喜ぶべきですが、政府と反政府の力関係がよく読めません。その辺に焦点を当ててニュースをクリップしておくことにします。
中東の民主化運動を「イスラムの目覚め」だと煽る一方で、国内反体制運動を厳しく弾圧として、反政府運動の指導者であるムサビ元首相とカルビ元国会議長を自宅軟禁状態に置き、2月28日、BBCが報じたことによると、拘置所に移送されたとあります(参照)。また、この二人を支えているラフサンジャニ元大統領がその政治力を大幅に後退させたとの報道もあります(朝日)。

【テヘラン=北川学】イランの最高指導者の任免権を持つ専門家会議は8日、新しい議長に保守派のマフダビキャニ師を選出した。現議長で保守穏健派のラフサンジャニ元大統領は議長選への立候補を見送り、議長を退く。保守強硬派アフマディネジャド政権に対抗してきた穏健派の発言力は低下するとみられる。
ラフサンジャニ師はアフマディネジャド大統領の政敵で、大規模な反政府デモを引き起こした2009年6月の大統領選では改革派のムサビ元首相を支持。翌月、イスラム教金曜礼拝の導師として「国民は選挙結果に疑念を抱いている」と演説し、保守強硬派の批判を浴びた。その後は公の場に姿を見せることもなく、事実上の失脚と見られていた。
ラフサンジャニ師は立法上の意見対立を調停する最高評議会議長として指導部にとどまるものの、影響力は限られるとみられる。

ラフサンジャニ元大統領:金権体質(親族・側近の腐敗)という噂が絶えない人物のようですが、経済重視の現実派でもあり、09年の大統領選では改革派のムサビ氏を支持し、改革派の後ろ盾として、アフマディネジャド大統領との対立を深めていました。拘束状態にあるムサビ氏とカルビ元国会議長、の後ろ盾として、ラフサンジャニ元大統領の政治力後退が重なり、改革派にとっては冬眠に入った状態だと言えます。
 また、8日の「国際女性デー」に日程を合わせた女性のデモが行われたようですが、政府との衝突を避ける為に無言で抗議デモを決行したようです(読売)。

 改革派ニュースサイト「カラメ」によると、テヘラン市内では中心部の広場など数か所に改革派支持者が集結。女性を中心に、少なくとも数千人に達したとみられる。
参加者は治安当局との衝突を避けるため、反政府スローガンは叫ばず、改革派指導者のムサビ元首相の自宅軟禁などに対し「無言の抗議」を行った。「カラメ」によると、治安部隊は催涙ガス弾などを使い、集会を強制的に解散させた。
反体制派の情報によると、抗議デモは、中部イスファハン、南部シラーズ、北部ラシュト、北西部ケルマンシャーでも行われた。

 因みに、「国際女性デー」とは、「女性たちが、平等、安全、開発、組織への参加のための努力により、どこまで可能性を広げてきたかを確認すると同時に、今後のさらなる前進に向けて話し合う場」(参照)なので、イランの反政府運動と直結しないと思ったのですが、ムサビ元首相の自宅軟禁などに対し「無言の抗議」を行ったと報じているとおり、両氏の夫人らの解放を求める趣旨があったようです。が、あっけなく解散させられたようです。
朝日はこれに加えて、大統領の訪問に合わせた各地の抗議デモを次のように伝えています(朝日)。

 一方、3月に入り、アフマディネジャド大統領が地方の遊説先で抗議行動に遭遇することが続いている。改革派サイトによると大統領が訪れた南部ファルス州のスポーツセンターで7日、食肉加工会社を解雇された約50人が「腹が減った」「未払いの給与を支払え」などと叫び、治安要員に遠ざけられた。
 大統領は2日にも西部ロレスタン州で演説。英BBCによると、会場に「我々は空腹だ 織物工場の労働者」と訴える横断幕が掲げられた。
核開発を進めるイランは欧米などの制裁下にある。物価も上がり、国民は不満を強めていた。

 ここで初めて、制裁下にあるイラン市民の声を聞いたように思います。このように制裁効果はあるものの、イランの民主化は応援しますが、その勢いで政府が苦しくなると、今度は核を盾に世界の脅威ともなり兼ねないのがイランです。
 エジプトのムバラク元大統領が失脚した際、イスラエルとの和平問題の存続が懸念され、イランの核化が気がかりでした。これを阻止するには一撃するしかない、と語ったのはJohn Bolton氏(ブッシュ政権時の大使)ですが(参照)、確かにあの時代なら爆撃機を飛ばしてドカンとやったアメリカです。ところが、昨年、「Stuxnet」というコンピューターウイルスでイランの核施設をマヒ状態にし、時間稼ぎをしたという話しがあります。
 Twitterで流れてきた情報で、3月4日のBBCによると、イスラエルとアメリカの共同開発であることが明らかになったようです(参照)。発展を遂げるとそれなりの対応策もあるもので、復旧には2年ほどかかるといわれています。この復旧でもたもたしている間に、民主化運動に何らかの片がつくとよいですが、今後はどうかと言えば、21日からはイラン暦の新年休みに入ります。これが、政府と改革派市民運動との対立の冷却となるのか休息となるのか、このまま注視して行くつもりです。

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