県内バス会社の統合化やリニアー新幹線構想について雑感
2月22日、諏訪市の循環バス「かりんちゃんバス」の運行会社である諏訪バスが、松本市に本社を置くアルピコホールディングスと合併する事を知りました。この合併は、県内の大手バス会社三社を一社に、五社のタクシー会社を一社に再編成することで経営の効率化を図るというのです(参照)。
同社によると、バス事業はアルピコHDの子会社、松本電鉄(松本市)が孫会社の川中島バス(長野市)と諏訪バス(茅野市)を吸収合併し、社名を「アルピコ交通」に変更する。これまで許認可の関係で難しかった「各地の車両や人員配置の融通性を高める」(堀籠社長)ためという。
事業会社を一本化することで、需要が多い北信地域や首都圏向けを強化するほか、貸し切りバスや高速バスの繁忙期には他地域から応援を出せるようになるという。
またタクシー事業もアルピコHD子会社のアルピコタクシー中央(松本市)が、他の子会社4社(長野、岡谷、諏訪、茅野)を吸収合併する。社名は「アルピコタクシー」に統一するという。行政上の申請など、事務手続きの省略化が最大の目的だという。
要は、吸収合併です。このような合併話を聞くと直ぐに赤字経営の立て直しを連想するのですが、今回は、一社で抱える赤字も経営の統合により、黒字路線とバランス出来る利点が吸収合併の意図するところかもしれません。
また、現在運行されている市内循環バス「かりんちゃんバス」は、自治体バスで、それまで運行していた諏訪バスの赤字による撤退後、1999年より諏訪市が引き継ぎ、諏訪バスに運行を委託して始まったという経緯があります。今回の合併では人員の削減はしないそうですし、「かりんちゃんバス」への影響があるかと言えば、市が判断することなので、今後のことは何とも言えません。
このことを知って直ぐに連想するのは、田舎の過疎化と高齢化です。バスの利用客が減少傾向であるのは言うまでもなく、買い物難民とか言われている、いわゆる買い物に出かけられない方の交通の便です。
私の住むところは、市の中心部である駅の傍の住宅街で、病院、金融機関、学校、市役所などは徒歩10分範囲にあるため便利に暮らしていますが、諏訪市は、湖から霧ヶ峰高原まで広範囲のためマイカーはどうしても必要になります。大人家族四人なら四台車があるのは普通です。ただし、車を運転できない方や、運転免許自体を持たない高齢の方にとって、かりんちゃんバスは大切な足であると思います。
実は、このような話をする私はマイカーに頼りっぱなしで、お恥ずかしいことにかりんちゃんバスに乗ったことがないのです。合併の話を聞いて暫く経つのですが、昨日思い切って乗ってみた次第です。
普段、自分で運転する慣れ親しんだ道も、バスに揺られて景色をゆっくり見ながら市内を一周してみると、気付かなかった花や建物に目を奪われるものでとても心地良い、まるでプチバス旅行の風情でした。料金は一回乗るごとに大人150円、子供80円は格安です。かつて諏訪バスが運行していた頃の料金と比較すると、格段の差でお得感があります。ただ、お年寄りが日中動きまわる昼間の時間帯に乗ったにも関わらず、乗客がピーク時で8名でした。私一人だけの区間もかなりあったのを体験してみて、バス会社存続のためと少ない乗客のための市の福祉事業のような気がしました。実質、そうなんですけどね。それでも、困る人の足として税金で賄われているという実感も悪くはなかったです。
話は飛びますが、過疎地の郵便事業なども、市町村が国から補助金をもらって民間委託という形態を取るのはよいのじゃないかと、ふと思うのです。基本は民営ですが、国は、民間の手が伸ばせないようなところにだけに補助の手を伸ばしてくれたらよいのではないかな。郵政は民営化した当初は経営も悪くはなかったそうですが、民主党に政権が変わり、郵政の頭が天下り官僚である斉藤氏に変わった途端に赤字です。この経営状態をどうするのかといえば、また国営化するっきゃないじゃん、というところへ帰結すると噂では聞きます。詰まることろ、経営手腕と官僚の天下り先にだけはしなければ、経営は上向きになるのではないかという感想を持ちました。
これまたバスとは関係ない、アメリカの新幹線導入にまつわる採算の話しが極東ブログで持ち上がっています。この話は、アメリカオバマ氏の高速鉄道政策が頓挫しそうな雰囲気で、この影響で、日本の新幹線の輸出話が消えるかもしれないという不景気な話のようです(参照)。世界一を誇る最速電車が、広大なアメリカの大地を突っ走る姿を見る、または乗ってみたいという夢の乗り物として、あってもいいじゃないの?と私は軽く思います。かりんちゃんバスと比べるレベルではないけれど、赤字を出さないような区間で始めてはどうかとは思います。
と、この理屈でリニアー新幹線が長野県を走るという構想をどう考えるか?話は具体化していますが、運行費や市町村の負担額を思うと、アメリカの話しは他人事ではないのです。
南部をちょろっと通過するのみという直線ルートにほぼ決まったようなので、土地買収とかで、通行料くらいの恩恵しかないのかもしれません。が、迂回コースになるデメリットがあるとは言え、長野県のほぼ中央である諏訪地域を通らないのはもったいない感じがします。仮にこれを利用するために飯田まで中央本線を使って乗り換えるのなら、その手間とタイムロスを加味すれば、上諏訪から名古屋までスーパーあずさで乗り継ぎなしの方が楽です。どうもこの構想は、長野県中央の乗客を除く東京に近い甲府と名古屋に近い飯田市に集客の的を当てているようですが、この諏訪地域は、東京と名古屋の中間点なので、乗降客もそれなりにあるというのが地元感覚にはあります。
なんだか、バスから郵政、新幹線へと話しは飛びましたが、全ては採算ベースの話しばかりで、夢もあったのもではないですね。採算などを度外視した、夢のある話ってしたいものです。日本の最高の技術を駆使した世界最一速い新幹線が運行した1964年、日本にはたっぷり夢を運んできてくれたものです。
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