2011-02-22

リビア情勢2-国情を超えたエジプトの支援

 リビア情勢がどんどん変化しているらしい。悪い状態であるにもかかわらず、外国のメディアがあまり報じない事を不思議に思っています。昨日も触れたように、リビア政府は報道活動を禁止しているという理由もあるかと思いますが、一説によるとこれは内戦であるという見方もあり、そうであるなら他国がとやかく干渉を入れるものでもありません。でも、これもリビアのことなので、誰かの憶測ということもあり、当面は動向を見守るしかないとも思います。NHKが昨日朝9時、次のように報じています(参照)。

 カダフィ大佐の次男のセイフ・アルイスラム・カダフィ氏が日本時間の21日午前8時すぎ、国営テレビで国民に向けて演説し、リビア国内で大きな混乱が起きていることを認めたうえで、一両日中に、全国人民会議の場で改革について協議を始めることを明らかにしました。この一方で、「このままでは内戦に発展し、国民同士が殺し合い、国を破壊される」と反政府デモを批判し、事態の安定化に向けてカダフィ大佐が引き続き国を率いることを明らかにしました。リビアでは、これまでデモの衝突などは伝えられていなかった首都トリポリでも、デモ隊と治安当局との衝突が起きているもようで、予断を許さない状態が続いています。

 この声明の内容に関しても、リビア政府の市民に対する虐殺行為を外向けには内戦という形に仕立てたいのかもしれないとは思いました。私も滅多に読まないアルジャジーラのアラビア語版を英語に翻訳し、さらにその拙い訳文を日本語に訳して読んでいる始末です。
 さて、前置きはこのくらいにして、今日は、エジプトの反政府運動をしている青年らによるリビア市民への支援活動について触れます。
 まず、NHKの午後のニュース「エジプト リビアのデモを支援」で知ったことで、Twitterからピックアップしました(参照)から。

 北アフリカのリビアで、反政府デモに対する治安部隊の発砲で多くの負傷者が出ていることを受けて、隣国のエジプトでは、ムバラク前大統領を辞任に追いこんだ若者たちが、リビアのデモを支援しようと、医薬品などを現地に送る活動を始めました。
 リビアでは、北東部を中心に反政府デモ隊と治安部隊との激しい衝突が続き、地元の病院には、銃で撃たれるなどして多くのけが人が運び込まれていますが、医薬品が足りず、十分な治療ができない状態が続いてます。こうしたなか、ムバラク政権が崩壊した隣国のエジプトでは、インターネットで大規模デモを呼びかけ、政変のきっかけを作った、「4月6日運動」と呼ばれる若者のグループが、同じインターネットの交流サイトを通じて、今度はリビアに医薬品を送ろうという呼びかけを始めました。カイロ市内の指定の場所には、20日、これに賛同した人たちが包帯や薬などを持って次々と集まり、早速、医薬品を満載したトラック1台が、およそ700キロ離れたリビアとの国境の町に向けて出発しました。呼びかけ人の1人で、反政府デモを行っているリビアの若者と電話などで連絡を取り合ってきたという女性は、「きのう電話で話したリビアの友人は、とてもおびえていました。今は電話もつながらず、とても心配です」と話していました。

 このニュースを聞いて、ほっとした気持ちになり、思わず涙がこぼれそうになりました。
 「4月6日運動」についてはここでも先日「4月日運動から見たエジプトのクーデター」で触れたとおり(参照)、この運動は、エジプト政府に対する反政府運動をインターネットによる呼びかけで起こし、発展的に拡大しました。彼らが、隣国リビア市民に好意的な支援活動を始めたことは、極普通の精神であり、ネットで繋がることで実践した素晴らしいことだと思いました。ましてや、リビア市民が避難先に出来る国はそうはないのです。これもカダフィ大佐が周辺国を敵に回すような政治をしてきた結果であり、リビアに生まれたことを憎んでも仕方のない事でもあります。
 が、どうでしょう、両国の歴的背景を知ってもっと驚きました。この情報もTwitterからで、英語版のWikipedia「Libyan–Egyptian War(リビア-エジプト戦争)」からです(参照)。

Egyptian–Libyan War was a short border war between Libya and Egypt in July, 1977.
エジプト-リビア戦争は、1977年7月にリビアとエジプトに起きた、短い国境戦争だった。 

【背景】

On July 21, 1977, there were first gun battles between troops on the border, followed by land and air strikes.
1977年7月21日、国境における軍同士の砲撃戦に続いて、空爆が行われた。

Relations between the Libyan and the Egyptian governments were deteriorating ever since the Yom Kippur War of October 1973, due to Libyan opposition to Sadat's peace policy as well as the breakdown of unification talks between the two governments.

1973年10月のヨム・キプル戦争(第四地中東戦争)以来、リビアとエジプトの両政府の関係は悪化していた。この政府間の統一会談が頓挫したのと同様に、サダト氏の平和政策にリビアは反対していた。

In addition, the Egyptian government has broken its military ties with Moscow, while the Libyan government kept that cooperation going.
さらに、エジプト政府はモスクワとの軍事的な関係が崩壊し、その間、リビア政府は協力関係維持してきた。

The Egyptian government also gave assistance to former RCC members Major Abd al Munim al Huni and Omar Muhayshi, who unsuccessfully tried to overthrow Gaddafi in 1975 and allowed them to reside in Egypt.
また、エジプトの政府は元RCCメンバーである Major Abd al Munim al Huni とOmar Muhayshiに対する支援をた。(Muhayshiは、1975年にカダフイを打倒しようとして失敗し、彼らがエジプトに住むことを許容した)。

During 1976 relations have reached an ebb, as the Egyptian government claimed to have discovered a Libyan plot to overthrow the government in Cairo.
1976年、関係は衰退し、エジプト政府は、カイロ政府を打倒するというリビアの陰謀を見つけたと主張したのです。

(中略)

The Libyan government claimed to have uncovered an Egyptian espionage network in Libya.
リビア政府は、リビアのエジプト情報網を発見したと主張しました。

US diplomatic circles viewed this tension as a sign of Libyan intentions to go to war against Egypt, and one diplomat even dared to observe:
米国の外交筋は、この緊張をエジプトに対して戦争するというリビアの意志の表れであるとみなしました。

The Egyptian government throughout 1976 was concentrating troops along the Libyan border.
1976年、一年を通してエジプト政府はリビアの境界に沿って軍を集結させていました。

In June 1977, Libyan leader Muammar al-Gaddafi ordered the 225,000 Egyptians working and living in Libya to leave the country by July 1 or face arrest.
1977年6月、リビアのリーダー、ムアマル・アル-カダフイは、リビアに住む22万5000人のエジプト人労働者に7月1日までに出国するか、さもなくば逮捕することを厳命しました。 

 つまり、リビアのカダフィ氏とは、ムバラク政権前のサダト政権時から何かと争乱が起きている関係があり、この下地が、両国の反政府運動者の「反政府」を共通として結びつける縁結びになったというわけです。
 うーん、何というか、これと似たような関係から戦争に発展したというは話を思い出せないのですが。虐げられた境遇において、往々にして仲間意識が芽生えるのは同病相哀れむという事だと思います。水をさすようで変な言い方かもしれませんが、その絆はもろいことも多いです。
 ただ、昨今の若者達は、私には想像のできないようなエネルギーを以て何でも超えて行くというような、そういう力を持ち合わせているのかもしれません。ともすると、それぞれの国の和平に、希望をつなげられるのかもしれないと感じました。

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