2011-02-28

中国に反政府運動は起こるだろうか

 昨日、Twitterで中近東の争乱に関する記事を拾って読みながら、中国のことを思っていました。そのきっかけは、長引くチュニジアの反政府運動の様子を知ったからです。チュニジア市民のこの運動が終わる時は、完全に政権交代する時ではないかと感じ、市民のパワーもここまでくれば、本当に国が変わるのだと思ったからです。安易に中国のことに触れるのはどうか、という思いはありますが、中国の軍が市民に対して弾圧的になっていると日経が報じていることもあり、その動きを感じますので、反政府運動の可能性について、書きとめておくことにします。
 記事は次のように報じています(日経2011/2/28 0:15)。

【北京=尾崎実】中国で民主化を求める「中国ジャスミン革命」集会の開催が再び呼びかけられた27日、中国当局は全国の主要27都市に多数の警察官を投入し、集会の開催を封じ込めた。北京、上海で地元公安局が、日本人カメラマンを含む少なくとも計9人を連行。上海の集合場所には約1000人の群衆が集まったが、いずれの都市も集会は開かれなかった。
日本人カメラマンはその後、解放された。北京では来月5日に全国人民代表大会(国会に相当)の開幕を控えており、民主活動家を含めた住民監視やインターネット規制が一段と強まるのは必至だ。

 「中国ジャスミン革命」という名称は誰が言い出したのか良くわかりませんが、チュニジアに政権交代が起きれば、これは文字通り市民運動から発展した「革命」と呼んでよいのだろうと思いますが、中国にチュニジアのようなことはありえません。中国は一党独裁政権で軍政なので、市民が政府に不満を抱いて氾濫を起こしても、大きくなる前に弾圧されるのが関の山です。実際に起きた64天安門事件のように、市民を殺害して見せしめにし、軍の力を誇示して終わるのではないかとは思います。ただし、軍の分裂による内乱の可能性はあると思い、後で書くことにします。
 引用の記事にもあるとおり、集会は実現せず、中国当局が嫌う外国報道陣を早速連行したのも手回しが良いです。ただ、中東でこれだけ市民運動が国を動かしている現状から、中国国民が勢いをもらっていることに対して当局が過敏になっていることは確かだと思います。産経は、中国当局の取締りを詳しく報じています(産経2011.2.28 00:21) 。

 北京市公安局で外国人記者の査証(ビザ)発給を担当する当局者は25日午後、産経新聞記者を入国管理局に呼び出し、「中国の法律では公共の場で取材する際、その場所を管理する部署に事前に申請し、同意を得なければならない」と強調。そのうえで「法律を順守しなければ、国外退去の可能性もある」と語り、27日の集会を取材しないよう暗に求めた。
 こうした呼び出しは24日から27日にかけて、北京や上海に駐在する欧米や日本メディアの責任者に対し行われた。
 また、インターネットへの規制も強化された。規制される用語が大幅に増え、「茉莉花(ジャスミン)」「民主と自由」など、集会を連想させるキーワードは検索できなくなった。
 前回20日の北京での集会場所に姿を見せた米国のハンツマン駐中国大使の名前さえも規制対象となっており、ネットで表示できなくなっている。
 香港の人権団体などによると、集会の呼びかけ文を別のサイトに転送したとして、27日までに少なくとも4人が国家政権転覆扇動容疑などで逮捕されたという。
 引き続き毎週日曜の集会が呼びかけられるとみられるなか、この集会情報が当局の規制にもかかわらず、一般住民にまで広まるかが今後を占うカギとなる。
 友人からの携帯電話のショートメールで知ったというタクシーの運転手は「私の周りはみんなジャスミン革命のことを知っている。捕まるのはいやだから集会にはいかないが、心情では支持している」と話している。

 長い引用ですが、日本人には想像もつかないようなことが弾圧の対象になるということです。タクシーの運転手の言うように、捕まるのは怖いことだと植え付けられている市民が大半だと思うので、天安門事件当時と現在は国情も違うとはいえ反政府運動などは起こりようもないかもしれません。ただ、中国国民に不満が蓄積されて行くことには注意が必要だと思います。それは、中国経済の目覚しい発展という背景に、貧富の格差や、生命に直接的に関係する環境の不備などの不満と重なるからです。これは、昨日の「まがい物だらけの中国-命だけは勘弁して」(参照)でも触れたように、各種公害や、赤ん坊が飲む粉ミルクの砒素混入を放置したまま市販するといった、政府の対応が追いつかないことへの不満にもつながるからです。
 これらを思うと、中国に反政府運動がある日突然起きてもおかしくないと断言できますが、その反面、この経済成長が運動を起こしにくくしているとも言えます。そもそも、国が栄えている時に反政府運動などが起こると論ずるのもナンセンスです。
 比較で、中東やアフリカで起きている反政府運動には、市民の飢えがあります。
私腹を肥やす独裁者なり、国の上層部だけが恵まれた生活をしていることへの市民の不満や飢えが、これらの運動のエネルギーに点火して始まっています。失うものがないとなれば、最後に残るのは命で、この命をかけているから革命が起こるのだと思います。では、中国はどうか。
 中国は経済発展の途上にあり、日本の高度成長期の時の日本人のように、誰もが将来性に希望を抱いているのじゃないかと想像します。この幸せを手放して当局に歯向かう事は損なのか、得なのか。中国市民は失うものを手に入れてしまったがために、命がけで生きる必要はなくなったのじゃないかと思うのです。不満を抱えながらも当局に歯向かうのを損だと考えるタクシーの運転手のような人が増えつつあると思います。こうなると、反政府の温床はあっても運動には至らないです。
 中国の軍についてはどうか。天安門事件で多くの無力の市民を惨殺した過去もあり、世界は見張っています。あのようなことはもう起こさないのではないかと、普通は思います。これは、国際社会の仲間入りを思う中国なら、同じことは繰り返さないだろうという見方からですが、私は、中国の軍は変わらないと思います。天安門事件のようなことを正当化し、如何様にもやり方はあると思います。ただし、軍が仲間割れを起こす可能性はあると思います。2006年、江沢民前主席の命令によって胡錦濤主席の暗殺が未遂に終わったという話もありましたが、これは、軍をめぐる主導権争いです。誰が潰れても誰かが頭を出してくるので、分裂にはならないのか、それは中国当局が望まないからなのか分かりませんが、今の状況は当時とも違います。
 そして、反政府運動を起こす可能性が一番濃いのが中国のネット世代です。というよりも、この中に、1979年に開始された一人っ子政策世代が多く含まれているのではないかという意味です。すり込まれた愛国主義思想は、何かの拍子に反政府運動に転じる怖さがあります。男女比で言えば男性が圧倒多数で、漏れこぼれた情報によると、中国男性はAVビデオマニアが多いとか聞きます。これ何の意味か?って、無職で暇なんでしょう、きっと。
 当局は、この世代の持つエネルギーの可能性をおそらく知って、時々起こる反米、反日のデモを煽り、彼らのガス抜きを企てているのと違いますか。尖閣諸島沖問題では、日本はいい迷惑をしました。
 つまり、中国政府は、中国国民がいつ反旗を翻すとも限らないという危機感を持っているのは確かだと思います。中国当局がどれほど対処療法を施したところで、それは解決ではないのです。因みに、産経もタクシーの運転手ではなく、30代の暇そうな男性に聞いてみたらどうでしょう。
 話しが散漫になってしまいましたが、以上のことから中国から目が離せないです。

追記:中国の変化について極東ブログ「[書評]中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす(遠藤誉)」で紹介の本が興味深いです(参照)。

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