2011-01-05

中華民国建国100周年の記念に何か問題でも?台湾の気持ちが分る気がする

 今年は、「辛亥革命(しんがいかくめい)」の勃発から100周年に当たるということをネットのニュースで知り、さしたる感慨も私にはないのですが、50周年があれば92周年もあり、100周年と言えば何かとキリの良い数字ではあると思って記事を読んでいました(産経2011年1月4日)。
 中台問題は永久に変わりようはないと思っていますが、昨年の台湾の選挙では与野党の勢力が互角になったという結果が出ていることもあり、台湾の独立志向に何か変化でも起こるのかという期待のようなものがありました。記事には、中国と台湾側のそれぞれの取り組みを取り上げています。

 1911年10月10日に勃発した辛亥革命の成功により、孫文を臨時大総統とする共和制国家「中華民国」が成立した。しかし孫文らが19年に結成した中国国民党は49年、中国共産党との内戦に敗れて台湾に政権を移し、「中華民国」を名乗り続けている。

 気になるので付け加えますと、「中華民国建国」は、辛亥革命後の翌年1912年1月1日、孫文によってアジアで初めての民主共和国である中華民国を宣言した日で、この年を数えて今年で100周年というのが正確だと思います。国慶節については、中国と台湾と蜂がいます。台湾の国慶節は10月10日、中国は10月1日です。

 このため台湾側は辛亥革命の意義を共和制の確立に求めている。馬英九総統は辛亥革命の蜂起から99年となった昨年10月10日の「双十節」で、「両岸(中台)は現時点で法的に(国家として)認め合うことは不可能だ」と指摘。そして辛亥革命そのものよりも、「中華民国100年」を祝賀する方針を改めて強調した。

 一方、49年に「中華人民共和国」を成立させた共産党の中国は「中華民国」の存在は認めず、清朝打倒による満州族支配からの漢族の解放と、数千年に及んだ君主政治に終止符を打ったことに歴史的な評価を与えている。
中国の国務院(政府)台湾事務弁公室スポークスマンの楊毅氏は昨年12月29日の記者会見で、「両岸は辛亥革命100周年の記念行事を共同で実施すべきで、両岸の団結と中華民族の復興にも有利だ」と述べた。
中台の経済協力枠組み協定(ECFA)は1月1日付で発効している。中国は「先経後政(経済問題を先(ま)ず解決、その後に政治問題を解決する)」を基本戦略とする台湾統一工作において、ECFA発効をステップとし、辛亥革命100周年を政治的接近のチャンスと位置づけている。

 この記事の通りだとすると、台湾は革命より自国の建国を祝う方針です。これに対して中国は、台湾の「中華民国」の存在を認めていない上で「中華民族」の結束をより強化するために合同式典の必然性を訴えているようです。
 文脈的には、中国が台湾を吸収しやすくするのが目的だと言っているようなものですが、昨年末の台湾の選挙の結果が示すように、与野党勢力が互角になったため少し変化が現れています。台湾の最大野党である民進党は、独立志向が強いと言われていますが、経済面では中国との関係を重視していると思われ、その点に関しては与党である国民党と同じ立場をとっているということです。いずれにしても、現段階での台湾独立は難しい上、中国の大きな経済力に寄り添うことが「ひとつの中国」となることを望むではないにしろ、この曖昧な状態を維持するしかないかと思います。
 一方、台湾国民はどういう反応かと世論調査を見ると、中国との統一を望まないが31%で微増、統一を望む割合は14%と10年前に比べ半減し、51%が現状維持という結果でした。この現状維持とは、「統一せず明確な独立宣言もせず、事実上の独立を維持する」という曖昧な状態を望むという傾向です(産経2010.9.23)。
 この結果から、政府と民意が一体となっている状態と言えるのだろうか。そうだとすると、これ以上国民にとって嬉しい政府の姿はありえませんが、問題は、成長を続ける大国である中国の影響力のもとで現状維持する事の方が、政治的に難しいのではないかと思えます。日本と中国の関係においても、利害関係を維持しつつ主張を通すことは困難な相手国です。まあ、日本の政治家の脇が甘いからかもしれませんが。
 では、中国の国民感情はどうかと思えば、台湾を訪れる中国観光客が増え続けているという事態を知り、これがそのバロメーターとは言いがたいですが、どうも、中国では発売禁止の本が購入できる台湾の本屋が観光スポットになっているらしいのです。(毎日12月26日)。

 観光名所にもなっているのは、台湾でチェーン展開している大手書店「誠品書店」。24時間営業の同書店敦南店では、夜になると中国人観光客が最後の「観光地」として訪れるという。

 投資関連の本も人気は高いが、「国家の捕囚-趙紫陽の秘密録音」▽「趙紫陽軟禁中の談話」▽「マオ 誰も知らなかった毛沢東」▽「毛沢東の私生活」▽「張学良の口述歴史」--など、かつての指導者の口述記録や側近者による回顧録などは根強い人気を誇る。この5冊は中国人観光客向けの「常備商品」とされている。

 この現象をどう読むか?中国が共産党による一党独裁を維持するために、情報管理に神経をすり減らす涙ぐましい努力の甲斐はあまりない、と見るのが妥当でしょうか。
 塞いでも塞いでも隙間から情報は出入りし、中国国民の知る権利を認めない独裁政治がいつまで持ちこたえるのだろうか。維持するのが難しくなると、周辺国を中国化することに余念のないのが中国で、日本占領だってありうる話です。
 それとも、中国独特の理屈を通すことが困難になり、いつかそれを是正する時が訪れるとでも?
 それは無理。中国国民が民主化を望めば弾圧がさらに激しくなる軍の方が政府よりも力があるのです。この構造を改革することができるとは思えませんし、習金平国家副主席が胡錦濤主席の事実上の後継者に確定していますが、軍に対して強い影響力を望める人物ではなさそうです。

***

ネットで「国慶節」を調べるといろいろな解釈が出てきますが、何ともあやふやで誤解もや混乱があるようです。もしやと思って極東ブログを調べてみたら「国慶節に思う」(参照)で言及さていました。

 今年は中華民国建国九十二周年になる。常識なので言うも恥ずかしいがインターネット馬鹿曠野に戸惑うこともあるので書くと、民国建国は1912年、つまり大正元年と同じだ。今年は大正92年なのである。大正年を思えば明治は遠くなりにけりともいえるが、祖父母が明治年の生まれであることを思えば、民国成立の時代はそう遠いものでもない。夏目漱石の「心」にもまだ共感できる。現代が始まった時代だともいえる。1914年に第一次大戦が終わり、1917年に脳天気なレーニンの勘違いで始まったクーデターがひょんなことでロシア革命になった。
 民国成立について台北駐日経済文化代表處のページには、86年の李登輝の祝辞も残っていた(参照)。ちと長いが国慶節というものの説明のために引用させてもらう。

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