2010-12-27

イランのガソリン高騰の政治的な背景や燻る問題

 クリスマスで起きたアフリカとパキスタンの戦闘(「クリスマスに起きたアフリカ・スーダンとパキスタンの戦闘」)は中国絡みの視点で見てみました。私が注視しているイランにも中国が進出している国として気がかりでしたが、日をさかのぼってみると燻っているものがあるようです。気がかりな点をニュースのクリップと共に書き留めておくことにします。
 まず、イランと日本の関係です。これは、アメリカのイラン核武装に対する制裁の要請に同調して今年9月30日に共同声明を出している通り、日本はアザデガン油田から撤退しています。(産経ニュース)。日本が相当の出資率でアザデガン油田の採掘権を保有し、「石油公団」が存在していた頃は、日本の官僚にとっては天下り先であり、それなりの経済関係はありました。アメリカの制裁要請に日本が応じた理由は、当時とすれば、油田よりも日本を守るのを優先させたのだと思います。尖閣諸島沖問題の解決の突破口は、アメリカの抑止が中国に与える牽制として重要だったからであると思います。イランと日本の石油事業に関しては、極東ブログに詳しく書かれています(参照)。気になるのは、これらの制裁がその効力をどう発揮しているのか、またはしていないのかという点です。
 アメリカのイラン制裁措置である「ガソリン禁輸」は、当時はあまり効果がないのではないかという見方など、諸説がありますが、12月22日朝日(参照)によると、イランのガソリン価格が4倍に値上がりしているとあります。制裁効果がないという懸念に、イランでも独自にガソリンを製油できるという点もあり、この報道は不思議でしたが、製油所の老朽化が深刻な状態のようです。

【テヘラン=北川学】イランで、ガソリンを格安に保ってきた補助金を削減する法律が施行された。1カ月の経過措置を経て、小売価格は従来の4倍となる1リットルあたり4千リアル(約32円)になる。核開発に対する国際社会の経済制裁が強まるなか、国民の不満がさらに高まる可能性がある。

 2010年度の国家予算はドル換算で約3680億ドル。うち約1千億ドルが補助金に投入され、ガソリンや電気代などを安く抑えていたが、この補助金を段階的に削減し、最終的には廃止する。補助金削減で浮いた金を製油所の施設更新や新規エネルギー開発などに振り向ける狙いがある。

 イランは世界有数の産油国ながら、製油所の老朽化でガソリンの国内消費量の約3割を輸入に頼っている。

 また、これに引き続きアハマディネジャド大統領は、水道、ガス、電気などの公共料金は小麦粉や砂糖なども値上げされるそうです。これらに政府の補助金が付加されていたことは知りませんでしたが、日本でいうところのバラマキが削減されるような話です。
 こうなることが分っていたのだとすると、オバマ大統領の制裁措置は平和維持に貢献していると言えますが、イランもこのままでは国民の不満を高めてしまいます。
 このような弱い立場の国にすきいるのが中国の無差別外交なので、とんでもないコンビになると思うのです。
 まず、イランと中国関係のアウトラインとして、中国にとってのイランは、中国のエネルギー需要の急増に伴い、石油や天然ガス資源に恵まれている魅力的な国に違いありません。また、制裁を受けて弱体化しているイランが中国を重要な国という位置づけにする根底に、中国は、経済制裁に批判的な立場をとっているからだと思います。中国のノーベル平和賞授賞式不参加要請の呼びかけに答えるあたりは、その関係性が重要だからだと思います。
 イランは、アメリカの制裁措置によって無くしたものもありますが、得る物も大きかったと思います。中国の目覚しい経済成長をお手本にだけはして欲しくないと思いますが、今後の動きに注視していたいと思います。
 さて、その核開発を進めるイランは、今後どのように政治利用するのか気になります。12月14日産経ニュース(参照)の伝えていることによると、アフマディネジャド大統領はモッタキ外相を解任後、サレヒ原子力庁長官に暫定的に外相を兼務するよう命じたとあるのですが、このような人事は日本でも良くあることですが、原子力庁の長官人事となると政府の動きがきになります。
 この動きについて毎日は、次のように報じています(参照)。

【テヘラン鵜塚健】イランのアフマディネジャド大統領と、ラリジャニ国会議長ら反大統領勢力との対立が激化し、政権保守派内が揺れている。失政批判の強まりに対し、大統領は外相解任など側近固めを進めて対抗。大統領は強硬イメージの陰で核問題打開の機会を探っているとみられるが、反大統領勢力がこの路線を妨害し核問題の進展も、より遠のく恐れがある。

 「核問題が遠のく恐れ」というのは、つまり、アメリカの制裁措置に困窮するアフマディネジャド大統領のアメリカとの和解の道が遠くなることを意味していると思います。
 他国の権力争いを国益に生かす商戦に長けている中国などは、現在のこのイラン情勢をどう見ているのだろうかと気になります。

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