クリスマスに起きたアフリカ・スーダンとパキスタンの戦闘
日本では静かなクリスマスを迎えることができましたが、アフリカや中東の地では爆撃の音が止むことはなかったようです。
24日、スーダン・ダルフールで起きた「正義と平等運動」(JEM)、「スーダン解放運動」(SLM)の反政府2組織と政府軍の戦闘で、40人が政府軍に殺害されたことを知り残念でなりませんでした(産経ニュース)。南部独立のための支援金は、こうした戦闘の武器へと消えてしまうのかと思うと、国の独立のためとは言え、支援すること自体が更なる戦闘力の強化になり、多くの人の命を奪うことに加担してしまうのは非常に残念で、払われる犠牲や代償は大きなものだと思います。以前にも触れましたが、スーダンで、中国製の弾薬などが見つかっていることから、中国は、思慮や配慮のない無差別的な手段で国を肥やしていると言えます(BBC)。また、中国が核開発の支援をしているパキスタンでは昨夜、世界食糧計画(WFP)の食料配給所を狙った自爆テロが起きたようです。
このことを産経ニュース(参照)が次のように伝えています。
【ニューデリー=田北真樹子】パキスタン北西部部族地域バジョール地区にある世界食糧計画(WFP=国連の多国間食糧援助機関)の食料配給所の近くで25日、自爆テロがあり、AP通信によると、食料の配給を待っていた避難民ら少なくとも43人が死亡、100人以上が負傷した。隣接するモーマンド地区でも同日、パキスタン軍の攻撃でイスラム武装勢力40人が死亡するなど、テロ被害の拡大とともに軍の掃討作戦も激しさを増してきた。
24日付のパキスタン英字紙ニューズによると、今年、国内で起きた自爆テロによる死者数が23日時点で、1224人(昨年1217人)にのぼり、過去最悪を更新した。ただ、自爆テロの件数は52件で、昨年の80件より減少しており、1回の自爆テロによる被害規模が拡大傾向にあることを示している。
この難民が狙われる背景について毎日が伝えていることによると、タリバンの勢力が復活していることが起因しているそうです。
パキスタン当局は米国の要請を受け、国境地帯で武装勢力掃討作戦を展開しているが、アフガン南部ではタリバンが勢力を復活させており、パキスタン側でも治安の悪化を招いている模様だ。
バジョール管区は、反政府武装集団「パキスタン・タリバン運動(TTP)」ナンバー2のファキル・モハンマド司令官の出身地で、アフガンのタリバンなど武装勢力が潜伏しているといわれている。25日の自爆攻撃の標的となったサラルザイと呼ばれる部族は、他の部族に先んじて反タリバンの民兵集団を結成したが、最近のパキスタン北西部での治安部隊と武装勢力間の戦闘激化から避難民となった。
アフガン戦争を主導しているアメリカが行っている無人機による越境空爆の目的は、武装勢力を殺害するためですが、同時に、多数の民間人も巻き込んできています。また、パキスタンの軍備や核施設を支援しているのは中国ですから、このような構図から、アメリカと中国の争いのようにも見えます。が、先のアフリカのことを加味すると、中国は、武器弾薬、核施設を必要とする国と無差別的に外交をしているだけではないでしょうか。これによって国際社会から浮きだすのはまたしても中国で、世界が支援する動きとは裏腹に、台頭する国々の中の一国として「国際ルールを破って対抗や競争に走るようになる」(FT)とはこのことだと思います。すでに、中国の外交に節操はないと言えますが、パキスタンで、無差別テロを生み出しているのはアメリカの無差別空爆でもあります。このスパイラルをどこかで断ち切る勇気を持つのはいったい誰なのか、誰かに答えを出してもらいたいです。
ローマ法王ベネディクト16世はクリスマスイブの24日、バチカンのサンピエトロ大聖堂で行った恒例の深夜ミサの祈り(参照)も届かず、24日と25日の両日に起きた戦闘では多くの犠牲者を出してしまったのです。
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