アフリカ・スーダン南部独立を問う住民投票は行われるのか
アフリカ・スーダン南部独立を問う住民投票が1月9日に予定されている中、投票実務を担う住民投票管理委員会が「投票の先延ばし」案を示唆したため、これに南部の独立推進派が猛反発をしているという現況になっているそうです。いつものことですが、この状況を報じているのは今のところ毎日新聞のみで、日本の他紙は報じていません。中国がスーダンに武器供与していることを突くことにならないよう、良く言えば、日本政府に配慮しているためでしょうか。情報が少ないとは言え、選挙目前の現況としてクリップしておくことにします。
バジル政権が安定し、南部の独立がその足固めの一つとなるのが世界が願うダルフールの姿であると思いますが、なかなかそのようには進んでいないようです。投票先延ばしの経緯は次のようです(毎日)。
投票の有資格者は推計約600万人おり、投票管理委は当初、先月15日~今月1日を有権者登録期間としていた。しかし同委は先月26日、「技術的な問題の発生」を理由に登録期間を今月8日まで延長した。同日までに約300万人が登録したとみられるが、同委は登録締め切り前の2日に「投票日の3週間先延ばし」を決定するようバシル大統領に要請する意向を示唆した。
これに対し、南部の自治政府側は「独立阻止を目指す政府の投票引き延ばし」と反発。予定通り1月9日に投票を強行する構えを見せており、大統領が投票先延ばしを決定するかが焦点になっている。
中央政府は北部にその拠点を置き、国家財政の大半を生み出す南部の独立に消極的だということが潜在しているため、投票を実施することを難しくしているという見方があります。この状況下にも関わらず、日本の政府は、閣議で10日、国連平和維持活動(PKO)協力法に基づく選挙監視団の派遣を23日から順次出発させることを決定したというのです(時事ドットコム)。
アメリカを始め各国がこの選挙の実現を願って協力的な動きをする中、本当にこの選挙が実現するのか。また、このようなお膳立ての元に仮に選挙が正統に行われスーダン南部の独立が叶ったとしても、それが本当の意味での独立になるのか、いろいろな思惑が巡ります。
これまで支援してきたアメリカについては、11月10日号 Newsweek日本版では、「スーダンが問うアメリカの限界」というタイトルで問いかけられていましたが、国際支援による民主化や経済支援は、その相手国の本来の成長にはならないということを感じます。巨額の援助は新たな戦争への資金供与となりかねないこともあり、今回の投票が行われるかどうかはその判断基準にもなるのではないかと思います。そして、皮肉にも、同じアフリカのコートジボワールの南北統一のための大統領選挙は、国を二分する結果となったように、これらの国の平和を願う欧米諸国の支援ではどうにもならない問題を抱えているということを感じました(極東ブログ)。
ここまできてスーダンの投票が実現できないとなると、それは、内戦という一番望まないことに起因することだと思います。世界中から独裁者のレッテルを貼られているバジル大統領の決断は、自らの危機とも言えるのではないかと思います。
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