2010-12-03

利根川流域1都5県の知事らの八ツ場ダム負担金留保の解除問題

 今朝、八ツ場ダムの負担金を保留にしていた利根川流域1都5県の知事らが、本年度分の建設負担金と利水者負担金など約88億円の支払い留保の解除をしたということを知って、気になる点を書いておこうと思います。
 栃木地元紙による「6都県知事、八ッ場ダム負担金支払い留保を解除」(下野新聞社)の情報は、寝耳に水でした。このような重大な話が、内々の会談でまとまってしまってよいものだろうか?馬淵さん、大丈夫なの?という嫌な予感もしました。このダムの問題を整理して考えようとすると、どこまで遡れば良いやらと困惑します。考えやすく焦点を置くために、現時点で問題だと思うことをまずは先に置くことにします。
 前原誠司前国交通相は就任後、ダムの中止を宣言した事で住民の反発が露呈し、その時点で話し合いが決裂した状態のまま馬淵氏に引き継がれたのは今年の菅政権発足後の人事でした。そして、馬淵国交相は先月6日、前原前国交相の発言を事実上撤回ではないかという意味合いの表明をしました。
「私が大臣としては一切、『中止の方向性』という言葉には言及しない」と表明した(朝日新聞)。そして、ダム建設中止の方向性に反発していた一都五県が負担金を留保するまでに至ったというのがこれまでの経緯です。この直接的な原因は何か?
 これは、民主党政権に変わってから、それ以降もどんどん発言にブレが生じる政権なので、一言でこれと限定しにくいのが原因究明をさらに難しくしています。振り返って思うに、世間交代へ導いた直接的な力であった小沢さんが、「国民の生活を第一とする政治」を挙げたことが民意を集めることに繋がった点から考えると、現行はまったく正反対で、しかも当時のマニフェストの内容も何もあったものではありません。国民から詐欺師だと言われるような政党です。何故このような流れになるのか?一つには、民主党を構成する党員のお里は、松下経営塾出身者や、旧民社党系議員という経団連と同じよなことを主張するようなメンバーであることも相俟って、党内部の意見が常にまとまらないことが結果的に烏合の衆のような政党になっていると思います。理想を掲げても現実的には無理な点です。このような党内部のごたごたした背景に、八ツ場ダム問題解決に取り組む担当大臣が不在であるとしか言いようのないです。怠慢としか映らないのです。
 今回の留保解除の条件は、政府の不履行、つまりダムの中止があった場合は訴訟を含め徹底的に追求するとありますが、ということは、地方はこの件で一切損はしないということを政府が保証したかに報じられています。

 会談では6知事が連名で八ツ場ダムの早期完成を求める申し入れ書を提出。この中で来年秋までに結論を出すとされる八ツ場ダムの検証について「最大限早い時期にわれわれが納得できる結論を出すことを求める」とし、負担金の支払いは「あくまでもダム本体の建設が前提」とくぎを刺している。

 これに対し馬淵氏は「申し入れ内容を重く受け止める。検証は可能な限り前倒ししたい」と答えたという。

 これは、県民感情としても相当の申し入れだと思います。また、ここへ来てこの負担金の留保を早急に解決しなくてはならない事情として、このまま支払い留保が継続されれば1月上旬には資金が枯渇し、用地買収などの生活再建事業に支障が出る可能性がでてくるということらしい。つまり、どのような形であれ、ここで留保を解除せざるを得ない地方の事情があったということです。
 ここで、誰がこの立場であろうと、この場ではこの条件で「ダム中止を撤回」するという方向付けしかないように思いますが、このような付け焼刃的な手法では、本来の問題解決を先送りする言い訳のようになるだけだと思います。余談ですが、これは、鳩山さんが普天間基地移転問題を引っ掻き回したような状況と似てきているような気がします。この展開になったきっかけは前原さんのダム中止表明からでしたが、前原さんを腐すわけではありませんが、JALを絶対に潰さないと断言したあと、結局会社更生法による整理ということになりました。まだ、いくつかあります。一旦発言したことがどうにもならないうちに、担当大臣を変えるという人事手法もありますが、この後に続いた馬淵さんが、この問題の解決に現在当たっているかといえばそうではないと思います。最近、不信任決議案を野党に可決され、その件では忙しかったと思います。
  政治家は、国民の生活を良くするために働く人達です。このことは小沢さんの言葉を借りるまでもなく、政治家が政治家になるために国民に約束したことです。こんなことは、今更言うことでもありませんが、ではこのダムの問題では、関係住民の同意がなくてはどちらの方向にも決まらないはずだとうのに、その話し合いもない状態です。政府は住民に、中止や続行の両方で起こりうるデメリットに対する回避策や対応策、またはそれ以上に生活の確保となるような案を提示することで話し合いの場を設けることもしていません。
 馬淵氏の付け焼刃的な対応措置は、この先、次なる問題を引き起こしはしないかと、そのことが気になります。菅総理は、「何らかの前進があったことは良かった」と述べた(日経)。とコメントされたそうです。
 「何らかの前進」て、あまりにも抽象的な表現でさっぱり分りません。いずれにせよ、この支払いのつけは、国民に税金として跳ね返る問題であると言うことだけははっきりしているので、これを「前進」とはあまり思えません。

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