2010-12-28

フィナンシャルタイムズが取り上げた中国の風刺メール-不平等な中国社会

 気になる中東情勢に的を当てて見ていった結果、中国の関わりが気になるところです。調べているうちに、中国の物価高が相当の勢いであることに政府はてんやわんやしているといった状態であることが分り、今後の中国外交を見る点でも中国国内の経済が深く関係してくると思われるため、その状況を押さえておくことにします。
 中国独自の政治・経済による急成長に世界が注目しているのはもちろん、日本もその成長を上手くコントロール下に置いて欲しいと願っているはずです。この急成長による物価上昇は、アメリカの緩和については、極東ブログ「米国金融緩和がもたらすヌルい戦争」(参照)で詳しく解説していますが、アメリカが選択した血を流さない外交として二度にわたる量的緩和政策(QE=Quantitative Easing)を行ったことで、中国へのドル流入の影響が原因だとされているようです。しかし、異常な黒字の状態で元を売りドルを買う市場介入という政策の結果だと思うので、中国政策が今後どのような対応をするか世界の注目を集めていると思います。
 中国の今の状態について毎日では危機感を持って報じています(参照)。

 中国は、輸出振興で巨額の経常黒字を計上する一方で、輸出減少に直結しかねない人民元相場の上昇を防ぐため元売り・ドル買いの市場介入を加速。このため、元が市場にあふれ購買力が増し物価が上昇、金融引き締め強化による過剰流動性の解消が急務となっていた。半面、引き締めが行き過ぎれば企業活動などに悪影響が出て、景気が失速する恐れもある。失業率上昇などが社会不安に発展すれば一党独裁の中国共産党に対する不満が爆発しかねず、経済成長を大きく減速させるわけにはいかない。
 中国経済は景気過熱を防ぎながら、成長も持続させなければならないという重大な局面に立つ。同国政府は今後、経済動向を見極めながら、さらなる利上げや預金準備率引き上げを慎重に進めることになりそうだ。

 中国国民の不満のほどはどうかと思い調べて見ると、フィナンシャルタイムズの「風刺メールが浮き彫りにする中国の不平等社会」で取り上げている市民の風刺メールの例が目に止まりました(参照)。

 異様に高い住宅価格に対して北京市民が抱く怒りをうまく捉え、農民や泥棒、売春婦が家を買うのにどれほど時間がかかるか計算した皮肉たっぷりの電子メールが中国のサイバースペースで蔓延している。

 売春婦は合計1万人の顧客をもてなす必要があるという。18歳から46歳まで1日たりとも休まず、毎晩1人顧客を取るマラソン帳場をこなさないといけない計算だ。泥棒が家を買うお金を見つけるためには、2500件の盗みを働く必要があるという。

「帝王切開手術には5万元かかるから、生まれてくる余裕がない。学校に通うには3万元以上かかるから、勉強するだけの余裕もない。住まいは1平方メートル当たり2万元以上するから、どこにも暮らせない。医薬品収益は少なくとも10倍に上るから、病気になる余裕もない。火葬費は3万元以上するから、死ぬこともままならない」という内容だ。

 つまり、今働き盛りの成人が一生働いて家を一軒手に入れる頃は寿命も尽きていると言いたいのでしょう。日本でもこの手の試算はよく使われます。
 日本の急成長と比較すると、例えば、バブル崩壊前に高い家を購入し、その返済に25年ローンを組み、いつになったら楽な生活がやってくるのかと不安をたっぷり抱えながらカウントダウンしている家庭もあるでしょう。また、バブル崩壊後、家の値段が安価になってから買った人はもっと悲惨で、買った途端に日本経済はデフレ不況となり、毎月のローン返済から始まってボーナス払いも困難になり、家を手放した人が増大しました。目下、家はない、仕事もない、収入の道が閉ざされても政府や市町村の支援は届かず、NPO法人の活躍がニュースで流れると少しほっとする年の瀬を迎えています。不況と好景気でいつも取り上げられて来た「家」は、私達にとって安住を意味するからなのか、ある意味バロメーターとなってきました。
 26日毎日新聞が伝えている中国の温家宝首相の声明は、早い対応と言えますが、やはり経済立て直しの照準は住宅価格に絞られているようです(参照)。

「私の任期中に住宅価格を必ず合理的な水準にする」とし、13年の任期終了までに住宅価格の高騰を抑制する決意を表明した。

 また、最近の物価高騰で「中低所得者の生活はいっそう困難になっている」と指摘。今回の追加利上げや預金準備率(中央銀行が金融機関から強制的に預かる準備金の割合)引き上げなどで「物価を合理的な水準にすることができる」と強調した。

 住宅価格をめぐっては、中国人民銀行の最近の市民調査で75.5%が「高すぎる」と回答するなど不満が高まっている。(北京・共同)

 昨日もテレビで中国の貧富の差を報じていましたが、物価高の折、子どもを中学より上の学校へやれない家庭の貧困生活をみて、新聞の文字からの想像よりはるかに貧しさを浮き彫りにしていました。
 中国が日本を追い越すのに30年掛かると言われた当時の日本はインフレで、経済成長を遂げている勢いの良い時期でした。当時に推測されていた30年を上回り、とうとう中国に追い越されてしまった日本から見える中国のこれから先は、もっと速いスピードで日本の今のような状況に陥るかもしれません。これは、中国で水準の低い生活をしている人々は、良い経済状況も見ずに悪い方へと向かう事を示しています。風刺メールは大げさでもなく、本当に痛いところなのです。
 日本の今年の漢字は「暑」でしたが、中国では「漲」だったそうです。訓読みでは「みなぎる」ですが、水が張り詰めると意味を持つ漢字です。丁度、水滴が丸く張り詰めて今にも弾けそうな、そんな中国経済を言い表している漢字です。

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