2010-12-29

ロシアの元石油王ホドルコフスキー被告の裁判から見るロシアの政治と社会体質

  この裁判の背景には、ロシア・プーチン首相の政敵として2003年に脱税などの疑いで逮捕され、2005年に有罪判決を受け、現在8年の懲役刑に服役中投獄されているかつての大富豪ミハイル・ホドルコフスキー被告の再度の裁判の判決が有罪と出たことについて、メドベージェフ大統領の司法改革姿勢が問われていることが注目すべき点だと思います。
 ボドルコフスキー被告は、逮捕前はロシア最大手の石油会社ユコスの社長であった当時、政権に取り入ったオリガルヒ(新興財閥)の代表でもあり、プーチン首相と対立して投獄されて以来、リベラル派を代表する殉教者へ変身したといわれている人物です。マネーロンダリングなどの罪で追起訴され、27日有罪が認定されたため刑期が延長されることになったことが背景です。
 2012年の大統領選にプーチン氏が返り咲きを狙うかに関心が集まっているロシアでは、メドベージェフ大統領の推進する法の統治の進展に疑念がもたれる結果となったようです。
 この裁判は、欧米からも関心が寄せられ、各国からの批判の声が強いようです。

クリントン米国務長官が「政治的意思が影を落とす法執行に深刻な疑問を抱く」との声明を出した(産経ニュース2010・12・28

ギブズ米大統領報道官は27日、有罪認定を受け「法の乱用があるようだ」とロシア側を非難する声明を発表していた(日経2010・12・28)。

ドイツのウェスターウェレ外相も「(ロシアの)近代化の後退を示している」と声明で述べる(産経ニュース2010・12・28

また欧州連合(EU)のアシュトン外務・安全保障上級代表(EU外相)は声明で、EUは裁判の行方を注視していたとし、「ロシアが人権、および法の統治に関する国際的な確約を順守することを期待している」との考えを示した(朝日2010・12・27

 これに対してロシアの検察側は、

 ホドルコフスキー元社長が270億ドル相当の石油をユコス子会社から横領し、資金を洗浄したと主張。新たに6年の懲役刑が課された場合、2012年の大統領選で選出される次期大統領の任期終了真近の2017年末まで服役することになる(ロイター 2010・12・27 )。

 この裁判について世界の主要国の見方はほとんど批判的で、この背景には、旧ソ連体制から引き継ぐ政治や社会体質が根強く残っているのだと思います。現在のロシア連邦になったのは1991年旧ソ連のゴルバチョフ政権後で、崩壊前は、ソビエト連邦共産党の一党独裁国家でした。1991年8月20日の新連邦条約締結に向けて準備が進む中、これに反対するソ連超共産党中央委員会メンバーによって前日にクーデターが起こったのですが、ゴルバチョフ氏を軟禁してこれに抵抗した改革派に押され、失敗に終わったという経緯があります。この時、アメリカ、日本、フランス、イギリスなどの主要国がこのクーデターを支持しなかったことにより、共産党の一党独裁政治が崩壊し、改革派による建国が始まりました。
 今回の裁判は、プーチン首相の旧ソ連政府を思わせる強権的な手法にメドベージェフ大統領の司法改革がどこまで反映されるのか、ロシア司法制度の真価を問う裁判であり、各国が注目するのはこの点だと思います。
 また、ロシア国内では、

 野党勢力のカシヤノフ元首相やネムツォフ元第1副首相らは同日、「裁判所は現政権の命令を実行した。わが国の政治・経済の将来に禍根を残す」との声明を発表。人権活動家らも「落胆した」と地元メディアに語り、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルのロシア支部は「最高裁の取り消しを期待する」と述べた(朝日2010・12・28

 日本のメディアでは報じていな情報として、裁判の公正性が気になります。また、この裁判を世界がどう見ているのか、今後、各国がどのように報じるのか注意を向けておきたいと思います。

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