2010-12-15

アメリカのようになりたくない-日本の医療制度改革

 11月の中間選挙で敗北し、文字通りねじれた政権運営を担うことになったオバマ大統領です。その実績とも思われた医療保険制度の法案成立後にもかかわらず、「違憲」との判決が下ったようです。これには、私の常識観が驚きました。アメリカで言われている自由と平等とは何?と思わずわが国のことは棚に上げっ放しで他国の心配などしているばあいかよ、と思いました。何処の政治も経済も今や大変なことになっているものだとしみじみ思いました。
 アメリカは州ごとに法律が違うことは日本でも知られている通りですが、病気や怪我で医者にかかる権利は平等にあっても、アメリカ社会では金持ちしか医者にかかれない現実に、国家がそれを制度化し、貧困者でも保険加入できるよう補助しようとした法案です。が、何が違憲となるほどの問題なのか。非加入者は違反とみなし、罰金を課すことだったようです。それこそが、自由を拘束するということでしょうか。
 この法案の争点に関して、産経ニュースは以下のように報じています(参照)。

 バージニア州の連邦地裁は13日、オバマ政権の最重要課題として今年3月に成立した医療保険改革法について、国民に保険加入を義務づけた条項が合衆国憲法に違反するという判断を下した。

 連邦地裁は、国民の医療保険加入を義務化し、非加入者は罰金を支払うとする「個人強制保険条項」は、「憲法が規定する議会の権限の範囲を超える」と判断した。憲法は、議会に「州間の商取引」を規制する権限を与えているが、その権限を超えるという。そのうえで連邦地裁は、強制条項をめぐる論争が「参加を選択する個人の権利」の問題との見解を示した。

 日本や欧州では国民皆保険が当たり前で、保険証は、各家庭が加入する保険機関から支給品のように配られていますから、これさえあれば安心だと依存しているようなところもあります。日本では、まさかにこの保険制度がなくなるとは考えにくいことですが、国家と個人の関係や個人の自由に関する考え方は、アメリカ独特の考え方から成り立っていると思います。
 さて、この問題の本質を考え出すと、人の命の話から権利の問題まで引っ張り出してこなくては中途半端です。私の手には負えない問題であることと、私個人が訴えてもどうにもならないので政府に任せるしかないのですが、この気持ちはアメリカ国民にしても同様である筈です。
 オバマ政権にとってはこの改革は「オバマ改革」としてその根幹とも言われていますが、アメリカの20以上の州が提訴しているなかで、バージニア州は始めてとは言え、この違憲判決の影響は大幅な見直しや改革案の撤廃問題へと発展するのではないかと懸念されています。正に、共和党が勢いづく、よいきっかけともなると思います。
 日本は、来年の通常国会を見据えて、高齢者医療制度改革案でつまずかないよう大変苦労しているようです。というのも、2013年導入を目指す厚生労働省の新制度案に盛り込まれた70~74歳の窓口負担2割引き上げへの負担増は、民主党の公約に掲げた一割維持とは違うためです。来年の統一地方選挙への影響を懸念しているためだと思います(産経ニュース)。

 提言では、70~74歳の窓口負担について、昨年の衆院選で掲げた民主党の「政策INDEX2009」で1割維持としていることを念頭に「党公約を反映すべき」と指摘。低所得者を対象とした保険料軽減措置(最大9割)を段階的に縮小する案に対しても「慎重な検討を求める」とした。

 負担増を見送るために必要な財源については「税制の抜本改革を踏まえた公費負担割合の引き上げ」を挙げ、消費税の税率引き上げを含む税制改正で捻出(ねんしゅつ)するよう求めた。また、新成長戦略の実行による増収分を充てるべきとの考え方も盛り込んだ。

 直ぐに政局の問題にしてしまうのは何ともやるせないのですが、後にも先にも結局は国民の負担なのだと諦めていますし、党公約云々したところで今の政府への支持はそれくらいでは挽回できるものではありません。ただ、アメリカのようにはなって欲しくないです。
 日本の医療制度から見るとアメリカの保険制度は、人の選択の自由を尊重するあまり格差社会で生まれた貧困者の選択肢がないのが実情です。これは、誰もが平等に選択肢の自由を認められてはいないと思います。何を平等と定義するのか?と問われれば、誰しも健康に生きることを望むことに不平等なことなどないはずだと言いたくなります。日本にも貧困はあり、大変生きにくい経済状態ですが、高齢者に限らず誰しも充分な医療を受けられるような社会であってほしいです。そのために、高額所得者から高い税率で税金を徴収することにためらう方がおかしいと思います。

追記: この記事をエントリーしてから気づいた読売社説が、増税に関して触れているので追記します。

➠個人課税強化 高所得層狙い撃ちは筋が違う12月15日付・読売社説

今回の控除見直しは、子ども手当増額など、ばらまき政策のツケを高所得層に押し付けた形で、税制の抜本改革につながるものではない。公平な税負担を実現するためにも、消費税率引き上げなどに早急に取り組むべきであろう。

 私の感覚とは真逆の話を増税に関して触れています。論点がバラけていて、増税の何に意見したいのかよく掴めませんが、おそらく最後の部分が一番言いたいことなのかとは思います。なぜ読売が、しかも社説で高額所得者の加勢をするのか?とても不思議。また、この場合の「平等」の定義とは何でしょう?はっきり言えることは、均一であることは、平等とは思わない私です。

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