2010-11-05

極東ブログ「北方領土問題を巡るクローリー米国務次官補発言について」で示唆された日本の外交についての補足

 11月3日の極東ブログ「北方領土問題を巡るクローリー米国務次官補発言について」(参照)の読みで、私としては非常に気がかりな点を昨日のエントリーで取り上げたのですが、充分に咀嚼できていないこととして気になっていました(参照)。昨日、Twitterでfinalventさんがクリップされた記事で、その意図は分りませんが、私の気がかりを紐解く鍵となったので、その展開を補足的に書いておきます。
 まず、一番気がかりであったのは、極東ブログの分析による日本外交についてです。

日米安保条約の第五条はあくまで同盟国の施政権に対する防衛の軍事同盟であって、施政権外には適用されない。つまり、これは実効支配に限定されると見てよい
 仮にの話だが、北方領土を自国領土だから防衛にあたるとして日本が武力行使に踏み切った場合、米国は静観するということだ。また同様に仮の話だが、尖閣諸島の実効支配を日本が揺るがし、そのことを自国の施政権への侵害であると見なさない民主党の柳腰外交が続けば、日米安保適用外となる可能性もあるのだろう。
 米国としては北方領土に関する日露問題は太平洋戦争を終結させるという意味でも、また国連における米露の建前からも、日露の平和条約の締結が先行すると見てよく、であれば、やはり1956年の日ソ共同宣言がそのステップになるしかないのだろう。

 私の疑問は二つあります。一つは、北方領土に関して、米国の手助けなしにロシアとどのように交渉を進めるのか?二つ目は、中国の執拗なまでの尖閣諸島占有の主張に対して、日本政府は今のままで守り通せるのか?という疑問です。疑問は疑問なのですが、心情的には不安に怯えているというのが正直なところです。ですから、単に記事を読んで解釈できればよいというのではなく、日本はこれからどうなるのかを考えたいのです。
 昨日Twitterでクリップした日本のロシア外交について考えられた記事についてです。結論から言うと、この政府は何もしないのではないかということです。これについては最も早くfinalventさんが示唆していますが、その裏づけとなる同記事が以下です。

➠北方領土:「露のシグナル見逃す」 東郷元欧州局長が分析(毎日jp)

 東郷氏は「交渉で領土を取り返す以上、日本政府はロシア側のシグナルを外してはならなかったのに、『やる気がない』と彼らが受け取るメッセージを昨年出してしまい、(現在の菅政権に至っても)修復の兆しはない」と最近の歴代政権を批判した。

鈴木宗男前衆院議員との太いパイプで領土問題に取り組んだが北方四島支援事業などに鈴木氏が関与した問題に絡み、駐オランダ大使を最後に免職となった。今年3月には、衆院外務委員会の参考人質疑に出席、日米核密約に関する内幕を暴露して話題を呼んだ。 

 東郷氏の関わりや経歴から見て、信憑性の高い見解だと思います。また、「鈴木宗男前衆院議員との太いパイプ」とあるように、日本では対ロ政策を考える時、この人物なくしてどうやって考えるのか、と言うほど他の政治家は北方領土問題に関わりが薄いです。かと言って、宗男さんがどれ程精通している方かは存じ上げません。
 ただ、橋本行政改革の際、スーパーエリート官僚の不正が発覚したのを歯切りに、「ロシアンスクール」にも白羽の矢が立ち、結局、鈴木宗男氏との関わりから日本の対ロ政策が壟断されたという経緯があります。この話は、政治経済情報誌『インサイドライン』編集長・ジャーナリスト歳川隆雄氏のインタビュー記事で、内側のごたごたの様子が詳しく書いてあります(参照)。
 さて、東郷氏の見解からこの政府をみると、誰が、またはどのように対ロ政策を推進できるのか、と考えてもその人脈すらないのが現状です。菅首相にカンしては、ロシアの大統領が北方領土入りしたのをメディアで知ったなどと報じられる始末です。
 二点目の対中に関して、尖閣諸島は守り通せるのかに関してですが、これは「柳腰外交」では心もとないというのが不安材料になっています。
 アメリカのクリントン氏の声明によって日米安保条約第五条より、日本が直接的に施政下に置いている限りでは安全内ということです。これに少しでもブレが生じると中国は即行で占有してしまうと思います。中国の環球時報の社説記事を引用して報じている産経ニュース「領土での強硬一辺倒を戒め 米国に利益と中国紙社説」(参照)によると、

 また尖閣諸島は日本に実効支配されており、短期的に中国の支配下に置くことが難しい現実を「中国人は受け入れるべきだ」とし、スローガンを叫ぶのではなく、戦略的な解決方法を探る必要性を強調している。(共同)

 このように中国人への示唆が含まれ、「戦略的な解決方法を探る必要性」を伝えています。ここも読みが難しかったです。つまり、「米国と争うな」と読めませんか?と私が問われた部分なのです。「日本を上手に攻めろ」ではないのです。
 中国は、「日本が実効支配している」と、きちんと認識しているということがまず文中にあリます。これが日米安保条約の第五条の効力の及ぶところです。ここが重要です。尖閣諸島は日本の領土だと主張するよりも、鳩山さんあたりが別荘でも建てて、誰か住まわせるともっと良いかもしれません。柳腰外交ができるとしたら、そういうことはできると思います。
 日本が、日本の領土だと主張する尖閣諸島と北方領土は、たとえそうであっても中味が違うのです。この違いを踏まえて、日本の政府はどう対応しようとしているのか伝わってこないので私は不安でした。今回のクリップ記事が疑問点を埋めるような形でつながった点は大きかったです。
 また、この二点に関する記事読みで、昨日Twitterでは、finalventさんの時間をかなり割いてもらい、やっとここまで漕ぎ着けました。深く感謝いたします。

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