2010-11-12

極東ブログ「尖閣ビデオの流出者の証言にはだまし絵のような印象がある」から考えたこと

 「だまし絵」のような事件とはよく言い当てたものだと、この尖閣ビデオ問題では、だらだらとあらぬ方向へ向かいつつあるような気がします。その方向を見極める手立てとして二つのことが挙がります。一つには"犯人"特定に時間がかかっている背景がはっきりしない点。もう一つは、政府の犯人探しの暴走の先に何があるのかという疑問です。
 現在事情聴取を受けている海上保安官(43歳男性)が、自らの告白によって任意の事情聴取を受けているにもかかわらず、"犯人"確定に至らないのことが何とも奇怪です。事件の確信であるビデオ持ち出しの経緯だけを明かさないまま今に至っているというのは、この先、どのような方向性があるというのか、わからないところです。
 極東ブログが遂に口を開きました(参照)。逮捕でもないのに、まるで逮捕者としての扱いを公然としている異常な事態に対して疑問を投げかけているところから始まります。この話を辿ってみたいと思います。要約すると以下の点がその疑問点として挙がっています。

  1. 罪状が決まってもいない上、被疑者とするにも証拠がなく、言わば「無罪」であるにもかかわらず家宅捜索へ至っている。
  2.  事情聴取から流出を裏付ける情報が得られない。
  3.  家宅捜索するに足る根拠がはっきりしない(証拠隠滅の可能性を問うほどの罪状が明らかでない)。
  4. この海上保安官は犯人ではない。
  5. 逮捕を避けているとしか見えないこの対応の意図するもの。
  6. 海上保安庁本庁内で同ビデオが機密扱いではなく、公然と閲覧されていた可能性。 
  7. 当初検察庁に海保から提出されたビデオは「研修用」として作成されたビデオだと確認されれば、馬淵澄夫国土交通相が8日、これを否定したことは出鱈目になる。 

 私も、このような疑問に注目していますが、ここで思考が止まるのです。極東ブログの考察では、保安官は、海保の実態の暴露を目論んだのではないかとしています。

 同保安官の名乗り出の目的は、"犯人"であることの証明ではなく、海上保安庁本庁内の実態の暴露ではないだろうかと考えてみる。彼は現場の状況を知っていた。これならこの場の誰でも流出可能だと思っていたところ実際に流出した。であれば、そこで自分が"犯人"だと名乗りでたら、この実態が暴露されるだろう。実際に自分がやっていないのだから足が付くはずもない……。

 この仮説は、現状に沿ったもっともな仮説で、これが本当なら目から鱗です。本人は、犯人を疑われても痛くも痒くもないのです。ただし、公務員には守秘義務という職務規定があり、海保職員は国家公務員なので、国家公務員法 第100条 第1項 に当たります。

「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。」と定められている。違反者は最高1年の懲役又は最高3万円の罰金に処せられる。

 これを覚悟で、承知の上の公開であったとすると、証拠としてのビデオの存在が確認されれば、彼は海保という職場の実態と本来公開されるべき衝突時の様子を国民に知らせた、という目的を達成できるのです。証拠であるビデオが検察の手によって捜索され、それが出てくるのを一番待っているのは彼なのかもしれないのです。これは私の夢想で、産経の記者と同じ思考回路を辿っています。
 ところが、指摘されている通り、もし、彼が逮捕を覚悟でこのようなヒーローになりたいのであれば、この話を検察に話さないのは逆におかしいです。堂々と、暴露するための出頭でよいはずです。
 気がかりなのは、この人物の名乗り出以前に接触のあった読売新聞記者からの当初の誘いが、ビデオ投稿者(sengoku38と名乗る者)に会ってみたいか、だったそうです。他にこの事件に関与する者がいて、その人物と保安官が精通していれば、そのような誘いには乗る必要はないと考えます。この記者が何故そのような誘い方をしたのかは分りませんが、その方法で誘導する必要があったのでしょうか。このやり取りがもう少し知りたい部分です。
 保安官が流出経路を知る本人ではないとすると、検察の捜索によって早急に発見されるのが一番の解決の道のように思えてきました。
 昨晩のMSN産経の扱いで面白い記事が流れていました(参照)。

➠【海保職員「流出」】尖閣ビデオ庁内ネットで拡散か パスワード怠る?

 石垣海保職員からパスワードを聞いた神戸海保職員がアクセスし、パスワードを入力しデータをコピー。その後、データの入ったファイルは削除する-という具合だが、「ファイルにパスワードを設定せず、どの識別番号のパソコンからでも中身を取り出せるという状態にしておくこともできた」(海保関係者)。
 石垣海保の捜査関係者らが事件直後、面倒なパスワードなどの手続きをせずに映像をやりとりし、一定期間削除せずパソコン内に残したまま「公開」していたり、刑事資料という意識の薄かった捜査関係者が、事件と直接関係ない職員に映像を送信した可能性もある。

 捜索すればするほど海保の内情が明るみに出てきて、これを国民は何とみるかが気になりますが、仙谷さんにとっては「国家機密扱いビデオ」の流出ですから、怒りは既に心頭に達しています。
 と、そこに昨夜Twitterで流れたZAKZAKクリップ記事。これが、アイタタタ(参照)。

➠こんなにある無責任内閣ぶり 誰か辞めたら「辞任ドミノ」に

 尖閣ビデオ流出事件で、仙谷由人官房長官は海上保安庁の鈴木久泰長官の更迭は示唆したが、馬淵澄夫国土交通相や自身の責任は回避する姿勢を明確にしている。絵に描いたような「トカゲのしっぽ切り」だが、サラリーマンの世界なら、手柄があれば自分のもの、失敗すれば部下に責任を押しつける無責任上司は最も忌み嫌われる。民主党政権は、無責任体質が染みついているのか。

 「本来、公開すべきものを出さなかったから、こういう結果を招いた。結果責任は大きく、担当閣僚や官房長官の罪は非常に重い」(渡辺喜美・みんなの党代表)などとして、参院への馬淵氏や仙谷氏に対する問責決議案提出も含め検討している。

 民主党内でも非主流派から「内閣に総括を求める問題だ。責任をあいまいにしたまま進むことが新たな事態を起こす」(原口一博前総務相)などと厳しい意見が出ている。

 これが民意というものだと思いますが、政権交代後のこれまでの民主党の失態を個々の責任に問うのであれば、残る人は少ないです。小沢氏の秘書が逮捕されたことを歯切りに、その上司が管理責任を自らの「ココロ」に問えないという体質の問題かもしれません。辞任は、その責任の取り方ではありますが、私はそれ以前に問題があるように思います。
  因みに、自民党政権当時も同様に、首相が小刻みに変わったという経緯もあり、どちらかというと日本の現職国会議員の多くは、無責任な体質の改善を怠ってきた人達の集まりに見えるのです。それも、世代的には、戦後直後に生まれた世代です。冒頭の第二番目の「政府の犯人探しの暴走の先」の考察をするまでもなく、この世代の政治生命が残る限りは国民は我慢して、新陳代謝の末、浄化が終わるのを待つしかないように思います。そして、その政府の姿は、私が生きている内は見ることはないと思います。

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