2010-11-11

尖閣ビデオ問題-finalventの日記「没エントリー」からみえること

 この事件は結局、何を事件とするかよく分らないままですが、ビデオ投稿者が現れ、持ち出しの“犯人”と確定できない、というところで事情聴取は昨夜中断し、今日へ持ち越されたそうです。中日新聞Web版(参照)の、神戸海上保安部の保安官の取調べの状況から、これはおかしな話だと思いました。

 関係者によると、保安官は10日午前9時ごろ、勤務中の洋上で巡視艇船長に「自分が映像を流出させた」と申告。神戸港に帰港後、神戸第2合同庁舎内で捜査1課の事情聴取を受け「私がやりました。国民にこういう事実を知ってほしかった」と供述した。

 保安官は自ら映像を持ち出したことや神戸市のインターネットカフェに行ったことを認めているが、いつ、どこで入手したかについては具体的には明かさず、映像について「海保の職員なら誰でも見られる状態だった」と話している。警視庁は供述について慎重に裏付けを進めている。

 神戸のネットカフェのパソコンを使って問題のビデオを流出させた本人が、その入手状況を曖昧にしている点です。普通に考えると、曖昧にする必要性は何かマズイ事を隠蔽する意図が働いているという疑念を持ちます。しかも、ビデオは沖縄の石垣海上保安部で作成され、保管されていたものです。しかもこれは“国家の機密ビデオ”だと仙谷さんが騒ぎ立てた代物です。本当は確信犯がいて、その人物を庇い立てしているようにも思いますが、この先の真相は明らかになるのでしょうか。その量刑もかなり低くなるという話なので、何か釈然としないままです。
 今回の事件で興味深く思ったのはGoogleの当初の福岡高検に対する対応でした。顧客情報の提示を跳ね除けた点でした。極東ブログ「どういう法的根拠でグーグルは尖閣ビデオ流出記録を開示するのだろうか」(参照)の

この国は報道の自由を弾圧する中華人民共和国ではない。自由な情報を持ちうる日本国である。中国の情報弾圧に屈しなかったグーグルなのだから、中華風味の日本政府による情報弾圧があればはねのけてほしい。

 この意見に私も同調しました。昨日、令状が出た時点で情報提供に応じたとは言え、当初の姿勢は天晴れでした。この姿勢が世間に伝わっただけでも、日本の腐ったなあなあなやり取りに釘を刺したことになるとは思いました。また、犯人逮捕前とはいえ、finalventの日記では気がかりな点が挙げてあり、中でもYoutubeのサーバーの下りなどは興味深く思いました(参照)。
 ところで、この一連の騒動で浮かび上がった目玉とも言うべきは、仙谷さんの面白さが爆裂したことです。国会内で仙谷さんと菅さん(?)が二人で一枚の紙を介して話している場面で、この紙は“極秘文書”らしいのです。これを毎日新聞では「盗撮された」として9日付け読売新聞夕刊を批判したらしいのですが(参照)、極秘文書を公衆の面前(国会内会議場)で大々的に広げていること自体不謹慎です。その辺は、自分自身の不注意を省みないお方ですね。
 件のビデオも、“国家機密”の扱いならそれだけの厳重な管理下に置くべきで、「海保の職員なら誰でも見られる状態だった」ところからの漏洩なら、それは内部文書持ち出しと管理不十分を問うだけの話しではないかと、そう思うのです。憎めないのですが、このキャラにも困ったものだと思いました。
 大げさに騒いで悪戯に犯人を作り上げ、わざわざ事を大きくするという。昔、小学校でもそういう子がいました。そういう子は大概、先生に「騒ぐな」と叱られていました。

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『尖閣ビデオ』流出問題に垣間見る通信の秘密の法律・傍聴法の無力化(URLかリンクマークの参照お願いします。)

投稿: 『尖閣ビデオ』流出問題に垣間見る通信の秘密の法律・傍聴法の無力化 | 2010-11-16 02:11

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