2010-10-26

極東ブログ「米国金融緩和がもたらすヌルい戦争」について

 今回のエントリーは、私の頭の熱を少し冷却してくれたような気がします(参照)。とりわけ確たる正論を持ったわけではなく、米国連邦準備制度理事会(FRB)の金融緩和政策を試金石的に見るという視点が、私が感じている緊張をクールダウンしてくれたという意味です。
 アメリカが11月に行おうとしている第二回目の金融緩和(QE2)については、アメリカ国内の学者の中でもそれなりの観点や理由をもって賛否両論あるということです。また、注目点が、「非伝統的手段(インタゲ)」による政策であるということと、アメリカのこの試みが、これまでの日本の経済政策を採点する基準になるという点が何よりも興味深いところです。できれば国民の暮らしが好転する方を願うわけで、今とは違う政策がきっと好ましいのではないかと期待はします。これが微熱の元なのですが、直ぐには結果は出ないこととして、じっくり経過を見て行くしかないようです。
 アメリカの今回の政策は、「雇用拡大と物価安定」のためだというはっきりした目的があるので、その点だけを見れば、頑張れアメリカ、日本も続くよ!とエールを贈りたいところですが、どうも先進国がこのように進んでよいものだろうか、という疑問もあるのです。先日私が取り上げたファイナンシャル・タイムズ紙に掲載されたマイケル・ハドソン氏の視点は、今までにない視点として大変重要なことにスポットを当てているので興味深かい話でした(参照)。新興国側であるブラジル、ロシア、インド、中国、BRIC諸国などにとっては、米ドルのレートが下がると、資本規制という二次的な対策を講じることを促し、世界は二分されてしまうという懸念を示しています。これが、極東ブログの次の文脈に繋がることだと思いました。

 中国が人民元を上げないなら米国がドルを下げるということだ。以前のエントリー「日本を巻き込む米中貿易戦争の開始: 極東ブログ」(参照)で述べたが、貿易戦争をするくらいなら通貨戦争のほうがマシだろうということだ。

 そうそう、この「貿易戦争」の話は物騒でした。中国にだけ輸入税を高くするという法案が可決され、オバマ氏がサインすれば始まると思われています。いくら中国が酷くてもそこまであからさまに制裁を加えるのは如何なものかと思いました。これによって貿易戦争を起こすよりは、ドルのレートでじわりじわりと応戦する通貨戦争の方がマシといえばそうです。確かに先日、人民元は少し上がりました。
 マイケル・ハドソン氏の示唆することは、かなり大人の目線から見ている論点で、極東ブログの引用にあるカーネギー・メロン大学のメルツァー教授の意見に近いものなのだと理解しました。新興国との溝を深めないのが先進国の示すことではないかとい言われればそうなのですが、どうもアメリカにはこらえ性がないようです。つまり11月の量的緩和は決行されるようです。先週末の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、通貨の競争的な切り下げを回避する合意はあったようですが、アメリカドルがさらに安くなるとの見通しで、アジア諸国は構えていると報じています(ロイター)。余談ですが、オバマさんがサインしなくても、11月の選挙では日本と同じ「ねじれ」を起こすのではないでしょうか。
 今回のエントリーで、FRBの力が思うほど大したものじゃないという点を押さえていることが、私の頭を冷やしてくれた部分なのです。反省点は、アメリカの金融政策に注意を払うあまり、FRBの動きにばかり注目し過ぎていました。影響や結果が出るよりも先に、報じていることに賛否の意見を持ち、偏った考えを持ってしまうような嫌いもありました。
 今後の点では、近くアメリカが発表する量的緩和を中国はどのように受け止め、それが今後の日本やアジア諸国にどう影響して行くのかを注視する身構えになりました。

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