2010-10-08

極東ブログ「「オバマの戦争」でパキスタン補給路が閉鎖」まずは状況の把握

 「「オバマ戦争」がまずい局面を迎えている」という書き出しで、パキスタンで些か芳しくない情勢が起こっていることを知ることになりました(参照)。この地域の問題は、状況を読むのが非常に難しいです。作日Twitterで流れたクリップ記事「How long can US troops withstand rupture of Pakistan supply lines?」( October 6, 2010 Monitor)を読むのですが、このニュースからパキスタンで起きている情勢を掴むのは非常に難しいと感じました。
 この難しさは、英語の和訳は総合力であるし、情勢を読むというのはその文脈を読めてこそなのです。難しいのは承知で、私なりにこの問題は理解しておきたいと思っています。理由は、オバマ氏が核廃絶を公約しているということや、アメリカの中間選挙の結果によっては日本と同様に、議会とのねじれを起こす可能性があり、すなわち様々な公約がスムーズに通らなくなることが考えられ、日本は少なからずその影響を受けるからです。知らんふりはできないという感情からです。
 一番のネックは、アメリカとパキスタンの関係は微妙だということです。パキスタンのスタンスがイマイチよくわかりません。分かっていることは、アフガニスタンにおける対テロの戦いでは、アメリカと同盟国という立場であること。その一方で、パキスタンはインドからの干渉を受けまいとするため、アフガニスタンを支配すること(または、自国影響力を保持しようとすること)を目論んで内通関係があるということです。このつながりは暗黙の了解とされていて、パキスタンの三軍統合情報部(ISI)と、アフガニスタンのタリバン、ハッカーニー・ネットワーク、そしてグルバディン・へクマチアルの率いるヒズブ・イスラミ(イスラム党)とのつながりです。話はさかのぼりますが、この暗黙の了解でというのは、内部告発サイト「WikiLeaks」がアフガニスタン紛争に関連する大量の米軍機密文書を公開した時の一部です。これってアメリカにとってどういう事かと言えば、パキスタンのダブルスタンダードではないかとアメリカが怒って然りだと思うのですが、逆にパキスタンの方が強気なので話が複雑に思えます。
 ここで「パキスタン給油路が閉鎖」、というパキスタン政府の決断について、極東ブログではこの原因を端的にこう見ています。

 パキスタン政府が補給路封鎖を決断したのは、パキスタン領で実施される無人機空爆への反発である。誤爆によるパキスタン市民への被害が激しく、パキスタン政府としても反米気運が高まる内政上放置できなくなった。
 背景は現状の情報から判断しがたい点もあるが、概ねマクリスタル司令官更迭後の戦略の変化である。

 確かに、軍のトップが変わると周辺の関係者が牽制を入れたりするもので、日本の政権が民主党に交代後、中国の東シナ海、南シナ海海域での動きが変わったのと同じような状況を想像します。ですが、このパキスタンの関しては、理由はこれだけでもないような気がして、過去においてパキスタンがアメリカに対して悪感情を持つような背景はないのか?という疑問から少し調べてみました。

 79年にアフガンに侵攻した旧ソ連に対抗するため、米国はパキスタンを通じてイスラム勢力を支援。
 89年の侵攻終了でパキスタンから撤退。
 01年の米同時多発テロ後、対テロ対策でパキスタンと共闘する。

 このアメリカの関わり方は、パキスタンにとってはかなり一方的だも言えると思います。日本だったら利用されたと受け取るのではないでしょうか。パキスタンにこのような潜在意識があったとしてもおかしくはないと思います。
 昨年、オバマ政権は5年間で75億ドル(約6225億円:1$≒¥82)を非軍事支援として決定しています。今年の7月には、クリントン国務長官が5億ドル支出すると発表しました。いや、まだ、支払っていないらしい。
 極東ブログでは、ワシントン・ポスト社説の一文を見逃さずに「少し気味が悪い」として引用しているのが憎い。

オバマ政権はパキスタンと断絶してはならない。国境がからむ問題の過失に補償すべきであるが、仮にパキスタン具が動かないのであれば、米軍によって北ワジリスタンでの強固な軍事活動を主張しなければならない

ようするにパキスタンへの飴と鞭が通じなければ、力ずくで米軍とNATO軍が行動するということである。イラク戦争で見慣れた光景でもある。
 そうなるかどうかは、もうしばらくの事態の推移で決まるだろう。

75億ドルが言うところの「飴」だとして、この飴を嫌がるのなら力ずくでもというのは正にイラク戦争の風景です。が、オバマさんはそう踏み切るとは思えない私で、もう少しスマートで平和的、なおかつ、政権交代とはこういう事だというお手本になるような政策で当たってもらいたいと期待します。
 そうれはそうと、ワシントン・ポストも結構煽るんだぁ、と思ったのは私だけ?

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