韓国の中央日報が見ているチャイナマネーと今後について
昨日Twitterで拾ったクリップ記事は、13日付けの韓国中央日報紙の社説でした。思わずこのタイトルに引かれて読んでみると、日本の経済のことも透けて見えてくるようで興味深く、また、分らないこともあったので調べてみたりする昨日でした。
「押し寄せるチャイナマネー狂風」(中央日報社説2010年10月13日)
この記事が気になっている理由は、「チャイナマネー」が狂風だとしながらも、それも受け止め方次第だという示唆を含めて書いてあるからです。
つまり、世界がモンスターだと恐れているチャイナマネーに煽られるのではなく、味方につけようという話ですから前向きじゃないですか。ところが、その部分の記述があまりにも少なく、また、乏しくて情けないほどの私の知識では経済が読めないのです。それで、ついつい調べ始めというわけです。ここでは、その部分について書いておこうと思います。
まず、「チャイナマネー」は、なぜモンスターと言われて恐れられているのか?
おそらくアメリカの国債を買占め、固定金利であるために他国に対して一枚岩的な頑固さが強みとなっているからでしょうか。それと、国債を買い占める、というとてつもない資金力のため、歯が立たない相手として天敵と見なされているようです。記事の冒頭で、
すでに韓国にもチャイナマネーは流れ込んでいる。金融監督院によると、今年に入って中国投資家は2兆8710億ウォン(約2200億円)分の韓国債券を買った。韓国の株式も766億ウォン分を買い越している。巨大な外貨準備高を背景とする中国投資公司(CIC)と中国の最大年金基金の社会保障基金(SSF)が先頭に立っている。
とあるので、チャイナマネーがどのようにコントロールされて中国から流出して来るのか調べてみました。
「中国の国家ファンドの脅威とは 古森義久」(杜父魚文庫ブログ)が端的に説明しています。
中国政府がこの新しい金融モンスターとなる国家ファンドの主役たる「中国投資有限責任公司(CIC)」を設立したのは二〇〇七年九月二十九日だった。この機関の目的は中国の国家としての保有外貨をこれまでのアメリカ政府ドル建て債券への伝統的な投資を超えて、新たな方法により、多様に管理し、運営していくこととされていた。
CICは中国の中央銀行である中国人民銀行から約二千億㌦の当初資金を得て発足し、その出発点ですでに全世界でも最大規模の国家ファンドの一つとなった。
「新たな方法により」というのが気になるのですが、これは2007年の時点で、中国が外国国債の獲得を政策として本格的に始めた時点での方法で、これに特徴があります。他国が国債を買う目的とは全く違う、という点が如実で、これに苦しめられているのが実情です。では、このCICは何を目的にしているのか?
各国の一般投資ファンドがみな商業的な原理に基づき、利益や蓄財を求めて機能するのとは異なり、中国の国家ファンドは国家の対外戦略そのものの政治や外交、安全保障などの目的のための機能を第一義とする。だから商業的に損失を覚悟してでも巨額の資金が外国の企業や政府機関に投入されることもある。狙いは単なる金融面での利得ではないのだ。
損しても外国国債を買うとは、驚きでした。しかも、中国政府がバックというか、ほとんど国営のようなものです。政策において運営されているというCICが、アメリカの国債をガッツリ買い込んだ目的は何?と、疑問がどんどん出てきて調べるのが面白くなるのですが、道を外すのでこの辺で戻ります。
韓国がチャイニーズマネーを味方につけるか敵につけるか、でしたね。同紙は、次のようにこの社説を結んでます。
お金には荷札がないだけに、あえてチャイナマネーを差別する理由はない。外国為替市場の完全自由化で韓国がチャイナマネーの流出入を防ぐ手段もない。しかしチャイナマネーの空襲はまだ始まったばかりであり、今後その規模がさらに増えるのは間違いない。韓国にとってチャイナマネーは諸刃の剣だ。うまく利用すれば雇用が増え、景気浮揚に役立つ。
このように中央日報は見ています。「雇用が増え、景気浮揚に役立つ」、そのうまい利用方法は何でしょう。人民元を味方につける話は今まで実例がないからか、ぴんと来ません。単純に考えると、チャイニーズマネーとは言え外貨獲得なのですから、循環させて景気回復の脇役的になればよいのだと思います。流入してきた外貨をどんどん使って景気回復のきっかけになるかに思います。
しかし、日本はデフレスパイラルの中でお金が動かないで喘いでいるのです、菅さんはお金を使えと言いますが、先の見えない日本経済でどうやって出せると言うのですか?プールしているお金が無い人もいます。ここで円高は進み、デフレはデフレのままです。
ドル安に対する対応は、日、中、韓、それぞれ違うとは思いますが、韓国にも難しい問題があるとは言え、日本の芝生は青く見えるようでもあります。先日の日銀の「包括的緩和」のことにも触れています(参照)。
しかし韓日中の対応方式は違う。中国は人民元の価値がさらに上がらないよう事実上固定している。日本は先月15日、6年6カ月ぶりに市場に介入し、円高の勢いを一時的に阻止した。
一時的に阻止したのは何時だっけ?というくらいあっという間の出来事でした。今はさらに円高が進んで80円代です。これを阻止できるのは量的緩和しかないと思っていますが、それと同時に、流入した外貨をどうするかが当面の課題でありチャンスのようです。
今後影響を受けるであろう韓国の様子も注視して行こうと思いました。
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