2010-10-09

劉暁波氏のノーベル平和賞受賞で、日本の外交が問われることについて

 ノーベル賞受賞者の発表が相次いています。一昨日は、日本人でアメリカにその研究拠点を置く根岸氏と、同じ研究でアメリカの故ハーバート・ブラウン教授と同門である鈴木氏のノーベル化学賞が決まり、日本は沸き上がっています。また、昨日は、中国の作家であり詩人である劉暁波氏がノーベル平和賞の受賞が決まりました。こんなことを言うのも何ですが、化学賞を受賞したお二人の日本人の研究拠点はアメリカです。アメリカの投資によりその研究が極められ認められたので、日本が賞賛すべきは、アメリカの研究者に対する寛容なその姿勢だと思います。これはアメリカが受賞したようなものです。
 また、中国の劉暁波の受賞は、中国の一党独裁政治を批判し、民主化を訴えて公開した「○八憲章」の共同起草者で、政府を批判する政治犯ということで服役中です。問題は、この中国の劉暁波氏の受賞です。
 この受賞と日本の政治の関係が大きな問題で、民主党政治が大いに問われる問題を含んでいます。と、私が見立てているわけではなく、極東ブログが長きに渡って中国という国を追い、これまでに蓄積してきた情報を元にそう感じているのです。
 この件に触れる前に、昨日この受賞の発表直後、finalvent氏が自らが「「〇八憲章」主要起草者、劉暁波氏の初公判の文脈: 極東ブログ」(参照①)をTwitterに紹介された時、この記事を読んで二つの事を思っていました。
 一つは、中国の民主化を訴える運動家のイデオロギーに加担する自分と、もう一つは、彼のその運動や現在投獄されている背景である中国の権力闘争への関心です。二番目は、finalvent氏に

いやこれも複眼的に考えた方がよいのですよ。中国としては劉暁波を国外追放したかったのです。また、この問題、ブログにも書いたけど、民主党・小沢さんは軽率でした。

 と、いう意見をもらってからはっと我に返ったというのが正直なところで、ここで先の記事を再読したのでした。また、「「中国の民主化や人権問題」というように中国を特定しないのが民主化や人権問題の重要点」という指摘ももらって、どうしても運動家の受賞にデオロギーのような血が騒ぐようで、これでは冷静に客観視できなくなるということを自覚しました。
 さて、中国と日本の政治問題ですが、尖閣諸島沖の問題はやっと沈下しつつあるとは言え、あの問題が政治的解決にならなかったのは非常に残念に思いました。日本の検察が尻拭いをしたという形で記者会見されましたが、結末を何故そうしたかな?管さん、と伺いたくなったほどでした。政府があの時点で見解を表明できなかったのは、中国に日本が及び腰であると悟らせただけではなく、国民からの支持も得られない結果に終わったのです。成功だったとは言い難いものが残ります。ところが、政府が政治的解決ができなかった本当の理由との関係は兎も角、中国をヘタに刺激できない理由が中国にもあるのです。この辺りは、極東ブログの「尖閣沖衝突事件の背景にポスト胡錦濤時代の権力闘争があるのでは」(参照)でその詳細を詳しく知ることができます。また、ここが重要で、ノーベル平和賞受賞者の劉暁波氏が逮捕された当時の中国の時事問題と重なるのです。
 それは、昨年、習近平国家副主席訪日と、それに伴う天皇との会見を実現させた立役者(失敗者)である小沢氏が民主党の対中政治の道を踏み外す結果となったという見立てが正に的中で、現時点の日本の対中政策が如何に無策かを問われる結果につながっているのです。

 問題は私の見立ての正否というよりも、「習副主席の次期最高指導者としての「身分」をめぐる同国指導部内の意見対立」の有無であり、有るというなら、民主党政権の対応がそれにどうかかわったか、かかわっていくかについては、日本国側の今後の問題になる。そしてその点で、その後の文脈が重要になってきた。

 この時点で既に民主党が中国との関わりを懸念するニュアンスを含んでいいることが分かります。が、はっきり言って、日本政府は無策なのです。

 日本としては、国際的に非難を浴びるこのような中国外交に天皇を駆り出してまで日本が同意しているのではないことは、中国に直接的に対抗するという稚拙な手をとらずしても、アジア諸国やその他の国際社会にアピールしていく必要があり、つまりは民主党の課題でもある。

 小沢氏は、天皇を政治利用したという批判を浴び、スタンドプレーというレッテルも貼られ、あまり良い結果を残さなかったため失策だったと言えますが、政府も中国を読めていない迂闊さなのだと思います。
 また、劉暁波氏の逮捕は、オバマ氏の訪中直後に行われたタイミングやその理由に関しても、民主化を訴えて政府批判をする運動を沈下させるためであったのは言うまでもなく、参照①では詳しくその点にも触れています。
 この受賞で中国が怪訝な思いを顕にしているというのは納得できることですが、両手を挙げて劉暁波氏の受賞を日本が喜ぶというのは、これがまた微妙です。既に中国はノルウエーに矛先を向け始めています(「中国 ノルウェー大使呼び抗議」NHKニュース)が、この中国の勢いをどう見るかという点でNEWSWEEK日本語版2010・10・13日号の「中国はなぜ横暴か」が大変興味深かいです。副題はこのようにあります。

 

中国「平和的台頭」を捨て去り利益を脅かす者には牙をむく「新・超大国」と世界の新しい関係

 日本政府はヘタに動かない方がよいと同時に、中国に対する日本の政治姿勢が今後さらに問われ、最重要課題になってくると感じました。

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コメント

はじめまして。いつも拝見しております。
根岸氏、鈴木氏のノーベル賞受賞に、
母校の子供たちが、「僕たちの先輩が...」と喜んでいる状況で、「アメリカが受賞したようなもの」とのお言葉を目にして悲しくなりました。

投稿: kei | 2010-10-09 22:26

keiさん、鈴木氏と根岸氏の生涯の背景には様々な支えや応援者の方がいらっしゃると思います。関係者でない私も、日本国民として喜んでいるのは勿論です。が、研究拠点に言及すればという但し書きがあるように、その点についてのみ今回の受賞を思うと、アメリカの力なくして頂けた賞だとは思えません。
その点についてはどう思われますか?

投稿: ゴッドマー | 2010-10-10 05:44

そんなめんどうなこと考えないで素直に喜べばいい話で、ふつうの国民はそう考えてるだろう。

投稿: とおりすがり | 2010-10-13 12:43

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