2010-10-30

手製のぬか漬け鰊(ニシン)の三平汁

Pa280002  富山の名物で、鰯(いわし)を小糠と塩で漬ける保存方法があると以前教えてもらった時、鰊(にしん)で作ってみたいと考えていたことがやっと実を結びました。富山ではこれを「こんか鰯」と呼ぶそうです。「こんか」の言われは、「小糠(こぬか)」が変形したそうです。諏訪でも、例えば「あそこ」というのが「あっこ」というように、話し言葉になると縮まるのと同じだと思います。
 このこんか鰯と大変似ているのが、昔、石川県の小松の友人から頂いた鯖の糠漬け(へしこ)です。この味が忘れられなかったのです。後で調べて分ったのですが、青い魚をこうやって糠に漬ける方法は、北陸から東北地方の昔の人の知恵だったそうです。温度や魚の脂の乗り、発酵の度合いで微妙に味が違ってできると聞いて、挑戦意欲が湧いたのです。こういうものは毎年作ってみないと比較が出来ないので、まずは作ってみたのです。
 ところが、レシピというものはないし、ネットで調べるとあるにはあるのですが、こういうのは作る条件が一定ではないのであまり参考になりません。結局、漬物用の三五八漬け(☞レシピ)や鉈(なた)漬け(☞レシピ)を自作しているので、その経験から塩加減してみました。

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 ところで、魚を糠に放り込んでも充分発酵しません。どのように進むかというと、糠を好む菌がついて糠の発酵を促す水分が適当にあり、発酵しやすい温度にして環境を一定にします。すると、半日くらいで発酵が始まります。
 ネットでは、麹を混ぜる方法を見ましたが、そこまですると大変なので、鉈漬けの応用に使った市販の甘酒の素と塩を糠を混ぜて糠床にして漬け込みました。ニシンの旬である春先でしたので、気温はまだ低く、発酵はゆっくり進んだと思います。二週間ほどそのまま置いてから冷凍保存しておいたのが今日の糠漬けニシンです。

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 かなり塩辛い筈ですが、思ったほど生臭さもなく、身が締まっています。これを水洗いして鱗を下ろし、ぶつ切りにします。あらかじめ昆布で煮て火が通った野菜の煮物に加えます。15分では塩が抜けきれず、20分で調味料を加えました。調味料の分量は、味を見て加えるしかないので、あくまでも目安です。
 三平汁にした理由は、塩抜きなどしないでそのままぶつ切りにして、鰊の塩分で味付けしたいと思ったからです。なかなか良いお出汁がでて美味しかったです。これは、やはり大人の味です。

ニシンの小糠漬け材料

  • ニシン・・3尾
  • 糠・・1カップ
  • 甘酒・・1カップ
  • 塩・・1/2カップ
  • 鷹の爪(種無し)・・1個

こんかニシンの三平汁の材料

  • こんかニシン・・2尾
  • 大根・・200g(7~8cm)
  • にんじん・・250g(1本)
  • じゃが芋・・300g(2個)
  • こんにゃく・・1丁
  • 野地シメジ・・70g
  • 長葱・・適宜
  • 水・・1600cc
  • 昆布・・10cm
  • 酒・・1/2カップ
  • 醤油・・大さじ1
  • 味醂・・大さじ2

作り方糠床の作り方

  1. 材料を袋の中で揉みこむように混ぜ合わせ、水気を拭き取った鰊を埋め込むように入れ、26度くらいの薄暗い場所で4日発酵させる。
  2. 1を冷蔵庫に移して10日置き、冷凍する。

こんか鰊の三平汁

  1. 野菜を適当な大きさに切り、分量の水に昆布を浸け、昆布出汁をとる。
  2. 鰊を洗って鱗を下ろして頭を落とし、内蔵を取り出してからぶつ切りにする。
  3. 昆布をつけたまま1に切った長葱外の野菜を加えて火にかけ、じゃが芋が煮崩れないうちに鰊のぶつ切りを加える。
  4. 20分ことこと煮込んでから長葱を加え、酒、味醂を加えて味見をし、足りない分を醤油で整える♬

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