2010-09-29

極東ブログ「尖閣沖衝突事件、欧米紙の論評」から、今後の問題は、中身のない日米安保条約

 「フィナンシャル・タイムズ、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストの社説が出揃った」(参照)というところで、早速、尖閣諸島沖追突事件の欧米紙の評価について、極東ブログでエントリーが挙がりました。
 毎度の事ながら、極東ブログには頭の下がる思いです。欧米大手紙の情報を収集した上、訳文とコメントまでつけてくれるようなサービスが、もしも有料であればとんでもない金額になるでしょう。それを簡単に無料で拝読できるのですから、どれ程豊かな環境に私はいるのかと、贅沢していると思っています。金額で計ることではないですが、情報を有料で買い取った経験を持っている方なら、私がどんな意味で言っているか分るでしょう。もう一つ言えば、この歳になったらもう図書館で本を借りて読むなどはしません。一度誰がが読み終えたものが古本屋に売られていれば、それを読んだとしても転売などはしません。物を書いている人への対価としてですが、買って読むというのが筋だという古い考え方を持っています。まあ、個人的な思いなので人をこれで計るようなことはしません。あくまでも私の考え方です。
 さて、今回比較に並べられた社説はご丁寧にTwitterにも投稿されていて、順次各紙のサイトで読んでいました。その評価のほどを読み知りながら、他方で、日本や中国の情勢をニュースで知る度に欧米紙との比較をしたり食い違いに疑問を持ったりするようになり、頭の中はフル回転の状態でした。この刺激はたまらなく好きで、情報に対して貪欲になって行く自分に気づきました。また、Twitterでは、人と一緒に同じ話題を囲んで対話するという楽しさも味わいました。そして、自分の思うことをブログに書いてみる。
 単にそれだけなのですが、日本に日本人として生きる者の当たり前のことのように思うのです。海外生活の経験から、より日本を知りたくなったことは大きな理由で、おそらく海外に出たことのない日本人は、今話題になっている中国やアメリカのことに対する関心は薄いのだろうと感じています。これは、海外に住んでそう思ったので、私にその経験がなかったら今どうなっていたかと思います。
 人一倍怖がりだからか、事態の急変は嫌なのです。だから、少しでも早く現状を把握したい衝動が強いのかもしれません。私が特異なだけかもしれませんが、極東ブログの情報には感謝しています。
 さて、今後の視点として気になる指摘があるので触れておきます。
 まず、ファイナンシャル・タイムズへのコメントです。

 より重要な指摘は、日本民主党の内閣がいわば政策面で無秩序状態になっていたということだ。多少勇み足なコメントをすると、今回の事態、日本側からすると、民主党内の分裂状態を見据えたうえで、前原外相が一気に夜討ちをかけたに等しかった。言い方は悪いが、日本をあえて窮地に追い込んで人質とすることで民主党内と米国に脅しをかけ、党内を親米路線に固める狙いがあったのだろう。おそらく仙谷官房長官としては党内理由だけでこれに舵を切ったのではないだろうか。

 この部分は、「勇み足なコメント」となっているように、あの船長逮捕時点では、前原外相が打って出た策が良いとも悪いとも評価できませんでした。が、結果的に日本の政府は中国に屈し、それに対して批判的な日本人が多いということが分りました。また、極東ブログの他の関連エントリーに付いた多くの誹謗中傷コメントから見て取れるように、中国嫌いな日本人も多いのだという事実が判明したことでもありました。この怒りや鬱憤から見えることは、政府のみならず、国民も誰がこの国を守るのか分らない中で右往左往したというだけに終わったのです。
 ニューヨーク・タイムズ紙のオバマ氏に触れた部分では、

南シナ海に東シナ海を含めた領土問題で、オバマ政権が対話会合を呼びかけているというのは、意外とこの間、日本からの報道からは見えないのではないだろうか。
 日本の従来のいわゆるリベラルな視点からすれば、対話による平和がもっとも好ましいだろうが、主導権が米国にあると見られ、米国による新支配のように受け止められているからかもしれない。
いずれにせよ、ASEAN(東南アジア諸国連合)は今後、こうした方向に進まざるを得ないが、中国の現状としてはなかなか応じることは難しいだろう。繰り返すが、現状の日本からすると日米安保条約が強調されるが、重要性はそれ以前のルール作りのほうに存在している。

 「日米安保条約以前にルール作り」というのは、極東ブログでは何度も触れて書いていることで、麻生政権時にこの話を煮詰めるべく、日本からアメリカに話を持ちかけていたところで鳩ポッポに変わってしまい、その鳩が尖閣諸島に関して「領土問題」と言及した上で、アメリカに確認すると発言してしまったのは失態でした。今後は中国どころか、後継者が決まった北朝鮮の方がその勢いを強めてくることでしょう。アジア全体の共通の問題としても、北朝鮮に対してどう対応してゆくのかなど、中国とは緻密な対話を交えなければ協力体制が作れないと思います。
 ワシントン・ポストでは

 今回の事態で、日米同盟を含め、この地域の米国の同盟国の絆を確認する機会となったというのだが、ワシントン・ポストとしては、オバマ大統領の事実上の外交失敗がこうした事態を招いたという批判の含みがある。

 確かに、オバマ氏が同盟国に言及して声明を出さなかったら、民主党は自国の力でこの問題を解決できただろうか?当時、できるとは思わない私でした。アメリカの「同盟国」という言及のお陰で、事がやっと終息に向かうことに安堵して終わっていました。
 そうか!対等とは言葉ばかりで、今後は何かとアメリカの「核の傘」の下にいることを肝に銘じなければならないという事ですね。このままルール作りをしなかったら、何かとアメリカに対して「従」のままなのですね。借りを作ったとは意味合いが少し違いますが、アドバンテージがこのままアメリカにあるうちは「対等」ではなく「従属性の高まる日米関係もまた政権交代の結果でもあった。」で終わってしまうことになるのですね。
 菅さんは、来週開かれる、ASEM=アジア欧州会議に出席するそうですが、アメリカを蔑(ないがし)ろにするような変な発言をする予感がします。空気が読めていない菅さん?
 ここは、極東ブログが懸念しているように、日米安保条約の具体的なルール作りの方が先じゃないですか。ついでに言うと、シーレーンもない日本が「守る」といっているのと同じです。

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