2010-09-24

クリントン国務長官の日米安保条約第五条の言及と中国のこのところの動き

 菅首相は、昨日から行われているG20に出席していますが、日中間の状況が気になる私であることを自覚しながら、どうも落ち着かない日でした。よもや、Twitterで関連情報でも流れてはこないものかと変に期待していました。そういうところから小刻みになるのですが、クリップ程度に関連ニュースを取り上げておくことにします。
 菅首相とオバマ大統領の会談の予定は、今日の午前中のはずです。このレベルで「核の傘」に関する話に言及されるとは思いませんが、同行している前原外相はクリントン国務長官と初会談し、クリントン氏から日米安保条約の第五条の適用について言及があったと報じています(参照)。

外相は日本の国内法に基づいて粛々と対応していることを説明した。これに対し、長官は理解を示したうえで、「尖閣諸島には、(日本への防衛義務を定めた)日米安保条約5条が適用される」と明言した。

 長官が安保条約適用にあえて言及したのは、強硬姿勢を崩さない中国側をけん制する狙いがあったとみられる。外相は「日中2国間の問題で、東シナ海に領土問題はない」と強調し、「外交問題として、大局的な見地からしっかり取り組む」と応じた。

これはアメリカ政府としては初めてだと思います。ところで、気になるその「第五条」ですが、調べてみるとこうあります(Wikipedia)。

第5条
前段は、米国の対日防衛義務を定める。後段は、国連憲章上、各国による自衛権の行使は、国際連合安全保障理事会が必要な措置をとるまでの暫時的性格の行為とされていることから、定められている。

 これじゃ意味が分りません。ということで、YOMIURI ONLINEに付属の「用語解説」のリンク先を見ると

日米安保条約5条とは
 日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃(があった場合には)……共通の危険に対処するように行動する。

と、あります。これでも要領を得ません。次のこちらはどうでしょう(参照)。

日米安全保障条約第5条
日米安全保障条約第五条(共同防衛)
1.各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。
2.前記の武力攻撃及びその結果として執った全ての措置は、国際連合憲章第五十一条の規定に従つて直ちに国際連合安全保障理事会に報告しなければならない。その措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全を回復し維持するために必要な措置を執つたときは、終止しなければならない。

日米安全保障条約に関する交換公文(条約と効果はほぼ同じ
「合衆国軍隊の日本国への配置における重要な変更、同軍隊の装備における重要な変更ならびに日本国から行われる戦闘作戦行動(前記の条約第5条の規定に基づいて行われるものを除く。)のための基地としての日本国内の施設及び区域の使用は、日本国政府との事前の協議の主題とする。」

 さて、この条約が何故日本にとって大切かという点ですが、日本は、戦後経済大国として発展する方向を選んだ祭、軍事費にあまりお金を費やさないことが懸命だとする吉田茂の考え(吉田ドクトリン)があり、当時の吉田政権下でそれを実現したのがこの条約です。
 当時の日本の首相が本当にこう思っていたか?と、興味は深まるのですが、これは置いといて。つまり、クリントンさんと前原外相で、アメリカの「核の傘」にお世話になることは共通理解に達したと見てよいのだと思います。これが中国に伝わった時、どのように中国側が対処するかは、今後注視する必要があると思います。
 一方、時事問題ですが、昨日は二件クリップしました。一件目は、「中国:日本人4人を当局取り調べ 「軍事目標」撮影で」(参照

 尖閣諸島(中国名・釣魚島)付近での衝突事故で日中関係が冷却化する中、日本政府は新たな懸案を抱えた形だ。中国では軍事情報の収集で有罪となれば、国外退去処分から死刑まで厳しい処分が予想される。
 共同通信が日中関係筋の話として伝えたところによると、4人は日本の建設会社の関係者で、遺棄化学兵器関連事業を受注する準備のために下見に来ていたとみられるという。

 これに似た行動に、ジャーナリストの個人的な取材行動がかつて問題となりました。今でも問題はあると思いますが、個人の責任ではありますが、国民の一人です。政府が関与する必要が出てくるのは必須で、両国家間の緊張状態で個人的な問題を起すのは慎みたいことです。
 また、中国側の企業対応として、日本に圧力がかかっている例として「中国、レアアースの通関停止=米紙は「日本向け禁輸」と報道」(参照)。

中国の関税当局が、ハイテク製品の製造に不可欠なレアアース(希土類)の輸出について、通関業務をストップしていることが23日、明らかになった。米紙ニューヨーク・タイムズは22日、尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件に絡んで、中国当局がレアアースの日本向けの輸出を全面禁止したと報じた。
 訪米中の温家宝首相は21日、「日本が船長を釈放しない場合、さらなる行動を取る」と表明。中国は7月末からレアアースの輸出を規制してきたが、禁輸が事実ならば、日本への圧力を強めるのが狙いとみられる。
 レアアースは、ハイブリッド車や携帯電話の部品の製造に欠かせない希少鉱物資源。世界の年間産出量12万トンのうち中国が9割以上を占める中、日本は需要の9割を中国に依存している。

 政府間では連絡が取れていないということですが、実際、国内に入ってきていないのですからこの件は、事実でしょう。これは、中国のやり方というものですが、先のクリントン氏の日米安保条約に関する言及が中国にどう働くのかが気になります。

 尖閣諸島領有権に関して触れた極東ブログのエントリー「尖閣諸島、領土と施政権」は、当時の中国と日本の関係はどのようだったか詳しく知ることができます。 

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