極東ブログ「[書評]ロスト・シンボル(ダン・ブラウン)」謎を解く鍵は、アメリカ独立記念のフレスコ画にもあるらしい
おお。誰かのシンボルが無くなったの?って、思ってしまった。
なんだかめっちゃくちゃ面白そう(参照)。
読書の少し捻くれた楽しみの一つは、上手に期待を裏切られることだ。ロスト・シンボル(ダン・ブラウン)(参照)はエンタテイメントの小説だからこの程度の仕立てに違いないという期待を持って読み進めると、ぽろぽろと崩れ落ちる。予想は微妙に外れる。期待は小気味よく裏切られる。その都度、シニカルな笑いが襲う。やられた。面白いじゃないか、これ。
これほどの絶賛を今までに聞いたことがない。もう、ここを読んだだけで十分なくらい読みたい気持ちがそそられる。
フリーメーソンといえば、イギリスから始まった組織で、秘密結社とされている。もうこれだけでも謎めいた設定なので、出て来そうだと言えば、ユダヤ人のお商売のことや、日本版で言うならオウムの麻原彰晃かというぎりぎりの危ないとんでもハプニングかな?書評によると、それらは愚問になるらしい。裏切られるのだそうだ。最も、フリーメーソンから連想する物が違うレベルかな、既に。
大体、「フリーメーソン」自体、この題材が観念的に定着している何処にでもありそうな話が仕立てられる、というのが大前提にあるから盛り上がるのだろうと思う。
勿論、即行で注文。
気になったのが、くどいほど極東ブログに登場する「フリジア帽」のことだ。それが余談の中に置き去りになっているのがどうも気になるのぅ。
最後に余談。ついでなので本書で重要な意味をもつ「ワシントンの神格化」について本書を補う点として少し触れておきたい。
ケペル先生、歴史的背景が無いと絶対に楽しめないというのが「鍵」になるのでしょうか?ここで、ビクッとした。世界史の苦手意識が擽られた。私の場合は、ちょっと下調べしておいた方がよさげ。なにやら隠語化されてはいないだろうかと疑って調べてみた。
「ワシントンの神格化」というのは、アメリカ合衆国初代の大統領であるジョージ・ワシントンが、後に神の域の人物として扱われたことがこのフレスコ画となり、現在のアメリカ合衆国議会議事堂の天井画になっているのは有名だ。極東ブログでは、このフレスコ画の細部にスポットを当ててこう話している。
1865年に描かれたものだ。実際にワシントンの下、アメリカが独立したのは1776年なのでこのフレスコ画は独立当時の時代を表現しているとは言い難い。絵の解説は本書になんどか書かれている。注目したいのは二点。
戦いを鼓舞しているのがお馴染みのコロンビア神である。フリジア帽は被っていない。
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神々がケーブルを持っていることに注目。これは米英間を結ぶ大西洋横断電信ケーブルである。このフレスコ画完成の翌年、1866年に完成した。つまり、この絵は大西洋横断電信ケーブル完成に合わせてその記念の絵でもあった。
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一枚目の絵のコロンビアがフリジア帽を被っていない理由は、アメリカの象徴を擬人化したという意味では、フランスのマリアンヌとは意味が違うということで前回解決済みだ(参照)。何か問題でも?
また、神々が持っている電線は大西洋横断電信ケーブルだとしている。これは1866年の完成に合わせた絵だからという説明だ。待てよ。ドラクロワが描いたコロンビアが右手に持っていた電線は、理性の象徴としてのトーチがシンボルだったはず(参照)。それも、第二次世界大戦まで、コロンビアは理想の女神だったはずだ。神々が持っている電線とコロンビアの持っている電灯線の意味が違っても別に問題はないが、解釈が変化したためなのか、まったく別の解釈に電線の認識が必要なのだろうか?
まあ、読めば分ること、か。
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