2010-08-10

極東ブログ「南シナ海領有権問題に関わる中国と米国」の謎解き

  クリントン発言の何が問題かと問うことで見えてくるものは何かと、漠然と思っていたが、どうもそういうことではないらしい。「問題の根は深く展望もない」と始まっているが、相当量の情報が詰まっている(参照)。しかも、日本では殆ど報じられていないにも関わらず、二点ほど日本にとっての重要な示唆があり、日本で報じない理由が分らない。というか、日本の新聞社ではこの動きは読めないのではないかと思う。余談だが、最近の大手各紙の社説は「君子は危うきに近寄らず」か、まったく的を得ていないかのどちらかで、うだつが上がらない。
 さて、事の粗筋は読んでもらうとして、私としては内容を把握しておきたいと思う。
 南シナ海の領有権を巡って中国とアメリカが互いを牽制しあうというやり取りから始まっている。中国という国は、本当に陣取りが好きな国だ。今のところはけん制を送るという所に留まっているが、この領有権問題で、アメリカとかつての敵ベトナムが一緒になって中国に対抗すれば大きな問題に発展するのではないかと、ひやりとした。
 中国が南シナ海域を支配下に置くことを目指しているのに対して、アメリカは公海という位置づけの元に、周辺の各国が有効利用できるようにすることがアメリカの使命であるとしている。これに言及して中国にけん制を送ったのがクリントン発言だ。が、内容によると、この発言の前に、既に行われたシンガポールでの第9回アジア安全保障会議で、ロバート・ゲーツ国務長官が同じような発言をしたそうだ。つまり、その頃から中国の動きは始まっていたということだと思う。そして、クリントン氏の領有権に関する言及が7月23日だったにも関わらず7月31日には、その発言に牽制したとも思われるデモンストレーションを行った。これが、読売新聞で最初に報じられた記事のようだが、ファイナンシャルタイムズがより簡潔にまとまっているそうだ。

南シナ海で問題が醸されつつある。中国政府は、三艦隊を南シナ海に派遣して軍事演習を行い、盛大に軍事力を見せつけたばかりだ。見落とす人がないように、テレビで放映したほどだった。

この軍事演習は、南シナ海についての発言で中国政府を怒らせたクリントン米国務長官への直接的な返答ではなかったのかもしれない。それでも、この軍事演習は中国の拡大しつつある軍事力を強く留意させるものであり、同時にこの海域に軍事力を投入する意思を示すものでもあった。

また、これに対してアメリカも黙っているわけではなく、

この手のコミュニケーションに慣れている米国も同じ次元できちんと応対している。

横須賀から早速原子力空母ジョージ・ワシントンを出している。

正確には、空母ジョージ・ワシントンの訪問は、米国とベトナムの国交正常化15年祝賀の一環とされたものだが、この状況では対抗的な意味合いが色濃くなっている。

これは、アメリカも手馴れたものだとは思うが、これが半年くらい前ならあたふたしていた私だ。それでなくても、中国船が日本海域をうろついただけでもびくついていた私だった。 
 ここで、初めて日本のことが出てくるが、ここで二点、日本が、というか私達が注視しなくてはならない示唆がある。

米中間のやりとりで日本として注意したいことは、空母ジョージ・ワシントンの母港が横須賀であることと、南シナ海を巡る中国とベトナムの領有権対立から(この対立で中国とベトナムは二度死者を出す紛争を起こしている)、かつての仇敵ベトナムと米国が軍事を含めた親密な関係に移行しつつあることの二点だろう。

 中国はアメリカに対しておとなしくてもベトナムに対してはそうではない。利害が絡んでいる。だが、アメリカとベトナムが組んだら中国はどうするだろうか。
 ここから少し考察が入ってくる。
 まず、オバマ政権のこのような対応の経緯として、興味深い話がある。中国がアメリカに対して明らかに外交を片務的に行ったきっかけになったのは、アメリカの金融危機だというのだ。とても現金な中国だが、これが中国。先にこのような対応をとられたアメリカゲイツ国務長官は、中国の中核的利益化である南シナ海に言及したのがその応答ではないかと読んでいる。今に起こったことではないにしろ、中国の動きを読むのは結局「カネ」の動きを掴めばよいのか?ということになる。分りやすいことだ。
 しかし、中国の執拗なまでのこの南シナ海獲得には何のメリットがあるというのだろうか?と、思われたのは同じらしい。ここでいくつか理由が挙がっている。

(1)中東・アフリカからのシーレーンの確保、(2)海洋資源の確保、(3)海南島原潜基地からの海路の確保である。

順当に考えればこの三点は分る。でも何故、海南島なの?

南シナ海の南沙諸島については、中国が9個、ベトナムが29個、フィリピンが8個、マレーシアが3個の島の領有を主張している。最大の太平島を実効支配しているのは台湾である。

Hainan

 ハハー。南海島からまっすぐ南下すると南シナ海だ。嫌いなベトナムが中国の三倍以上領有している。ベトナムと一戦交えて分捕ってしまえば中国の天下だ。
 なるほろー。

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