2010-08-20

「彼女が重度の境界性人格障害だった」で見えることと見えないこと

 AnonymousDiary(通称増田)は、はてなのサービスの一つで、はてなIDを持つ人なら誰でも匿名でエントリーを起こせる日記だが、今朝、Twitterでクリップが流れてきた。少し関心があったので読んでみた(参照)。
 なかなか温かい心の持ち主で、被害者意識のようなものを感じさせない。自分達の付き合い方や自分自身が彼女に温かく配慮してきた事を、別れた後に被害者のような視点では語っていない。そういうところをみると、何のために増田に書いたのかと思った。
 聞こえてきたのは、分かれた後の彼女に、境界性人格障害に気付いて治療をさせたいという悲願のような叫び声だった。例の如く、ブックマークが膨らんでいる。その中には、このような病気持ちの相手には気をつけろ的な、やや厄介者扱いの方がウエートが寄っていると思う。普通、世間はそう見る人が多いと思う。増田君も言っているが、別れてしまった今は、相手が話を聞き入れるかどうかと言うと、無理なのだろう。
 このケースとは全く違うが、逆の立場で気になっていることがある。知人の娘さんの婿殿のことだ。三十二歳になる彼は、×1で、7歳の離れた奥さん、つまり友人の娘さんと結婚したのは1年程前。最初は調子よく仲もよかったらしいが、半年ほど前から彼の暴言が酷くなり、嫁さんをまるで自分の奴隷のような扱いをするように豹変したというのだ。きっかけとなったことは、仕事が上手く行かなくなり、実入りが悪くなったためイライラが激しくなったそうだ。無意識に自分の髪の毛を引き抜き出して、一部分が円形脱毛のようになったそうだ。また、言動は自己中心そのもので、その理不尽な言動に耐え切れない彼女は、その都度そうなる理由を聞いた。が、それは火に油を注ぐような結果となり、かえって彼を怒らせ逆上させたらしい。その時、彼から電話で親に「一週間ほど実家に返したい」と言ってきたそうだ。理由は、嫁さんが不安定だと自分の仕事に影響するため、少し頭を冷やして来い、ということだった。
 何が気になるかというと、このような人を昔は亭主関白で済ませていた嫌いがある。ただ我慢の人生を送った人も多くいたと思う。現在は、ドメスティックヴァイオレンス(DV)として、このような状態から「保護」するという対応を取れるようになってきている。これは、昔は考えられなかったことで、そもそも離婚に抵抗があった時代だった。家の恥とされたし、「出戻り」といわれて、離婚後実家に帰ってきた娘は白い目で見られた。今でもここ諏訪のご老人にはそういう考えがある。時々ヒソヒソ話している中に誹謗を含んだニュアンスを見つける。
 さて、気になる事はもっと他にある。
 増田君が彼女の性格が病気の遍歴からのものだと疑いを持てたのは、恋愛という関係から解かれてからなので、当然冷静な目で振り返ることができたからだと思うが、恋愛中で熱くなっている時には見ようとも思わないのだし、異性という点からしても見えにくいと思う。言葉を当てはめるとすれば「ジェンダーバイオレンス」だと思うが、私が持ち出した、DVは今のところ言葉による暴力で収まっているという状態で、奴隷の如く言いなりになっていないとそのうち暴力に発展する可能性がある。この娘さんを何とか助けたいと思っていたのだが、本人が自分の選んだ夫は、DVなのだと目覚めないことにはどうにもならない問題なのだと思う。傷が深くならないうちに早く離婚すべきだと、そう思うのは周囲で、本人は、話し合えば何とかなるのではないかと望みをかけているようでもある。その気持ちはよく分る。
 人との別離を決めるというのは、普段良い人と言われるような人には難しいことだ。増田君も、相手が離れてくれなかったら、未だにまだ尾を引いていたかもしれない。そういうものだ、良い人って世間には沢山いる。だから成り立っているといえばそうだと思う。
 知り合いの娘さんも救われるべきだが、当然、夫の彼も何か問題を抱えて生きてきたと思う。どうか心を休めてゆっくり心の紐を解く機会をもたれることを切に願う。

***

 少し気になる点で、これらの問題がはたで起きている他人事かといえばそうでもない。増田に書かれた彼女の特徴を病的な見方を外してみると、女には潜在的に存在していることとも重なっている。精神的に成熟してくると、つまり理性がきちんと備わってくると、自分の思い通りに行動することを制御する力が備わってくる。思春期には旺盛だった直情的なことが、成長とともに抑えられるような力も備わり、ぐっと落ち着いてくる。このような時に何らかの形で抑えられたり、無理を強いられて自分を押さえつけたりすると、それはいつか何らかの形で突出することになると思う。人間のバランス機能であると思う。増田では「壊れてしまっていた」とあるが、そうなる。誰にでも可能性のあることで、彼が列挙している数々の症状は、特に病気というフィルターを通すこともなく、よくある女性の隠れた部分でもあると思う。だからといって、それ自体が異常ではないと思う。

|

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/516876/49198618

この記事へのトラックバック一覧です: 「彼女が重度の境界性人格障害だった」で見えることと見えないこと: